【ライブレポート】SARD UNDERGROUND、全国ツアー<tear drops>に5年間の成長とそれぞれの決意「胸がいっぱいです」
9月16日、お台場のZepp DiverCity(TOKYO)でSARD UNDERGROUNDを観た。結成5周年を迎えて開催された初の全国ツアー<SARD UNDERGROUND LIVE 2024 [tear drops]>は、過去最大の5公演へパワーアップ、チケットは全箇所ソールドアウト。確かなキャリアと高まる期待を受け、5年間の成長を見せる大舞台だ。
◆SARD UNDERGROUND 画像
オープニングは、8月リリースのオリジナルアルバム『涙色で』の1曲目「私と恋をしてください」から。神野友亜の声がとても良く出ている。杉岡泉美の正確な指弾きベースがカッコいい。坂本ひろ美のピアノとキーボードは曲の土台というよりむしろ主役。サポートは車谷啓介(Dr)と栄先思希(G)。想像以上に骨太でタイトなロックサウンドだ。
ZARDのカバー「マイ フレンド」「突然」は、新しくアレンジし直した [tribute 2024]バージョンで。音源で聴いた時も思ったが、神野の声のパワーが依然とまるで違う。杉岡と坂本のコーラスも、ライブで聴くとよく映える。神野が大きく手を挙げてクラップを求めてる。フロアは椅子席だが、観客は1曲目から総立ちだ。
「みなさんこんばんは。今年もツアーで東京に戻ってこれて嬉しいです。思う存分私たちもみなさんも、最後まで楽しんでいってください」──神野友亜
序盤のセトリには、激しく速く熱い曲がずらりと並んだ。大人びたダークネスがカッコいいオリジナル曲「星の光」から、ZARDの「こんなにそばに居るのに」「愛は暗闇の中で」と、強烈な疾走感が半端ない。「こんなにそばに居るのに」で、坂本の弾くシンセソロはまるでプログレメタル。がらりとムードを変えてZARDカバー「GOOD DAY」は、神野の切なく激しいボーカル、坂本の抒情的なピアノが光るエモーショナルなロックバラード。デビュー5年目でつかんだ、SARD UNDERGROUNDの新境地だ。
「「GOOD DAY」は、ずっとライブで披露したいと3人で話していた曲。じーんと来ますね」──杉岡泉美
神野が観客を座らせて、しっとり聴かせるバラードのセクションへ。「夏の終わりに…」から「フタリシズカ」「sanae」と、オリジナル曲がたっぷり聴けるのが嬉しい。マイクスタンドをしっかり握って歌に心を込める、神野のまっすぐな姿勢がいい。『涙色で』の最後を飾るバラード「sanae」は、ライブで聴くとさらにエモーショナルな曲になっていた。ファルセットなのに芯の強い澄んだ声。何かをつかむように宙に手を伸ばす仕草。絵になる存在感だ。
ここから、メンバーがずっとやってみたかったというアコースティックコーナーへ。坂本のキーボードを囲むように、神野と杉岡がスツールに腰かけ、ブラシを使ったドラムと一緒にゆったりと演奏する。正確にはアコースティックではないが、バンド編成とは違うほっこりと親密な空気がいい。曲はZARDのカバー「心を開いて」と「かけがえのないもの」。デビュー当時から歌い続けている曲で、シンプルなピアノと歌が中心だからこそ、しっかりと聴かせる演奏の成長がよく見える。
「しんみりした空気から抜け出して、楽しく行こうと思います。みなさん、立っていただけますか? 一緒にドライビングしに行きましょう」──神野友亜
ここから後半、フィナーレを目指して盛り上げる1曲目は「琵琶湖大橋」。最新アルバム『涙色で』の中でも最もライブで聴きたかった曲のひとつだが、歌謡曲やグループサウンズの香りをまとうノスタルジックな曲調の破壊力は抜群。観客全員がひとつになったドライビングポーズの振り付けも、神野のカーナビアナウンスからのメンバー紹介もばっちりハマる。
神野は東京タワーとのツーショット写真。坂本は東京ばな奈。杉岡はライブ。「東京と言えば?」というトークでわちゃわちゃと盛り上がったあと、披露したのはアニメ『名探偵コナン』の最新エンディングテーマ「夢で逢いましょう」。和風を感じる憂いのあるメロディと、しっとり濡れた神野の声が良く似合う。一転して「空っぽの心」はアップテンポに乗って拳を上げ、ステージを広く歩きながら力強く歌い、「擦り傷だらけの純情」では可愛い指ピストルで観客を狙い撃ち。神野のアクションを中心に、全曲に見せ場があって飽きさせない。
「皆さん、まだまだ体力残ってますか? 声出せますね? ラストスパート行きましょう」──神野友亜
ラストは拳振り上げて熱く盛り上げる「涙色で」から、コール&レスポンスで一体感を作る「イチゴジャム」へ。曲調の幅もパフォーマンスの種類も、以前よりぐっと増えて楽しさ倍増だ。客席を半分に分けて競わせたり、「東京」をテーマにした即興の歌詞を歌わせたり、「イチゴジャム」だけでたっぷりと10分以上、やりたい放題のパーティータイム。そしてフィナーレは、これで盛り上がらないほうがどうかしている、ZARDカバー2連発「DAN DAN心魅かれてく」と「負けないで」の大合唱で締めくくる。が、「今日は本当にありがとうございました!」と叫ぶ神野の声はまだまだ元気。アンコールの拍手と歓声が鳴りやまない。
「こうやってみなさんの顔を見て、いろんな場所で会ったことを思い出して、幸せだなと感じています。本当にありがとうございます」──坂本ひろ美
「初めての5公演、いろいろなところで思い出が増えました。すごい盛り上がってくださって、みなさんのおかげで楽しいライブに毎回なってます」──杉岡泉美
「生演奏は本当にいいなと思います。ひとつの場所に集まって、同じ音楽を楽しんで、この奇跡的な空間を5ヵ所も回らせていただいて、胸がいっぱいです」──神野友亜
アンコールの2曲「君に逢いたくなったら…」「Get U’re Dream」の開放感あふれる熱演は、また会う時のための約束のしるし。ステージの上で5年間の成長をすべて見せてくれた、SARD UNDERGROUNDの未来に乾杯しよう。
……と、ここまでは東京公演の直後に書いていたのだが、その後驚きのニュースが入ってきた。すでに発表された通り、このツアーをもって杉岡と坂本がバンドを脱退し、これからSARD UNDERGROUNDの名前は神野友亜が引き継ぐとのこと。青天の霹靂だが、メンバーの意思を尊重して今はただ「ありがとう」とだけ伝えたい。東京公演レポートも、あえて何も変えずにそのままにしておく。2024年秋、3人が精いっぱいの思いを乗せたライブを見せてくれた証拠を残しておくために。そしてあらためて、それぞれの未来に乾杯しよう。SARD UNDERGROUNDの5年間を忘れないでおこう。
取材・文◎宮本英夫
■全国ツアー<SARD UNDERGROUND LIVE 2024 [tear drops]>9月16日(月)@東京・Zepp DiverCity(TOKYO) セットリスト
02. マイ フレンド [tribute 2024]
03. 突然 [tribute 2024]
04. 星の光
05. こんなにそばに居るのに
06. 愛は暗闇の中で [tribute 2024]
07. GOOD DAY
08. 夏の終わりに…
09. フタリシズカ
10. sanae
11. 心を開いて(Acoustic ver.)
12. かけがえのないもの(Acoustic ver.)
13. 琵琶湖大橋
14. 夢で逢いましょう
15. 空っぽの心
16. 擦り傷だらけの純情
17. 涙色で
18. イチゴジャム
19. DAN DAN 心魅かれてく [tribute 2024]
20. 負けないで [tribute 2024]
encore
21. 君に逢いたくなったら…
22. Get U're Dream
▼TOUR SCHEDULE
9月07日(土) 福岡・福岡トヨタホール スカラエスパシオ
9月14日(土) 宮城・仙台PIT
9月16日(月) 東京・Zepp DiverCity(TOKYO)
9月20日(金) 愛知・ダイアモンドホール
9月22日(日) 大阪・Zepp Namba
■5周年記念映像集『Film Collection 2019 – 2024 Music & History』
Blu-ray2枚組 / 52Pフォトブックレット付き / 三方背ボックス仕様
GZXA-8043〜44 ¥9,900(税込) / ¥9,000(税抜)
▼disc1【Music Film】Music Video 全29曲
・心を開いて [First edition movie] ★
・少しづつ 少しづつ (1st SG)
・これからの君に乾杯 (2nd SG)
・眠れない夜を抱いて(off chorus) ★
・息もできない(off chorus) ★
・あなたを感じていたい(off chorus) ★
・Get U’re Dream ★
・瞳そらさないで ★
・ブラックコーヒー (3rd SG)
・あの夏の恋は眩しくて (1st Original AL)
・夏の恋はいつもドラマティック(1st Original AL)
・オレンジ色(1st Original AL)
・イチゴジャム(1st Original AL)
・君には敵わない(1st Original AL)
・黒い薔薇(1st Original AL)
・夏の終わりに・・・(1st Original AL)
・Blue tears(1st Original AL)
・運命のルーレット廻して ★
・夏を待つセイル ( 帆 ) のように ★初公開
・愛が見えない ★初公開
・空っぽの心 (4th SG)
・クリスマス ケーキ(1st Mini AL)
・卒業式 (5th SG)
・その結婚、正気ですか? (Digital SG)
・役者犬のうた (6th SG)
・マイ フレンド [tribute 2024] ★
・DAN DAN 心魅かれてく [tribute 2024] ★
・涙色で(2nd Original AL)
・夢で逢いましょう (7th SG)
★=ZARDカバー
▼disc2【History Film】オフショット 約60分
■FCイベント<SARD FUNCTION presents SARD UNDERGROUND FAN CLUB EVENT 2024>
12月28日(土) 兵庫・神戸朝日ホール
※詳細は後日発表
この記事の関連情報
SARD UNDERGROUND、5年間の映像を収めた3時間超えの『Film Collection』を12月リリース
SARD UNDERGROUND、渋谷横丁をジャック
【インタビュー】SARD UNDERGROUNDデビュー5周年、2ndアルバムと『名探偵コナン』エンディングテーマ同時発売の鮮やかなインパクト「私たちらしさが明快に」
SARD UNDERGROUND、『名探偵コナン』エンディング曲が明日8/17よりオンエア+先行配信とMVプレミア公開決定
SARD UNDERGROUND、アルバムよりタイトル曲「涙色で」MV公開+先行配信決定
SARD UNDERGROUND、TVアニメ『名探偵コナン』新エンディングテーマ収録CDシングルのアートワーク公開
SARD UNDERGROUND、新曲がアニメ『名探偵コナン』エンディングテーマに決定+同時発売のニューアルバム詳細発表
SARD UNDERGROUNDデビュー5周年、2ndフルアルバムと7thシングルを8月同時リリース
【ライブレポート】SARD UNDERGROUND、初野外ワンマンで全18曲披露「めっちゃ晴れましたね!」