『システム・クラッシャー』、ニーナ・シモンの名曲が胸に響く予告篇映像&インパクト大な日本版ポスタービジュアル解禁

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社会の何処にも居場所のなくなってしまった9歳の少女を繊細かつ強烈な描写で描き、ベルリン国際映画祭やドイツ映画賞など世界各国で37冠に輝いたノラ・フィングシャイト監督の長編初監督作品『システム・クラッシャー』が4月27日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開となる。この度、日本版ポスタービジュアルならびに予告編映像が解禁となった。

◆『システム・クラッシャー』 関連映像&画像


今回解禁となった日本版ポスターは、子供も大人も関係なく悪態をつきまくる嵐のような9歳の少女ベニーを真正面から捉えたカット。キャンディを頬張りながらも、その罵りようときたら大人顔負け。その怒りとは裏腹な愛の渇望を訴える視線が、作品と同様に人々を射貫く一枚だ。


予告篇映像でも、中指を突き立て捲し立て続けるベニーの絶叫が満載。でも本当はただ、ママと一緒にいたいだけ……そんな願いも社会の理不尽にぶち当たるとすぐに忘れてキレ散らかしてしまう。家族もお手上げの状態で、このままではどこにも居場所が無くなってしまう。見知らぬおじさんに悪態をつくベニー、学校に行きたくないと刃物を振り回すベニー、鎮静剤を打たれ動けなくなったベニー、9歳児の過酷な現実に目を覆いたくなる映像も多数だが、それでもママを呼び続けるベニーのやまびこが切ない予告篇だ。


バックで流れるニーナ・シモンの名曲「Ain’t Got No, I Got Life」は、なにも持ちえない自分という絶望と、それでも命と自由だけはあるという不屈の希望を歌った、映画本編でも流れる屈指の名曲だ。ニーナ・シモン自身もアメリカが持っていたさまざまな矛盾や問題、そして自身の置かれた環境や家族や自分自身への怒りをストレートにぶつけ、一時は音楽業界からも忌避された過去を持つ伝説のアーティスト。本作の主人公ベニーと重ね合わせることで、より胸に響くことだろう。


ちなみに“システム・クラッシャー”とは、あまりに乱暴で行く先々で問題を起こし、施設を転々とする制御不能で攻撃的な子供のこと。助けることができない子供たちを指す言葉だ。

監督・脚本は、本作が長編映画デビュー作となるノラ・フィングシャイト。ホームレスのための避難所生活を描いたドキュメンタリーの撮影中、初めて“システム・クラッシャー”と呼ばれる子供がいることを知ったことから、教育支援学校、緊急収容センター、児童精神科病棟などの関係者と綿密に取材を重ね、現場を体験しながら5年間のリサーチを経て脚本を執筆し、映画化した。


なおノア・フィングシャイト監督の2作目『消えない罪』(20/Netflix)は、主演にサンドラ・ブロックを迎え20年の刑期を終え出所した女性を描き、早くもハリウッドへの進出。3作目となる『The Outrun(原題)』(23)はアルコール依存症の克服を描いた作品で、シアーシャ・ローナンが主演・製作を務めたことも話題となり、いま世界で最も期待される監督のひとりとなっている。

ベニーを演じた主演のへレナ・ツェンゲルは、2008年生まれの現在15歳。撮影当時は10歳という若さで、2020年ドイツ映画賞の主演女優賞を歴代最年少で受賞する快挙を成し遂げた。出演シーンの大半が全身全霊の慟哭で周囲を絶望に追い込むという強烈な役どころ。悲しげな青い目で愛情を切望するかと思えば、一瞬で自信に満ちた小さなサタンのような目となる。叫び、悪態をつき、制御が効かない女の子に変貌して様々な感情の幅を演じ切った。


ベニーの救いの鍵を握るトレーナー、ミヒャ役には『西部戦線異状なし』(22/Netflix)で重要な役を演じ英国アカデミー賞ノミネートに輝いたアルブレヒト・シュッフ。ベニーを想う気持ちとは裏腹に、どうしても受け入れられない心の葛藤を、粗野的かつ繊細さが混在する表情で演じ、2020年ドイツ映画賞では主演男優賞を受賞。ベニーを担当するソーシャルワーカーを演じるのはドイツ界の名バイプレイヤー、ガブリエラ=マリア・シュマイデ。どの施設からも断られ続けるベニーを、つねに忍耐強く支える愛情深い演技で、2020年ドイツ映画賞の助演女優賞を受賞している。


『システム・クラッシャー』

2024年4月27日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

監督・脚本:ノラ・フィングシャイト
撮影:ユヌス・ロイ・イメール
音楽:ジョン・ギュルトラー
出演:ヘレナ・ツェンゲル、アルブレヒト・シュッフ、リザ・ハーグマイスター、ガブリエラ=マリア・シュマイデ
原題:Systemsprenger
英題:SystemCrasher
日本語字幕:上條葉月
後援:ゲーテ・インスティトゥート東京
提供:クレプスキュールフィルム、シネマサクセション
配給:クレプスキュールフィルム
[2019年/ドイツ/ドイツ語/カラー/125分/ビスタ]
(C)2019 kineo Filmproduktion Peter Hartwig, Weydemann Bros. GmbH, Oma Inge Film UG (haftungsbeschränkt), ZDF

■STORY
9歳の少女ベニーは、幼少期に父親から受けたトラウマを背負い、手の付けようのない暴れん坊と化してしまう。その怒りようといったら烈火のごとく、里親、グループホーム、特別支援学校、どこに行こうと問題を起こして追い出されてしまう。そんなベニーの願いは、ひとつ。「ただ、ママのもとに帰りたい」。しかし、母はベニーに対して愛情は持ちながらもどのように接していいのか皆目見当がつかず、施設へと押し付け続ける。このままでは何処にも居場所がなくなってしまうという中、非暴力トレーナーのミヒャは、自分とベニーの二人きり森深くの山小屋で3週間の隔離療法を受けさせることを提案。はじめは文句を言い続けていたベニーだったが、徐々にミヒャへ心を開き始め、ある変化が…。ぶち切れるのは愛の不足の裏返し。ただママに愛されたいだけの少女が突き進む崖っぷちの物語が、いま幕を開ける。

◆『システム・クラッシャー』 オフィシャルサイト
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