【ライブレポート】双極スペクトラム、3周年記念ワンマン「俺らの“楽しい”を共有するために頑張りたい」

6人組メンズアイドルグループ、双極スペクトラムによる3周年記念ワンマン＜きみが現在を忘れる前に＞が3月26日、東京・Spotify O-EASTにて開催された。

◆ライブ写真

2022年2月8日、この日と同じ会場でワンマンライブを行い、結成1周年記念を迎えるとともに2人のメンバーの卒業を見届けた双極スペクトラム。翌年2023年3月2日には、2周年記念主催イベントを豊洲PITにて開催。メン地下界を盛り上げるアイドルグループ13組が集結する中、新旧メンバーが一丸となり、新体制としてのスタートを切った。


そして、1年前に新旧メンバーと呼ばれた6人は「現メンバー」として、今このステージに立っている。SEに合わせ煽りながら会場の空気を温めると、3周年ライブは春らしい曲「サクライロメモリー」から柔らかく始まった。「今日も最高の日にしてやるよ(無敵てるくん)」の言葉から「救済バタフライ」「あのね」と、徐々に熱を上げていき、曲間の田嶋はるのコールも激しさを増していく。「おい、渋谷！足りてねぇよ(田嶋はる)」の煽りから始まった「盲目信教BANBAN罪」では、ファンの心にもさらに火をつけ、メンバーカラーのカラフルなペンライトが会場を彩った。


結成当初から「アイドル×バンド」というコンセプトを掲げ、バックバンドによる生演奏付きのライブを行ってきた双極スペクトラム。この日も実力派ミュージシャン3人が演奏を務め、迫力満点の音を届けた。MCを挟み、和やかな雰囲気のまま始まった新曲「ラストレター」では、サビの軽やかなリズムに合わせ優しく歌い上げ、爽やかに。続く「Dystopia」では、懐かしさを感じるメロディーで躍動し、前半ラスト曲の「すっごいたのしい」まで、笑顔で会場を盛り上げ続けた。


ライブ前半戦が終わると、スクリーンには「突撃インタビュー」の映像が流された。3年間を振り返り、「辛いことばっかりっていうよりも楽しいことのほうが多かったです。みんなで楽しくやってきた分、それを支えてくれたオタク(双極スペクトラムのファンの呼称)や双極スペクトラムに関わる人たちに、俺らの“楽しい”を共有するために頑張ろうって思ってます」と、禊。双極スペクトラムの一番の強みについては「他のどのグループよりもきっと一番仲が良いんじゃないかなって思います。それはみんなにも伝わってると思うし、これからも伝えていければなって思います」と答え、「後半戦も精一杯かっこいい姿や面白い姿を見せるので、楽しみにしていてください」と、会場に集まったファンへ、映像越しにメッセージを送っていた。


新SEとバックバンドによる演奏から始まった後半戦では、新衣装で登場し、再び会場を煽っていく。さくま(さくま)と赤色時雨の優しい声から始まり、切ないメロディラインを綺麗に歌い上げた「グリッターレイ」、会場一体となって盛り上がった「オオカミ男と月兎」、ゆう くれはが、激しさの中にもしなやかなダンスでメンバーを先導した「デジタルタトゥー・ミーイズム」と、最後の「愛情欲求シンドローム」まで駆け抜けた。


「新体制になって、また1周年と同じ場所でワンマンをさせていただいて、その時よりもっとたくさんの人に来てもらって嬉しいです。4年目もこんな感じで不器用にやっていくと思うんですけど、よろしくお願いします」と、田嶋はる。「いつもはふざけたことをしてますけど、どうすればみんなが楽しんでくれるのか考えられる良いグループだと思うので、4年目もついてきてもらいたいです」と、禊が締め括った。


キラキラした見た目とは裏腹に、過激な発言や企画を行っている双極スペクトラム。しかし、それは「自分たちが全力で楽しみ、それをみんなにも共有できないかと、本気で考えた結果」であり、「メン地下界の数あるグループの中で抜きん出るためにどうすれば良いのかと、必死に探している手段の一つ」であると、この日のメンバーの言葉を通して感じた。周りがどう言おうと、彼らはきっと自分たちが納得するまで不器用に、そして自由に双極スペクトラムのあるべき姿を探し続けるはずだ。その答えが見つかる日まで、我々はその成長を見守ろう。

文◎藤代冬馬
撮影◎Ichinose Aki［LINKSOLU,Inc.］