【ライブレポート】ザ・クロマニヨンズの最高&最強のロックンロール

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ザ・クロマニヨンズが、最新アルバム『HEY!WONDER』を引っ提げ全国ツアー<ザ・クロマニヨンズ ツアー HEY! WONDER 2024>を開催中。今回BARKSでは、2月29日に行われた東京公演のレポートを掲載する。なお本稿には、演奏曲の記載も含まれているため、これからツアーに参加する方はご注意いただきたい。

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ザ・クロマニヨンズの全43公演の全国ツアー<ザ・クロマニヨンズ ツアー HEY! WONDER 2024>の東京公演が2月29日に東京・Spotify O-EASTで行われた。最新アルバム『HEY!WONDER』のリリースに伴う今回のツアー。この日もザ・クロマニヨンズの4人は、いつも通りに最高で、“こんなの観たことない”という驚きに満ちたステージを繰り広げた。

ザ・クロマニヨンズのアルバム・ツアーでは、基本、アルバムの収録曲が曲順通りに演奏される。この日も同様で、“HEY! WONDER 2024 ピンクTシャツ”を着た4人は「オーライ!ロックンロール!」(甲本ヒロト/Vo)のお決まりの挨拶、そして、アルバム『HEY!WONDER』の1曲目「あいのロックンロール」── 2ビートの性急なパンクロックだ── からライブをスタートさせた。当然このツアーで初めて演奏される楽曲が多いのだが、観客は曲を聴き込んでいて、リズムのキメやサビのフレーズに呼応して拳を突き上げ、一緒に歌う。この日はツアー7本目だったのだが、演奏、オーディエンスの反応を含めて、完全に仕上がっていた。



オープニングから5曲連続で演奏。「ヒロト!」「マーシー」という声が飛び交うなか「渋谷くんだりまで、よくきてくれた!」「どこで観ても最後まで楽しめるようにロックンロールは作られているので、安心して、自分の場所で最後まで楽しんでいってください。普通のことを言いました(笑)」というMCから、「恋のOKサイン」。“ドン”(ドラムのキック)、“パン”(手拍子)、“ウー!”(掛け声)のリズム、往年のオールディーズを想起させる懐かしくて切ないメロディが響き渡り、ミラーボールの光が会場全体を照らし出す。美しい旋律を丁寧に奏でる真島昌利(Gt)のギターソロも心に残った。



アルバムのA面が終わり、「B面やる前に、別のなんかをやろう」(甲本)とアルバム以外の楽曲を数曲。個人的に特に印象的だったのは「生きる」だった。〈見えるものだけ それさえあれば/たどり着けない答えはないぜ〉という歌詞のインパクトは曲を聴くたびに増していき、この日もさらに更新。「生きる」がもたらす感動と興奮は本当に特別だ。

アルバム『HEY!WONDER』のB面に突入すると、ザ・クロマニヨンズが持つ豊かで奥深い音楽性をたっぷりと実感することができた。メンバーの体のなかにあるロックンロール、レゲエ、ブルース、フォークといったルーツミュージックを混ぜながら、日々の生活のなかで見聞きしたもの、感じたものも入り込むことで彼らの音楽は生み出されている。鳴らされる音はギター、ベース、ドラム、歌(とブルースハープ)だけ。きわめてシンプルでオーソドックスだが、そのなかにはきわめて豊潤な音楽の歴史が内包されているのだ。それを“この瞬間、この場所”にしかありえない衝動で奏でる。だからこそ4人の楽曲と演奏は、いつ聴いても懐かしく、驚くほどに新しいのだ。たとえば「SEX AND VIOLENCE」。ロカビリーの性急さを前面に押し出したバンドサウンドとボーカルを浴びて、観客のテンションは一気に頂点に達した。(ヘンな言い方だが、筆者自身も“まだロックンロールに感動できる自分”を見つけてうれしくなってしまった)



アルバムの最後の1曲を後回しにして、「イノチノマーチ」からライブは後半へ。「どん底」「紙飛行機」などの代表曲、ライブアンセムを続けざまに放ちまくり、圧倒的な高揚感を生み出していく。前述した「生きる」以上に何度も何度もライブで浴びてきた曲なのだが、すべての楽曲にまるで初めて聴いたときのような新鮮な衝撃がある。もちろんめちゃくちゃ楽しいのだが、いちばん楽しんでいるのはおそらくメンバー自身。甲本、真島、小林勝(Ba)、桐田勝治(Dr)は手を伸ばせば届くくらいの距離にいて(ステージをかなり“狭く”使ってます)、お互いの音を聴きながら気持ちを高ぶらせ、自分たちのロックンロールを自分たちで楽しみ、ブチ上がっているのだ。



これは筆者の私見だが、ザ・クロマニヨンズは“理屈はいらない。楽しければいい”というだけのバンドではないと思っている。4人は膨大な音楽を聴き、吸収し、演奏とアンサンブルを磨きながら活動を続けている。本人たちはそう思っていないだろうが、技術的にも非常に優れているし、知識も豊富なのだ。ただ、ライブにおいてはそれをすべてうっちゃり、“今できることを一生懸命やる”“やれるところまでやる”という一点で突き進む。だからこそ彼らのロックンロールはこんなにも豊かで、これほどまでに衝動的なのだと思う。



アンコールでは4人揃って“HEY! WONDER 2024 ボウリングシャツ”で登場(お似合いでした)。甲本、真島、小林はすぐにシャツを脱いで、上半身裸でパフォーマンスを披露。甲本はステージの前方に寝転がってビートに任せて体を動かしまくり、観客の興奮をさらに煽る。すべての楽曲を演奏し、「またね」(真島)といういつもの言葉でライブは終了した。この日もザ・クロマニヨンズはいつも通り、“これまでと全く変わらず、しかも今まででいちばんカッコいい”ライブを体現。この先のツアーでももちろん、最高&最強のロックンロールを聴かせてくれるはずだ。
 
文:森朋之
撮影:柴田恵理

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アルバム『HEY! WONDER』

2024年2月7日発売
■CD:BVCL-1356 ¥2,913(税抜)/\3,204(税込)
〇初回仕様のみ紙ジャケット仕様
■完全生産限定アナログ盤:BVJL-104 ¥2,913(税抜)/\3,204(税込)
○’60年代フリップバックE式盤を可能な限り再現。180g重量盤採用
<収録曲>
1.あいのロックンロール
2.大山椒魚
3.ゆでたまご
4.ハイウェイ61
5.よつであみ
6.恋のOKサイン
7.メロディー
8.くだらねえ
9.ダーウィン(恋こそがすべて)
10.SEX AND VIOLENCE
11.不器用
12.男の愛は火薬だぜ ~『東京火薬野郎』主題歌~

全国ツアー<ザ・クロマニヨンズ ツアー HEY! WONDER 2024>

2月16日(金)   18:30/19:00  埼玉県 HEAVEN'S ROCK 熊谷 VJ-1
2月19日(月)   18:15/19:00  奈良県 奈良EVANS CASTLE HALL
2月20日(火)   18:15/19:00  大阪府 心斎橋BIGCAT
2月22日(木)   18:15/19:00  兵庫県 神戸ハーバースタジオ
2月23日(金・祝) 17:45/18:30  兵庫県 神戸ハーバースタジオ
2月25日(日)   17:45/18:30  香川県 高松festhalle
2月29日(木)   18:15/19:00  東京都 Spotify O-EAST
3月02日(土)   17:45/18:30  岐阜県 岐阜club-G
3月03日(日)   17:15/18:00  愛知県 ダイアモンドホール
3月07日(木)   18:15/19:00  山口県 周南RISING HALL
3月09日(土)   17:45/18:30  福岡県 DRUM LOGOS
3月10日(日)   17:15/18:00  福岡県 DRUM LOGOS
3月12日(火)   18:15/19:00  広島県 広島LIVE VANQUISH
3月16日(土)   17:45/18:30  千葉県 柏PALOOZA
3月20日(水・祝) 17:30/18:00  長野県 長野CLUB JUNK BOX
3月21日(木)   18:30/19:00  長野県 長野CLUB JUNK BOX
3月25日(月)   18:15/19:00  神奈川県 CLUB CITTA'
3月27日(水)   18:30/19:00  山梨県 甲府CONVICTION
3月30日(土)   18:00/18:30  岩手県 盛岡CLUB CHANGE WAVE
3月31日(日)   17:30/18:00  青森県 青森Quarter
4月06日(土)   17:45/18:30  北海道 PENNY LANE 24
4月07日(日)   17:45/18:30  北海道 PENNY LANE 24
4月10日(水)   18:15/19:00  静岡県 Live House浜松 窓枠
4月13日(土)   17:45/18:30  茨城県 大昭ホール龍ケ崎(龍ケ崎市文化会館)
4月14日(日)   17:15/18:00  栃木県 栃木県教育会館
4月20日(土)   17:45/18:30  神奈川県 伊勢原市民文化会館 大
4月21日(日)   17:45/18:30  千葉県 市川市文化会館
4月26日(金)   18:00/19:00  大阪府 フェスティバルホール
4月28日(日)   17:15/18:00  愛媛県 しこちゅ〜ホール(四国中央市市民文化ホール)
4月29日(月・祝) 17:15/18:00  岡山県 岡山芸術創造劇場 ハレノワ 大劇場
5月03日(金・祝) 17:45/18:30  埼玉県 和光市民文化センター(サンアゼリア) 大ホール
5月05日(日・祝) 17:15/18:00  静岡県 静岡市民文化会館 中ホール
5月11日(土)   17:45/18:30  愛知県 Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
5月12日(日)   17:30/18:00  福井県 敦賀市民文化センター
5月18日(土)   17:45/18:30  新潟県 新潟市民芸術文化会館・劇場
5月25日(土)   17:45/18:30  京都府 京都KBSホール
5月26日(日)   18:00/18:30  和歌山県 和歌山城ホール
6月01日(土)   17:45/18:30  熊本県 玉名市民会館
6月02日(日)   17:15/18:00  大分県 日田市民文化会館 パトリア日田 大ホール
6月04日(火)   18:00/19:00  東京都 TOKYO DOME CITY HALL
6月08日(土)   17:30/18:30  宮城県 東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)
6月09日(日)   17:15/18:00  福島県 けんしん郡山文化センター(郡山市民文化センター) 中ホール
6月15日(土)   18:00/18:30  北海道 名寄市民文化センター EN-RAYホール

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