【鼎談】coldrain × HEY-SMITH × SiM、TRIPLE AXE<THE LAST TOUR>の真実を語る「今まで考えてもなかったようなことが起きるかもしれない」
■通り名を付けて3マンでやるっていうのが
■もし俺らの影響やったとしたらうれしい
──最初からこの3バンド、この3人は意気投合できたんですか。それとも何回か対バンする中で意気投合していったんですか?
猪狩:俺は意気投合できたと思ってるけど、「いや、そんなことはない」って言われるんで、二人の意見を聞いてみたい。
MASATO:いや、でもね、HEY-SMITHとcoldrainの初対バンは、会話はほぼゼロなんで。
猪狩:あれは神戸だったな。
MASATO:そう。ただ同じ会場でライブしただけで、まったく意気投合しなかったんですけど、その1年後だったかな。MAHからデモを渡されて、「あいつら、めちゃくちゃカッコいいから、仲良くなってほしいんだよね」って言われて。
MAH:俺が渡したんだ?
MASATO:そう。HEY-SMITHの音源をもらって、その後、club asiaでやった<DEAD POP FESTiVAL>でHEY-SMITHと一緒にやった時に、MAHが言ってることがわかったんですよ。
MAH:そうか。2010年の1月に初めてやった<DEAD POP FESTiVAL>で、coldrainとHEY-SMITHは意気投合したのか。
猪狩:そうだと思う。
▲MASATO (coldrain)
──MAHさんと猪狩さんは、すでに仲良かったわけですね?
猪狩:そうですね。出会うのはすごく早かったです。俺らがCDを出す前に出会ってますからね。
MAH:当時は俺、本当にひん曲がってたので、人間なんかどうでもよかったから、人間的に意気投合するまでには、たぶんすげえ時間が掛かってるんですけど、でも、音楽的にはもうすぐに、“なんだ。こんな奴らがいたのか”ってなっていて。俺は神奈川で生まれ育って、渋谷でずっとバンドやってたから、“俺らが日本で一番カッコいいでしょう”ぐらいに思ってたんですけど、“うわ、名古屋にこんな奴いんの? はぁ!? しかも同い年だし”とか、“大阪にこんなスカとかレゲエとか入った奴いんのか!?”みたいな。“これはもう出会うしかない”と思って、そこから何度か対バンしていくうちに、ちょっとずつ距離を縮めていったという感じでしたね。
MASATO:うまい具合にSiMが間にいたっていうのはあるかもしれないですね。
猪狩:そうかも。
MAH:他にも俺たちを繋げようとしてくれた人がいたんですよ。
猪狩:あー、確かに。
MAH:ライブハウスの人とか、服屋さんの人とか、DJの人とか。
猪狩:いたね。
MAH:「最近あいつらカッコいいから、絶対合うと思うんだよね」みたいな人がいろいろな人を繋げようとしてくれてたんですよ。
MASATO:だって俺、地元の先輩から「神奈川のSiMってバンドのMAHって奴、絶対見てきたほうがいいよ」って言われて、名古屋から大阪に見に行くだけ見に行って、カッコよかったからムカついて、そのまま帰ってきたんですよ。紹介もしてもらわずに(笑)。
▲猪狩秀平 (HEY-SMITH)
──いいエピソード(笑)。じゃあ、音楽のカッコよさを認め合って、その後、人間的にも好きになっていったわけですね。
MAH:俺はそうだな。
MASATO:何よりもベクトルが一緒なんですよね。常に本気だし、ナメたことを言ってるの聞いたことないし。そういうモチベーションだったり、バンドをやってく上での熱量だったりがズレてないと言うか。そういう意味では、共感するポイントも多いし、何かを気づかされることも多いし。何よりもそういうマインドが好きっていうのはあるのかな。
──<TRIPLE AXE TOUR>を12年間やってきて、どんな成果を残せたと考えていますか?
MAH:一般的な認知度はさておき、バンド業界で知らない人は、たぶんいないってレベルまでがんばってきたとは思ってるんだけど、どうなんだろう?
猪狩:いや、全然そう思うよ。
MAH:こんなことってないじゃないですか。TRIPLE AXEって通り名が認知されていて、みんなの中で俺ら3バンドがぱっと思い浮かぶって、すごいことだと思うんですよね。
猪狩:すごいと思う。しかも、俺たちのちょっと後にフォーリミ、オーラル、ブルエンがONAKAMAって始めたじゃない。俺、それがけっこううれしくて。だって、通り名をしっかり付けて、3マンでやるって。
MASATO:たぶんTRPLE AXEがなかったらないかもしれないもんね。
猪狩:普通だったら、“×××SHOW”とか“×××NIGHT”とかみたいなんで、一発で終わると思うんですけど、彼らも何回かやっていて。通り名を付けて3マンでやるっていうのが、もし俺らの影響やったとしたらうれしいし、その下の世代にもそういうバンドたちがいるし、そういう一つの指標みたいになれたのかな。それはうれしいです。どんどん真似してほしい。
▲MAH (SiM)
──TRIPLE AXEってバンド主導のツアーだったじゃないですか。それに加えて、みなさんそれぞれにフェスを主催している。つまりバンド主導で動くことを重視していると思うのですが、バンド主導で動くことの意義については、どんなふうに考えていますか?
MAH:逆に事務所の意向で動く奴が、俺は理解できないです。自分で作った音楽なのに、ライブをやる場所だったり、自分の見せ方だったりを人に指示されるなんて、俺は耐えられない。だから、意義も何も、超普通に自然に生きてるだけって感じですね、俺の中では。
猪狩:俺もそう思います。事務所とかの意向でやりたいなら、こういう根底にパンクみたいな魂を持ってる音楽にならないかな。そういう人は普通にポップスとかアイドルとかやるんじゃないですか。そっちのほうが向いてると思います。俺らはそれに向いてないから、逆に自分でやるしかないって言うか、やりたいからやっているんですけど。だから、自然にやってるだけだと思います。
MASATO:何もかもがずっと延長線上にあるって言うか、普通にジモバン(=地元バンド)としてライブやってたら、いつの間にか全国を回ってるようになっていて、でかい会場でやるようになって、フェスに出るようになって。で、<京都大作戦>みたいなフェスを見せてもらって、自分たちでもやりたくなって。そうしたら仲間のバンドもやるようになって、それに勝つにはと言うか、“じゃあ俺たちには何ができるか”ってやってきただけだから、二人も言ってましたけど、そこは自然だったって言うか、当たり前のことでしたね。
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