【ライブレポート】Nothing's Carved In Stone、30曲越えの15周年記念武道館ワンマン「生まれ変わって、もっと先まで」

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Nothing's Carved In Stoneが2月24日、単独公演<Nothing's Carved In Stone 15th Anniversary Live at BUDOKAN>を開催した。同公演は<10th Anniversary Live at BUDOKAN>から約5年ぶりの日本武道館で、結成15周年を記念して開催されたものだ。先ごろ公開した速報オフィシャルレポートに続いて、BARKSオリジナルの詳細レポートをお届けしたい。

◆Nothing’s Carved In Stone 画像

「ありがとうございます!」と村松拓(Vo, G)は観客にアピールするように両の拳をぐっと握りしめた。22曲目の「Like a Shooting Star」を演奏し終えた直後のことだ。そして、ファンから募ったリクエストの上位20曲に、Nothing's Carved In Stoneがこれまでリリースしてきた11枚のアルバムからメンバー自身が選んだ曲を加えた30曲超を演奏する今回の日本武道館公演の趣旨を、「ほんとムチャなことやってるんだけど、どうなってんの、これ!? 2週間がっつりリハーサルしてきましたけど、どうなってんの!?」と照れ笑いしながら改めて説明すると、この日、「Like a Shooting Star」まで22曲を演奏しているうちに胸の内に湧いてきた感慨──ナッシングスがこれまで作ってきたさまざまな楽曲に対する自負を言葉にしたのだった。

「実際、自分らも過去曲に触れて、どの曲も全部愛しているんだって思いました。自分達が積み上げてきた人生を詰め込んで詰め込んで、すごく好き勝手に曲を作ってきたという記憶があったんですけど、めちゃめちゃこだわって、めちゃめちゃ洗練した曲が多くて。正直、過去の自分達に感謝しました。(もちろんという思いを込め)みなさん、楽しんでくれてますよね?」──村松拓

村松の言葉に観客が大きな拍手を贈ったのは、誰もが彼と同じことを考えていたからに違いない。たたみかけるように次々と曲を演奏していったから、体感としてはもっと短かったのだが、この日、3時間におよんだ熱演の中で演奏した新旧の代表曲の数々が印象づけたのは、結成からこの15年間、90sオルタナをバックボーンにさまざまなタイプの曲を作り続けてきたナッシングスの歩みと、その1曲1曲が持つ曲の良さだった。

それこそが2018年以来、二度目となる今回の日本武道館公演の一番の見どころだったと思う。


早くも総立ちの観客が手拍子と歓声で迎える中、バックドロップに“15th Anniversary”の文字を誇らしげに映し出しながら、演奏になだれこんだ4人は「Out of Control」「Deeper, Deeper」「YOUTH City」「ツバメクリムゾン」とアップテンポのオルタナロック・ナンバーを、ほぼノンストップで繋げていく。そして、密度の濃いバンドアンサンブルとアンセミックなサビで観客の気持ちを序盤から鷲掴みにしたところで、客席を揺らしたのがハウスミュージックをバンドサウンドに落とし込んだような展開を持つ「Chain reaction」だ。

1曲目からバンドを大歓迎した観客の反応にステージの4人が早速、大きな手応えを感じていたことは、挨拶もそこそこに村松が言った「まだ5曲しかやっていないけど、もう帰ってもいいくらい満足しています(笑)」という言葉からも明らかだった。

「俺達と同じ感性を持った人達がこんなにいるっていうことも含め、また武道館でできることに朝から興奮していて。まともな精神状態でステージに立てるんだろうかって思いが朝から5分おきに何周もしていて。ステージに辿りついて、みんなの前に出たらやっぱり興奮してました(笑)。僕らはせいいっぱい演奏します。最後までついてきてください!」──村松拓



リクエストの上位20曲を中心に30曲超をどう並べるか? リリース順にセットリストを組んで、バンドの歩みを辿るというやり方もできたと思うが、自分達が作ってきた楽曲の振り幅を際立たせたいと考えたのか、この日、曲のタイプからプロットを作って、セットリストを組んでいったと思しき4人が序盤に続けて披露していったのはスウィンギーとも言えるヨコノリの演奏が日向秀和(B)、大喜多崇規(Dr)、生形真一(G)とソロをリレーする中でダイナミックにリズムチェンジしていく「Cold Reason」をはじめ、テクニシャン揃いのバンドならではと言えるプログレ的ナンバーの数々だった。

「Words That Bind Us」「Sands of Time」は、生形が奏でるヒプノティックな単音リフも含め、ナッシングスのマスロックなんて言ってみたい。その生形がスタッカートをきかせながらコードを刻んだ「Brotherhood」はメロウな歌とバンドのリズミカルな演奏が絶妙に絡み合う。キャッチーな歌ものと思わせ、日向のスラップ、大喜多のタム回し、閃きに満ちた生形のフレーズメイキングといった歌の裏でそれぞれに繰り広げるプレイも聴きどころだ。



生形と日向がエレキギターおよびエレキベースで、それぞれにガットギターおよびシンベの音色を鳴らして、エフェクターを巧みに使った音色作りのおもしろさをアピールした「Gravity」、ストレートな日本語の歌詞も印象的だった「村雨の中で」は大喜多がサビで鳴らした4つ打ちのキックが観客の気持ちを弾ませる。そこに繋げた「Red Light」はシンプルなアンサンブルとともにキュートなんて、ナッシングスにはちょっと似合わない(?)言葉も使ってみたいポップセンスを閃かせ、観客の記憶にしっかりとインパクトを刻みこんでいく。

バラードと言ってもいいムーディーなスローナンバー「Walk」では、日向、生形とセッション経験があるSOIL & "PIMP" SESSIONSのタブゾンビがトランペットソロを加え、結成15周年の記念ライブに花を添える。

そして、大喜多の手数の多いドラムが観客の心臓の鼓動にシンクロするようにダンサブルに鳴ったヒロイックな「Inside Out」、ファンキーな「Everlasting Youth」、同期で鳴らしたストリングスとともに村松が力強い歌声を天井の高い武道館に響かせた「In Future」のヨコノリのミッドテンポの演奏でバンドが持つスケールの大きさを見せつけながら、じわじわと高めていった観客の興奮を一気に頂点に持っていったのがアンセミックでポップな「きらめきの花」。


「15年のすべてを演奏に乗せて、ここに集まったみなさんの気持ちをでっかい花として咲かすのはいかがでしょうか? 今日ここに来てくれたみんなの名前になるつもりでタイトルコールします。おまえのことだ! おまえのことだ! 「きらめきの花」!」──村松拓

生形が奏でるリフと、そこにカウンターを加えるように日向が腰を揺らしながら鳴らすスラップのフレーズが1つになる演奏に手拍子で応えていた観客が全員でワイプしながら村松が言うでっかい花を咲かせた光景は、この日のハイライトを思わせるものだった。

そこからバンドとファンの絆を象徴する映像を流してから突入した後半戦。バンドは「Diachronic」「Shimmer Song」「Milestone」とエモーショナルなロックナンバーを、再びノンストップで繋げていく。曲に滲む切なさがライブの終わりが近づいてきていることを観客に予感させるのか、1曲ごとに勢いを増していくバンドの演奏に対する観客の反応も同様に1曲ごとに熱いものに。



そして、冒頭に書いた「Like a Shooting Star」となるのだが、「ここから15年経った俺達の本気がもうちょっと見られるんだけど、どうですか⁉」と村松が観客の気持ちを煽ってからの終盤は、タフなロックナンバーの「Music」、ダンサブルな「You’re in Motion」、再びタブゾンビを迎えた、さらにダンサブルな「Spirit Inspiration」と手数の多さよりも演奏の熱度で魅せる曲を繋げたところで、「準備できてますか⁉ 床が抜けるくらいでよろしく!」と村松が声を上げ、ファンキーな「Idols」で客席を大きく揺らして、クライマックスにふさわしい盛り上がりを作り上げる。

しかし、その盛り上がりを軽々と超えていったのが、「次の曲だけ順位を発表します。大切な曲。1位の曲やります」と村松が言った「November 15th」だった。生形が奏でたイントロのギターに客席から歓声が上がる。大喜多が立ち上がって、観客に「もっと!もっと!」とアピールしている。

なぜ大切な曲なのか。このバンドの始まりを記した曲だからというのは、改めて言うまでもないことだろう。バラード風に始まった曲がサビでダンサブルに展開したタイミングでレーザービームが飛び交う中、15周年を祝うようにキャノン砲で放たれた金銀の紙吹雪が眩い光を放ちながら舞い落ちるその光景こそが、この日一番のクライマックスだった。いや、そこから速いギターリフで繋げた「Isolation」で観客にシンガロングの声を上げさせてから、大きなグルーヴで包み込むように本編を締めくくった「BLUE SHADOW」までの一連の流れをクライマックスとするべきかもしれない。



「15周年という特別なライブにこんだけお客さん集めておいて、何も喋らない気ですか(笑)?」と村松に促された生形と、生形の発言に「うるっと来た」という村松がそれぞれに語った15周年に寄せる思いも記しておこう。

「16年前に下高井戸のカフェでひなっち(=日向)と2人で「めちゃくちゃカッコいいバンドを作ろう」って、すぐにオニィ(大喜多)を呼んで。3人でスタジオに入ったけど、ボーカルがなかなか決まらなくて、半年かかって最高のボーカリスト(もちろん村松のことだ)を見つけて、それから15年。ほんと光栄です。15年の間に世の中がすごく変わって、人と人との付き合いが希薄になったと俺は思っていて。それはそれでしょうがないんだけど、俺らは自分達の意思を曲げず、流されず、これからも1対1の付き合いをしていこうと思っているので、これからもNothing's Carved In Stoneをよろしくお願いします」──生形真一

「みんな同じことを考えていると思っているんですけど、1つの生命体としてというか、1つのファミリーとして、この4人でもう15年。同じ釜の飯を食って、駆け足でいいことも悪いことも、酸いも甘いも経験してきて、ケンカもしたけど、あ、この人、こんなことを言おうとしているなとか、こんなことを言ってほしいんだなとか、俺と同じ気持ちだよなとか、意思疎通ができるようになりました。15年やってきて、しっかりとバンドになれました。こんなに素晴らしいメンバーとバンドをやれていることに感謝しながら、これからもNothing's Carved In Stoneをやってきたいと思います」──村松拓


そして、「生まれ変わって、もっと先まで行きたいと思っています!」と村松が宣言してから、アンコールとして「Around the Clock」と「Sunday Morning Escape」に加え、懐かしいその2曲とコントラストを付けるように2月2日に配信リリースしたストレートなギターロック・ナンバー「Dear Future」を披露。さらに5月15日にEPをリリースして、5月19日から全国を回るワンマンツアーを開催することも発表して、ナッシングスはすでに16年目のキャリアを歩み、いや、走り出していることを印象づけたのだった。

村松も「生まれ変わって」という言葉を使っていたように、5月15日にリリースするEPからナッシングスの新章が始まりそうな予感が!

取材・文◎山口智男
撮影◎西槇太一/河島遼太郎

■<Nothing's Carved In Stone 15th Anniversary Live at BUDOKAN>2024年2月24日(土)@東京・日本武道館 セットリスト

01. Out of Control
02. Deeper,Deeper
03. YOUTH City
04. ツバメクリムゾン
05. Chain reaction
06. Cold Reason
07. Words That Bind Us
08. Sands of Time
09. Brotherhood
10. Stories
11. Gravity
12. 村雨の中で
13. Red Light
14. Walk
15. Inside Out
16. Everlasting Youth
17. In Future
18. きらめきの花
19. Diachronic
20. Shimmer Song
21. Milestone
22. Like a Shooting Star
23. Music
24. You're in Motion
25. Spirit Inspiration
26. Idols
27. November 15th
28. Isolation
29. BLUE SHADOW
encore
30. Around the Clock
31. Sunday Morning Escape
32. Dear Future

■EP「タイトル未定」

2024年5月15日(水)リリース
【初回限定盤(CD+DVD)】WPZL-32124~5 ¥3,960(税込)
【通常盤(CDのみ)】WPCL-13557 ¥2,200(税込)
予約リンク:https://ncis.lnk.to/2024EP

▼早期予約特典
DVD:「Dear Future」Music Video 特典限定 Exclusive ver.収録
対象期間:2024年2月24日(土)21:00~2024年3月17日(日)
※3月17日(日)の予約終了時間は各店の閉店時間となり、各ECショップについては同日23:59までとなります。
※早期購入特典対象期間内にご予約いただいた場合、各ショップでの特典と早期購入特典の両方をお渡しします。
※特典物は商品お受け取り時にお渡しいたします。
※早期予約特典対象外の店舗もございます。詳しくは各店・ECショップにお問い合わせください。
※早期予約特典の付いていない商品を購入された方は対象外となります。

▼先着購入特典
・Amazon.co.jp:メガジャケ
・楽天BOOKS:アクリルキーホルダー
・セブンネットショッピング:缶バッジ
・WARNER MUSIC STORE、その他CDショップ:A4クリアファイル
※デザインは後日発表いたします。
※一部取扱いのない店舗もございます。
※特典はなくなり次第終了とさせていただきます。
※特典の有無に関するお問い合わせは直接各店舗へご確認下さい。


■<Nothingʼs Carved In Stone ONE-MAN TOUR 2024> ※タイトル未定

5月19日(日) 神奈川・横浜BAYHALL
5月25日(土) 香川・高松MONSTER
5月26日(日) 愛媛・松⼭WstudioRED
6月01日(土) 福岡DRUM LOGOS
6月02日(日) 長崎・DRUM Be-7
6月08日(土) 鳥取・米子laughs
6月09日(日) 岡山・CRAZYMAMA KINGDOM
6月15日(土) 愛知・名古屋DIAMOND HALL
6月16日(日) 山梨・甲府CONVICTION
6月22日(土) 長野・長野CLUB JUNK BOX
6月23日(日) 石川・⾦沢EIGHT HALL
6月28日(金) 北海道・札幌 PENNY LANE24
6月30日(日) 宮城・仙台Rensa
7月13日(土) 大阪・GORILLA HALL OSAKA
7月15日(月/祝) 東京・Zepp DiverCity (TOKYO)
※全箇所ワンマン公演
※公演詳細はオフィシャルHPをご覧ください
▼チケット
・スタンディング :5,300円(税込)
・スタンディング(学割):3,800円(税込)
【RULE’s最速先行受付 ※抽選】
受付期間:2/24(土)21:00~3/3(日)23:59
【オフィシャル先行受付 ※抽選】
受付期間:2/24(土)21:00~3/10(日)23:59

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