【インタビュー】lecca、「全てを認めてあげられる自分が残ってる」

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leccaが約7年ぶりとなるニューアルバム『LIBERTY ERA』(ヨミ:リバティーエラ)をリリースした。

◆撮り下ろし写真

本作は再び“自分の人生に夢中になる”という想いを込めた作品。人生讃歌の「素晴らしい人生」や「GAME」「灯」などリスナーに寄り添って勇気づけるポジティブな曲が並び、読売ジャイアンツ阿部慎之助監督へ選手引退の際に書き下ろした「少年」他、パワフルな歌が冴え渡るパーティー・チューン「ohayo-gozaimasu」を始め、“自分の人生は自分の意志で変えていける”ということを感じさせる新曲「start up」「マクアケ」など新曲8曲を含む全13曲を収録。

そのどれもが、人々に勇気を与える、誠実でまっすぐな応援歌。本アルバムを聴けば、自然と“自分の在り方”を見直せるのではないかと感じる。4年間の都議会議員経験を経て、再びアーティスト活動を再開したleccaは、本作にどのような思いを込めているのだろうか。BARKSでは7年ぶりとなるインタビューを実施し、ひとつひとつの楽曲について話を聴いてきた。

   ◆   ◆   ◆

◼️自分を取り戻してもらえるきっかけに

──久しぶりのインタビューということで、まずはleccaさんのここ数年の動きを振り返っての話を聞かせてください。4年間議員生活を経て2022年に音楽活動を再開されたときに、どんなことを感じましたか。

lecca:政治の世界ではいろんなことを学んだんですけど、その中でも何が光って残ったかというと、一生懸命切磋琢磨してる一般の人たちのがんばりや輝きなんです。そこを見ながら、自分も含めてですけど、どうしたらひとりひとりがもっと自分に自信を持ったり、自分のことを幸せな人間だと思って生きていくことができるのかが、いま私が音楽をやってる中で最大のテーマになってるんです。

──人間の幸せな在り方に改めて目が向いたと。

leccaそうですね。見た目は幸せそうでも、幸せじゃない人とかいっぱいいるなっていうのも感じるんですよ。私が好きなレゲエやヒップホップは心を強くする音楽。見た目を着飾るとかじゃなく、今あるものの中でどうしたら私たちが最大限にハッピーになれるかを常に訴えてくれる音楽ということですね。その思いが、自分の音楽を通じて聴いてくれる方に届けばいいなと思っているところがあります。

──おととし昨年と、久々にライブを通じてお客さんに会えたときはどう感じましたか。

lecca:復帰した2022年はまだコロナ禍の影響もあって、声を出しちゃいけない状態ではあったんですが、去年からは本来のライブの姿が戻ってきて、ほんとにエネルギーの交換の場になってるなって感じています。お客さんが人生背負って来てるんで、いい意味で圧がすごくて。私はライブをやるとげっそり痩せて帰る、みたいな感じなんです(笑)。しかも、その日のライブの感想をお客さんからSNSのDMでいただけるっていうのは、時代が変わったなと思いました。それを見ながら、私は自分の伝えたいメッセージを洗い直したりもします。


──歳月を経て、作るものが変わってきた感覚も?

lecca:それはありますね。一番は自分の年齢が大きいとは思います。歳を重ねて、いい意味で「自分はこうあるべきだ」「こういう自分でなければいけない」とか思うことがなくなりました。むしろ、いろんな失敗とか過ちとか全部を受け入れた上で「でも、生きてるからよくない?」ってところに行き着いちゃうくらい、最終的に全てを認めてあげられる自分が残ってる気がします。

──いい意味で、自分のエゴがなくなったということですね。

lecca:はい。ただ、問題は野心もなくなったってところなんですよ(笑)。そんな自分に対して、理想とか夢をまた持ちたいなと思えるように書いたのが、『LIBERTY ERA』の曲たちでもあるんです。正直ないんですよ、ここでライブしたいとか、売れたいとか、1位取りたいとかが。でも、せっかくこういう場で音楽をやらせていただいてるのに、それじゃあもったいないよなと思えるようにはなってはいるんです。……実は、ここ2〜3年くらいの間に、音楽辞めてもいいんじゃないかなくらいの自分の中で苦しい気持ちがありまして。

──何があったんですか?

lecca:leccaの立ち上げから15年くらい一緒にやってきた、エイベックスのディレクターの柳(和実)さんが2年前に亡くなってしまったんです。闘病中も近くで見ていましたし覚悟はしていたんですが、いなくなってしまったってことが非常に大きかったんです。ほんとにパートナーみたいな存在だったので、“いなくなっても音楽を続けられるのか?”ってことを毎日自分に問いかける2年間でした。なのでこの2〜3年間は、私の音楽を聴きに来てくれる人やスタッフさん、一緒にやってくれてるミュージシャンとかのおかげでなんとか走ってきたってところがあるんです。それがなければ辞めてましたね。正直、曲を作るだけで思い出すんですよ。“あ、聴いてくれる人いないな”って。

──ある意味、自分の合わせ鏡みたいな存在であったと。

lecca:ほんとにそういう感じです。この2〜3年はトンネルみたいな時期を過ごしてきたなという感覚があります。

──それをちょっと抜けた感覚はありますか?

lecca:ここ数ヶ月ですけど、やっぱり去年ツアーをやらせていただいたことは大きかったですね。久しぶりに全国のみなさんと会えたり、昔から一緒にやってたラジオのパーソナリティーさんと話せたりして、自分も柳さんの不在というところから、ひと段階抜け始めた気がします。ここで辞めたら、柳さんが15年かけて作ってきたものを私が止めてしまうことになるので、それをしないためにも、“背負っていきますか!”って感覚になってきました。

──次の新しい旅に出るような感じですか?

lecca:そんな感覚ですね。leccaの第二章の旅みたいな感じですね。



──では、4年ぶりのアルバム『LIBERTY ERA』の話題に移りましょう。アルバムはどんな作品にしたかったのでしょうか。

lecca:最終的に選曲はスタッフの方にお願いをしたんですが、みんなが「これがいい」「これを完成させたい」って言ってくれたものを優先して作っていったんです。結果的に、すごく強気な曲というか、元気が出る曲を選んでもらえたなと思います。できあがりを見ると、私のインディー時代のメラメラ燃えてた『烈火』ってアルバムや、初期の『おたくgirlsの宴』とかの強気な自分、人の反応とか気にせずやりたいことをやる、みたいな感覚に近いアルバムになった気がします。

──意思の強さにプラスして、包み込んでくれるような感覚もありました。

lecca:「素晴らしい人生」とか「おつかれさん」とかは、自分が人に言われたい言葉を詰め込んだんですよ。最近、1日仕事すると、ほんと疲れちゃうんですよね(笑)。20代のときみたいにできないっていうのをわかりつつ、そんな自分を労ってくれるような自分がいて欲しいという気がするんです。やっぱり人間、いろんな自分がいていいと思うんですよね。それは私だけじゃなく、みなさんも含めて。今って、24時間に人間ができる以上のことを要求されてるのかなって感じたりすることがあって。でもレゲエやヒップホップは、そこに抗う側面もある気がしている。なので私は、人間らしく生きていきたいってところを残すための歌詞を書いているんです。そういう言葉が必要な人に届いて、自分を取り戻してもらえるきっかけになったらいいなと思ってます。

◆インタビュー(2)へ



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