【ライブレポート】加藤和樹、5年ぶり声出し解禁ライブツアー「みんなの声が自分を突き動かす」

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加藤和樹が5月15日にリリースした、約1年7ヶ月ぶりのアルバム『Liberation BOX』。その新作を引っ提げてのライブツアー<Kazuki Kato Live “GIG” Tour 2024 〜Liberation〜>が終了した。今回は初日となったクラブチッタ川崎公演をレポートする。

◆ライブ写真

「行くぜ川崎〜!」

その声に客席から歓喜の声が湧き上がる。そう、この日は約5年ぶりとなる声出し解禁ライブなのだ。加藤和樹は『Liberation BOX』のジャケットやアーティスト写真と同じスタイルで登場し、「Starlight Dreamer」でツアーの幕が上がった。

今回のライブでは新たな試みとして、赤外線でライトの色や発光を制御できるシンクロライトが導入され、2曲目の「knock knock knock!」ではサビのハンズクラップにあわせて点滅し、ステージとフロアにより一体感が生まれる。そこから続けざまに「DIAMOND」を歌う。


「<Kazuki Kato Live “GIG” Tour 2024 〜Liberation〜>へようこそ!」

そう声を上げ、間髪入れずに『Liberation BOX』より「流星の先へ」。そしてデビュー当時から歌っている「HIGHER DREAM」と続く。客席を煽りながらステージを駆け回り、ジャンプし、すでに6曲を披露したとは思えないほど、アクセル全開のままでライブが進んでいく。「Hang Glider」が終わり、ようやく1回目のMCへ。

ひさしぶりの声出しライブが楽しくて飛ばし過ぎたため、「1曲目でメイクが全部落ちた」と笑う加藤。『Liberation BOX』のリリースイベントには、初めて足を運んでくれた人もいたということで「(ライブに参加するのが)初めましてって方もいる?」と客席に問いかけると、パラパラと手が上がる。アーティスト活動はもちろん、ミュージカルや声優業などで新たに彼を知った人もいるのかもしれない。その間口の広さに改めて驚かされる。


次の曲に行くためにローディーの望月氏を呼び込むと、加藤に渡されたのは、ギターではなく謎の看板。「ギターって書かれてるけどさあ……ないよ、弦が!(笑)」と。長年、加藤と一緒にライブを作りあげているスタッフの粋なサプライズに会場内大笑いしたあと、本物のギターを手にして、アルバムのリード曲となった疾走感あふれるナンバー「ReTaker」をプレイする。続いて、舞台「BACKBEAT」でも歌ったエディ・コクランのカバー曲「Twenty Flight Rock」へ。ジョン・レノン役としてではなく、加藤和樹として披露されるこの曲に、新鮮な喜びを覚えるファンも少なくないだろう。自身が作詞した「Dead or Alive」ではその声を届けるように歌う。


加藤がはけるとバンドメンバーの演奏とともに客席を煽りまくる。本人がいないステージでも観客を飽きさせない演出だ。それも“加藤和樹”のライブのならではなのだ。

タイトな黒のパンツとシャツに着替えてのライブ後半戦は、ニューアルバム収録のパーティーチューン「Shake body!」からスタート。ビートが加速し「マシマシ Love Call」ではフロアの熱も“マシマシ”になっていく。曲が終わってからのMCで、この曲の振り付けの解説&練習。「もう終わったんです」と自らつっこみを入れつつ「これは先行投資なんで、覚えておいて損はないです!」と熱弁していたので、今後もまだまだ踊る機会があるのだろう。


続く「Carnation」ではフェスさながらにタオルを振り回し、「BEACH」ではコロナ禍でずっと封印されていた水鉄砲が登場。これも加藤和樹のライブには無くてはならないおなじみの演出だ。熱くなるフロアを冷ますかと思いきや、さらにヒートアップしていく。一転、「con・fu・sion 〜心の叫び」ではぐっと艶やかに。「Shining Star」「HELLO」とポジティブな曲が続き、「BLUE MONDAY」ではコールで煽る。


本編ラストは「Answer」。ここまでのレポートを読んで気づいてる方も多いとは思うが、このライブでは1曲もバラードが演奏されてない。じつは最初のMCでバンマスの吉田氏が「ゆっくり聴ける曲はないから覚悟してください」と言っていたが、そうは言ってもな……とたかをくくっていた。しかし、その宣言通り、休む暇なんてなかった。そんな中、彼の歌は一瞬たりとも光を失うことなく、それどころかどんどん力を増していった。タフなんていう言葉では収まりきらないくらいのエネルギーだ。


アンコールの声に応え、ツアーTシャツに着替えて再登場。改めてバンドメンバーを紹介し、コロナ禍でも変わらずに支え続けてくれたファンへの感謝を伝える。
「よくこの期間、みなさん耐えました。楽しいことだけじゃなかったと思う。正直、辛いこともいっぱいあったと思う。でもこうやって同じ空間を共有して、声をだして、明日の活力にする……ライブって最高だぜ!」と叫ぶと、ファンは力強く拳を挙げて応える。

アンコール1曲目はニューアルバムにも収録され自身で作詞をした「エール」。「奇跡を信じるよりも 奇跡を起こすんだ」という言葉は、自分自身を鼓舞すると同時に、誰かをも勇気づけるのだろう。そしてその背中をさらに強く押すように、これも加藤作詞の「HERO」と続く。


「ひさびさに声出しを解禁してのライブで、みんなの声が自分を突き動かすということを改めて感じました。自分のこの声がみんなを突き動かすきっかけになったらいいなと思います。ずっと応援してくれた人も、あらたにファンになった人も同じ歩みで、これからも一緒に歩んでいきましょう」

ハンズクラップで始まったラストナンバーは「Laugh & Peace」。多幸感に包まれながら、ライブは幕を閉じた。Liberation(解放)の先にあったのは、ファンと彼をつなぐ“声”だった。

この“GIG”ツアーのあとは、ファンが選んだ楽曲をランキング順に歌う<Kazuki Kato Special Live "GIG" 2024 ~Count Down KK 2~>や、名曲のカバーで構成される<Kazuki Kato Concert Tour 2024 ~Respection~>なども控えている。すべて構成や演出が異なり、短時間でこれだけのライブシリーズを公演するのはかなりハードだが、

「この場所を作ってくれてありがとう。俺をアーティストにしてくれてありがとう」

そんな言葉を、MCのときにぽろりとこぼしていた。アーティスト活動20周年が視野に入ってきた今だからこそ、余計にそう感じるのかもしれない。その言葉に、きっと嘘はない。

取材・文◎加賀谷優子

ライブ情報

<Kazuki Kato Special Live "GIG" 2024 〜Count Down KK 2〜>
2024年5月31日(金)LINE CUBE SHIBUYA

<Kazuki Kato Concert Tour 2024 〜Respection〜>
2024年
6月20日(木)福岡 あいれふホール
6月22日(土)岡山 山陽新聞社さん太ホール
6月23日(日)大阪 ドーンセンター
6月27日(木)渋谷 さくらホール

<加藤和樹 LIVE in the DARK tour -星空リサイタル vol.2->
2024年
8月26日(月)・27日(火)コニカミノルタプラネタリウム天空 in東京スカイツリータウン(R)
8月31日(土)福岡市科学館ドームシアター(プラネタリウム)
9月1日(日)バンドー神戸青少年科学館ドームシアター(プラネタリウム)

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