【ライブレポート】0.1gの誤算、活動9年目に突入「音楽って、めっちゃ夢あるよ」

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0.1gの誤算が3月27日、豊洲PITにて8th Anniversary ONEMAN<召集命令!五の布陣にて首を取り、魂を喰らふ。~日本最大ノ箱ヲ制圧セヨ~>を開催した。

◆ライブ写真

日本最大級のライヴハウス豊洲PITに、この度バンド結成8周年を迎える0.1gの誤算が、2千人の愛すべき受刑者を引き連れて「帰還」した。2020年、同会場で行われた4周年記念ワンマンは、新型コロナウイルスの影響により予定から約5カ月遅れでの開催。さらに、マスクの着用や声出し禁止、ソーシャルディスタンスの確保など様々なルールが設けられていた。そんな状況においても0.1gの誤算は全力でライブをやり切ったが、メンバーもファンも不完全燃焼の気持ちを残したのは事実だ。

今回は新曲2曲を引っ提げ、全国ツアーを敢行。各地で大きな舞台を巡ってきた。さらに、タイで行われた<JAPAN EXPO THAILAND 2024>にも出演し、タイのiTunes Store内“J-Pop トップアルバム”ランキングで1位を獲得するなど、初の海外公演も大成功に収めている。この日のファイナル公演に辿り着くまでの道のりにも0.1gの誤算は着実に結果を残してきた。

SEが鳴り、力強く噴射される白煙のなか、軍服を纏った5人がメンバーカラーの旗を振りかざしながら堂々と登場。8周年、そして4年越しの豊洲PITリベンジが幕を開けた。

新曲「アルテミスの憂鬱~銃口とマリア~」で一気に曲の世界へ引きずり込むと、そこから先は勢いが止まらない。続く「Le Diable~太陽を裁く者~」でもステージに登場した時の良い緊張感はそのままに、メンバー各々の個性を放ちながらファンの視線を集め、豊洲PITを0.1gの誤算の色に染めていった。


「0.1gの誤算、豊洲に帰還しました。全員、高らかに敬礼」と、緑川裕宇(Vo)が号令を掛け、会場にいる全員を統率。「被告人Aの告白」では多くの扇子が華やかに舞った。

この日は演出面でも本編から様々な仕掛けが施されており、その一つがセンターステージを使用した演奏だった。サポートドラマーの久保田まさしがメインのステージでファンを煽る中、他のメンバーはセンターステージへと移動し、そのままセッションを開始。ファンとの距離が非常に近い状態で演奏を披露した。この日はニコ生にてリアルタイム配信もおこなわれており、メンバーやファンの表情をしっかりと捉えられた人も多かったことだろう。まさに「生き生きしている」という言葉がしっくりくるシーン。そのエネルギーは画面越しでも伝わっていたはずだ。他アーティストのカバー曲も含め、全13曲の本編があっという間に感じられた。


アンコールでは眞崎大輔(B)が会場を煽ると、ミニスカートにうさぎのリュックを背負った緑川裕宇がステージに勢いよく飛び出し、コール&レスポンスを畳み掛ける。そこから「超旋律的疾走暴曲-ネオヴィジュアロックパロディウス-」、新曲「睡蓮の華言葉」への流れも心地よく、会場の熱をさらに上げていった。

「ここに居る奴らが人間である以上、それぞれの地獄を経験して、今ここにいると思います。地獄から抜け出してここに辿り着いた者、今まさに地獄の渦の中にいる者、全員まとめて俺が裁いてやるよ(緑川裕宇)」と、「JUDGEMENT[THE]DAY」へ。曲中に眞崎大輔が転倒するアクシデントもあったが、「やっちゃったね! でも、あとは暴れるだけだよ、大輔くん」と、眞崎大輔に笑いかけ跨がる緑川裕宇。予期せぬ出来事にも即座に対応し明るく乗り切るあたりはさすがだ。その後の「混沌的極悪暴曲-ヴィジュアロックパロディウス-」では、演奏中、フロア後方まで煽りに出掛けた緑川裕宇が、曲が終わるまでにステージへ戻ることができず、予定にはなかった2回目の演奏がおこなわれるなど、誤算らしさ全開で会場を沸かせ続けた。


この日のライブはいつも以上に現コンセプトやヴィジュアル系のイメージを大切にする展開だったが、要所要所に挟まれる「遊び心」は、実に0.1gの誤算らしい。「大真面目な悪ふざけ」は、その後も続く。2度目のアンコールでは、広いステージを走り回り、スマホのカメラで会場の様子を撮影する緑川裕宇が登場。遅れてTシャツ姿に着替えた他のメンバーが仲良く肩を組んでステージに戻った。そして「絶望メンブレガール」の曲冒頭のダンスで、みんなが躍っている様子をステージ上から動画に撮影する場面も。バンドの規模はみるみる大きくなっていくのに、このバンドがどこまでも身近に感じられるのは、どんな状況でも決してファンを置き去りにしないからだ。

「明日からまた仕事や学校が始まります。嫌いな奴らとも顔を合わせなければいけない日々が始まります。さぁ、吐き出せるのは、このライブハウスしかねぇぞ」から「【L】1126【悲劇】」。河村友雪(G)と水田魔梨(G)のツインギター、久保田まさしのドラムソロと、目が離せない。「2週間ぐらいライブがなかったけど、その間もっと会いたいなって思い続けてた奴はきっと来年もここにいると思う。思わなかった奴は……思うように俺がもっと努力する。それだけのことだ。そしてこの場にいる限り、お前らはその魂一滴残らず燃やし尽くさなければいけない(緑川裕宇)」と叫び、「21gの感傷」を届けた。


「誰よりもこのライブがしたくて、誰よりも会いたかった自信があります。8周年と同時に個人的に今日で歌を始めて、ヴィジュアル系バンドを始めて17年目の一日目なんです」と、緑川裕宇。周りが売れていくなか目が出なかった時期、やっと0.1gの誤算と出会えるものの、コロナで悔しい思いをした時期などを乗り越え、ここ2年で0.1gの誤算が急成長したこと、そして自分を信じ抜いたからこそ、今このステージに立っていることを話した。さらに、この日のライブを観に来てくれていた家族に「よくもまぁ、こんな何年もひどい状況で売れてない俺を見て、何も言わないでいてくれたなって。本当に感謝してます」と、笑顔で手を振り、メンバーにも感謝の言葉を伝え、一人ひとりと固く握手を交わした。

涙を堪えるメンバーに「最後、やりますか」と、緑川裕宇。メンバーもファンも肩を組みながら全員で合唱し感動的なフィナーレかと思いきや、そうした空気が苦手なのか、意地でも涙を見せたくないのか、彼らは変顔をしたりおかしなポーズを取ったりと必死だった。しかし、その光景がまたファンの目にはなんとも愛おしく映ったことだろう。

「ファンのみんな、スタッフのみんながいないと僕らはライブをすることはできないです。本当にありがとうございます。そして、これからもよろしく」と、水田魔梨、「こんなに沢山の人に愛してもらえる人間になるなんて思ってなかったし、今でも信じられないぐらいです。ありがとうございます」と、眞崎大輔、「こんなに良い景色を見せてもらって本当に嬉しいです。音楽が生き様です。その人にしか出せない音があって、それがこの5人だからこそ今日は素晴らしいステージにできたと思います」と、久保田まさし、「この5人とこの2千人で豊洲PITに戻ってきたことをすごく誇らしく思います。これから9年、10年と続いていきますが、これからもこのメンバーで頑張っていこうと思いますので、よろしくお願いします」と、河村友雪。メンバー各々の思いが伝えられた。


3度目のアンコール、ラスト曲「こんな僕ら、どうですか?」で再び会場を沸かせ、最後まで全力のステージを届け、その後も鳴り止まないアンコールの声とともに、3時間半に及ぶ白熱したステージは幕を閉じた。

0.1gの誤算のメンバーは既に次を見据えている。「メンバーみんなで来年の周年はどこでやろうかって話し合ってるんだよね。その時間、最高に幸せです。苦しい時期は長かったけど、音楽って、めっちゃ夢あるよ」。この日のライブで緑川裕宇が話した言葉だ。


諦めず自分を信じ抜けば、こんなに素晴らしい景色が見られるということを示した8周年。この先も彼らが描く夢の続きを果てしなく見られそうだ。まずは、この日ライヴスクリーンでシークレットになっていた8月14日の公演の発表を楽しみに待つとしよう。

文◎藤代冬馬
写真◎堅田ひとみ(株式会社LINKSOLU-リンクソルウ-)

SET LIST

01.アルテミスの憂鬱~銃口とマリア~
02.Le Diable~太陽を裁く者~
03.救済バタフライ
04.被告人Aの告白
05.溺愛ヤンデレボーイ
06.利己的メルヘン症候群
07.廃課金式ラブストーリー
08.嘘とシアン
09.希少種達の運命
10.VITAL
11.アイドル(YOASOBI cover)
12.オオカミ男と月兎
13.絶望メンブレガール
(encore1)
14.超旋律的疾走暴曲-ネオヴィジュアロックパロディウス-
15.睡蓮の華言葉
16.JUDGEMENT[THE]DAY
17.混沌的極悪暴曲-ヴィジュアロックパロディウス-
(encore2)
18.有害メンヘラドール
19.【L】1126【悲劇】
20.21gの感傷
21.アストライアの転生
(encore3)
22.こんな僕ら、どうですか?

アーカイブ配信情報

視聴期間:2024年4月17日(水)23時59分まで
https://live.nicovideo.jp/watch/lv344093016

ライブ情報

5月3日(金)渋谷ストリームホール
誤算の日!トリプルストリーム-Day1-
「渋谷爆裂疾風弾-バーストストリーム-」

5月4日(土)渋谷ストリームホール(1部)
誤算の日!トリプルストリーム-Day2-
小学生以下限定ワンマン 「こどもたいかい」

5月4日(土)渋谷ストリームホール(2部)
誤算の日!トリプルストリーム-Day2-
「2日目が1番激しいんだ」

5月5日(日)渋谷ストリームホール
誤算の日!トリプルストリーム-Day3-
「渋谷究極爆裂疾風弾-アルティメット・バースト-」

日本列島を喰い荒らせ!【超大型!爆弾狂気圧ツアー】
5/10 福岡 DRUM Be-1
5/11 福岡 DRUM Be-1
5/13 熊本 B.9 V2
5/14 鹿児島SRホール
5/16 宮﨑 LAZARUS(旧SR BOX)
5/17 大分 DRUM Be-0
5/26 渋谷WWWX
6/4 札幌SPiCE
6/5 札幌SPiCE
6/9 赤羽ReNY α
6/16 広島セカンドクラッチ
6/17 岡山CRAZY MAMA KINGDOM
6/19 高松DIME
6/20 神戸VARIT
6/22 大阪MUSE
6/23 京都MUSE
6/29 赤羽ReNY α
7/7 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
7/8 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
7/14 赤羽ReNY α
7/19 浜松窓枠
7/20 名古屋Electric LadyLand
7/25 柏PALOOZA
7/27 横浜NEW SIDE BEACH!!
7/28 西川口Hearts
8/2 渋谷 CLUB QUATTRO 河村友雪バースデー「河村友雪があらわれた!」

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