【コラム】いま聴きたい! 注目の女性アーティスト6選
二十数年前まではテレビ、ラジオ、雑誌などのメディアを通じて情報を得たり、ライブハウスに足を運んだりするのが好きな音楽を見つけるための主な手段だった。今やSNS、各種音楽配信サービス、動画配信サイトにもたくさんの出会いのきっかけが広がっている。気になる音源をスマホなどですぐに聴くことができるのは、音楽愛好家にとって本当に嬉しい状況だ。ジャンルレスで膨大な情報と向き合うだけでなく、何らかの枠組みを設定して探してみるのも楽しい。このコラムでは、「女性シンガーソングライター」に焦点を絞って、魅力的な活動を重ねているアーティストを紹介する。
彼女の音楽性、コンセプトは「寄り添い人」という表現で紹介されることが度々あるが、とてもしっくりくる。「耳を傾ける人々を分け隔てなく受け止めてくれる」と言っても過言ではない温かな包容力と聴く人を圧倒する歌唱力を、ぜひ実際にサブスクだけでなくライブでも体感してほしい。なお、野田愛実は1stシングル「ロスタイム」がテレビ朝日新人シナリオ大賞 スペシャルドラマ『背景、奇妙なお隣さま』主題歌に、その後も2ndシングル「yourself」から5thシングル「butterfly effect」まで全てがドラマタイアップに起用。6thシングルはテレ東系6局ネット『FAIRY TAIL 100年クエスト』のタイアップがついている。
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文◎田中 大
■野田愛実
耳にした瞬間に心の奥底にまで響いてくるかのような感覚になる歌声に触れるのは、本当に幸福な体験のひとつだ。そんな喜びを野田愛実はたっぷりと届けてくれる。透明感の核に強い意志も宿らせている歌声は、複雑に揺れ動く心を精緻に伝える語り部であると同時に、雄々しい生命の輝きも放つ。川谷絵音もその声を絶賛。先日放送がスタートしたTVドラマ『わたしの宝物』の主題歌「明日」も、野田愛実の魅力を最大限に示してくれる。この曲で描かれている「誰かを傷つけることに繋がったとしても、守り抜きたいものがある」という想いと「どんな人でも今日とは違う明日が訪れる」というメッセージは多くのリスナーが様々な形で直面する現実と地続きなのでは?彼女の音楽性、コンセプトは「寄り添い人」という表現で紹介されることが度々あるが、とてもしっくりくる。「耳を傾ける人々を分け隔てなく受け止めてくれる」と言っても過言ではない温かな包容力と聴く人を圧倒する歌唱力を、ぜひ実際にサブスクだけでなくライブでも体感してほしい。なお、野田愛実は1stシングル「ロスタイム」がテレビ朝日新人シナリオ大賞 スペシャルドラマ『背景、奇妙なお隣さま』主題歌に、その後も2ndシングル「yourself」から5thシングル「butterfly effect」まで全てがドラマタイアップに起用。6thシングルはテレ東系6局ネット『FAIRY TAIL 100年クエスト』のタイアップがついている。
■iri
ブラックミュージックを音楽性の土台としたアーティストがたくさん活躍しているJ-POPシーンの中で異彩を放ち続けているiri。今年8月にリリースされた新曲「Swamp」はTVドラマ『スカイキャッスル』の主題歌だったが、ふと耳にしてかけがえのない歌声に痺れた人がたくさんいるのだと思う。ソウル、R&B、ジャズ、ヒップホップ、レゲエなど、幅広いエッセンスを取り入れつつ、ジャンルレスとも言うべき融合を繰り広げる楽曲の数々は、聴いていると心底ワクワクさせられる。「歌」と「ラップ」というような些末な区分をリスナーに意識させることなく、多彩な歌唱スタイルをひたすら「心地よい音」に昇華しているのが彼女だ。今後も素敵な曲をコンスタントに届けてくれるに違いない。■eill
先日リリースした新曲「革命前夜」がTVドラマ『嘘解きレトリック』の主題歌となったeill。ブラックミュージック的なエッセンスを作風の核としている彼女は、他のアーティストへの楽曲提供、客演でも魅力を示してきたが、幼馴染と結成したバンド・CHIANZでの活躍も目覚ましい。eill(Vo, Key, Mp)、シンガーソングライターのFoi(Vo, G)、YABI×YABIのChie(G)、YABI×YABIと女優業を両立させている月川玲(B)──という編成で着々とリリースとライブを重ねている。新たな表現の場は、ソウル、R&B、K-POPが主な音楽的ルーツのeillに未知の刺激も与えているはず。ソロとバンド活動の両軸の相乗効果は、彼女をどのように進化させるのだろうか? 今後の動きが楽しみな存在の1人だ。■shallm
liaによるバンドプロジェクト・shallmも、“ソロシンガーによるバンド”に当てはまるだろう。先日リリースされた1stフルアルバム『charme』は、彼女が全曲を作詞作曲。数々のボーカロイド楽曲に触れながら育った彼女の音楽は、激しい音程の高低差と怒涛の展開を人力歌唱で乗り切るスリルの塊だ。ロックだけを聴いていたら育まれなかったであろう感性と歌唱スキルをバンドミュージックに取り入れているのが非常に興味深い。TVアニメ『姫様“拷問”の時間です』のオープニングテーマ「まっさかさマジック!」のようなキャッチーなナンバーはもちろん、アグレッシブな作風でも独特な魅力が発揮されている。「暴動」や「脳内ディストーション」は、猛烈にかっこいい。斬新なバンドサウンドを求めているリスナーにもぜひチェックしていただきたい。関連リンク
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■乃紫
音楽の発信の場としても機能している様々なSNSの中でもTikTokの存在はやはり大きい。「全方向美少女」の大ヒットが記憶に新しい乃紫の歌を幅広い層に届けるきっかけとなったのも、まさしくTikTokだった。本格的な音楽活動をスタートさせたのは2023年だが、活躍の場は急速に広がり続けている。オリジナル曲の数々がTikTokでミリオン再生を連発していることでも示されている通り、耳にした瞬間にリスナーに鮮烈な印象を残すフレーズを音と言葉の両方で連発するセンスがものすごい。作詞・作曲・編曲・歌唱・アートワークまでを自身で手掛ける高いセルフプロデュース力は、たくさんの可能性を秘めている。音楽活動を主軸としながら多彩なジャンルともリンクしていくことができそうな新世代アーティストだ。■カノエラナ
SNSに投稿した30秒弾き語り動画シリーズで注目を集めて以降、ソングライターとしての卓越した才能に注目が集まったカノエラナ。最近はアニメタイアップでも才能を発揮している。かねてからアニメが大好きである旨を語っていた彼女にとって、アニメソングの書き下ろしは楽しくて仕方がない表現の場となっているのだと思う。作った曲が流れる作品の世界観、イメージ、大切なキーワードを反映するスキルが圧倒的だ。番組で放送される約90秒の尺にアニメファンも唸る要素を鮮やかに刻み込む様は、例えば『夜のクラゲは泳げない』のオープニングテーマ「イロドリ」でも感じることができる。奏でるピアノやギターをダイナミックに躍動させる弾き語りも素晴らしいアーティストなので、気になる人にはライブに足を運ぶこともお勧めしておきたい。文◎田中 大