【インタビュー】I love you Orchestra Swing Style、メロウでチルなアルバム『Proud Story』完成「これが創りたいんだろうな、これだったら戦えるな」

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白水悠(B)と中平“JIM”智也(G)によるユニット・I love you Orchestra Swing Style(以下・ILYOSS)が5thフルアルバム『Proud Story』を3月27日にリリースした。

オープニングを飾る「Lip-sync feat. nene」は、彼らの名を広く知らしめた「Night Distance feat.mahina」以来の全編日本語詞のメロウチューン。また前作同様、アジア各国で活躍するアーティストたちをフィーチャーした楽曲も収録している。

アルバムをリリースするごとにポジティブに変化を遂げているilyossだが、特に今回は日常の中にスッと入って来る耳心地の良い楽曲たちが、歌ものとインストでバランスよく並んでいる。穏やかなサウンドと旋律が際立つ今作について、白水悠に話を訊いた。

   ◆   ◆   ◆

◾️I love you Orchestra本体の方もまたアウトプットしようと思ってて

──音楽ストリーミングサイトでは、「プロデューサーユニット」と紹介されていますけど、今のilyossはどんな変遷を辿って今の形態になっているのか教えてもらえますか。

元々ずっと僕がやってるKAGEROにせよ、ILYOSSの元になっている本体のI love you Orchestraにせよ、音楽の内容も活動も僕のペースとか判断を最優先にやらせてもらってる環境が長くあって、で、当時のI love you Orchestraは6人編成だったからメンバーの予定が合わないときもあったりして、身軽にライブするために4人形態を作ったのがILYOSSの始まりでしたね。そこからコロナ禍もあって、それまでずっと「ライブこそ表現の真骨頂」みたいな価値観で生きてきた自分の根幹みたいのが一度全部ズタズタになったというか。ただ、そういう事態になってもやっぱり表現は止められないよねっていう中で、ギターのジムくん(中平)と2人で“時代と戦える音楽”をここ何年かILYOSSでやってるっていう流れですね。

──アルバムで言うと、3rd『Sweet Spare』(2021年)ぐらいからそうなったわけですか。

白水:そうですね、3枚目からが2人編成。2nd 『Smoky Valley』を創ったときの手応えがあったから、それを基軸にしながら、所謂「チル」っていうジャンルで戦ってるっていう感覚で今に至ります。


──今作はこれまで以上に、かなりメロウになりましたよね?

白水:アルバムとしてメロウに振り切ったっていうか、かなりわかりやすくなったんじゃないかなって思いますね。『Sweet Spare』ぐらいのときはまだ混在してたというか、4人編成のバンドだった頃の感覚がまだあったから。前作の4th『Fantastic Daybreak』でだんだん見えてきて、今回はすんなり振り切ることができましたね。何を作ればいいのかすごくクリアになったというか。

──自分からその方向に行こうとずっと思っていたということ?

白水:時代と戦うにはこれだろうな、っていう感じですね。

──「戦う」っていうのは、ストリーミングの世界で通用する音楽っていうことですか。

白水:ストリーミング、インスタのリールとかね。すごくグローバルなものだと思うんですよ。さっきの話じゃないけど、自分たちでライブハウスを運営してて、それだけにまあ日本のライブハウスの色々なリアルと日々密接していて。コロナの爪痕も未だにしっかり影響していて、じゃあ今の日本のライブハウスとグローバルなデバイス、どっちが時代を反映しているのかってなったら、やっぱりグローバルな方が時代とはフィットしちゃいますよね。良い悪いの話じゃなくて。

──今作に収録された曲は2、3分と短めですよね。フィジカルじゃないリリースでの発信の仕方を試行錯誤しつつやってきたことで、そこは意識的に短くなったのかなと思ったんですが、いかがですか。

白水:そこは強めに意識してるんでしょうね。「もう1回聴きたい」ってなる感覚、後を引く感じっていうか。今までそんな風に創ったことがなかったし、KAGEROなんかは音の一撃で圧殺するようなことばっかしてたから(笑)。だからこういう表現の手法は自分的に新鮮で面白いなって感じます。KAGEROみたいな時代性を問わない表現ってすごく楽しくて、これまでそれをまぁある程度確立して築き上げながら生きてきて、全然それだけで良いんだけど、ただやっぱり当たり前にマンネリ化の危険性も孕んでくるんだよね。こんな吉祥寺の離れ狐島みたいなところに地下室作って(笑)、自分の音楽を深めていくのは十分楽しくて、だけどそれだけだと逆に刺激が足りなくなってくるかもしれないっていうか。今、ILYOSSだけじゃなくて、I love you Orchestraっていうプロジェクト全体でジムくんとやろうとしていることがそっちの方向なフェーズですね。


──今回聴いて思ったのが、作品を追うごとにメロウ、チルになっていくのと反比例して、ILYOSSというアーティスト像があんまり前に出なくなってきているんじゃないかなって。ストリーミングで曲を聴いて、「これってどんな人たちが創ってる音楽なんだろう」って思う人もいると思うんですよ。

白水:そうねえ、まぁ僕もジムくんあの音楽みたいな穏やかなファッションの人間じゃないからかな(笑)。だからあんまりそこを出さなくてもいいんじゃないのかなって部分と、あとまぁそうだね、確かに今はI love you Orchestraプロジェクトの中でILYOSSが超先行しちゃったから、自分たちの音楽を聴いてくれるコアな人からしたらちょっと距離感があるというか。今のILYOSSは見せ方として「白水感・ジム感」をあんまり強く感じないと思うんですよ。そのへんのこともひっくるめて、今回のアルバムを出してからなるべく早く、1週間か遅くても1ヶ月以内に、I love you Orchestra本体の方をまたアウトプットしたいなーって思ってて。そっちはもう僕とジム君を全面的に出して攻めたくて。これまでのILYOSSとI love you Orchestraがより結実すれば良いなって思ってます。

──なるほど、I love you Orchestraが始まったのが2014年だから10年経つわけですが、それがILYOSSになったわけじゃなくて、あくまでもI love you Orchestraの1形態ということですね。

白水:そうだね。今回のアルバムは歌ものとチルに二分されてるんだけど、今後は歌ものをILYOSSに集約して、チルはまた別で名前はまだはっきり決めてないけど、「I love you Orchestra Chill Style」みたいな感じで3本立てにしようかなと思ってるとこです。

──またまた細胞分裂する?

白水:もうマンスリーみたいな感じで、立て続けにチルトラックをアウトプットして行こうかなって。

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