【対談】SOPHIA松岡充 × SIAM SHADE栄喜、30周年を迎える両バンドが奇跡の共演「僕は絶対に運命だと思う」

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SOPHIAの松岡充がSIAM SHADEの栄喜に声をかけ、両バンドのデビュー30周年を祝う一夜限りのビッグイベント<1995 SIAM SOPHIA-G>が2025年2月9日、大阪城ホールにて開催される。同い年、同時期デビュー、同じシーンを駆け抜けながら交わることがなかった2組のバンドメンバーが今、同じステージに立つ。発起人の松岡曰く「僕は絶対に運命だと思う」という奇跡のイベントの実現だ。

◆SOPHIA松岡充 × SIAM SHADE栄喜 画像

SOPHIAは1995年10月にミニアルバム『BOYS』でメジャーデビュー。10枚のオリジナルアルバムをリリースするも2013年8月に活動休止。9年後の2022年10月に約束の地・日本武道館で活動を再開し、現在に至る。一方のSIAM SHADEは、同じく1995年10月にシングル「RAIN」でメジャーデビュー。2002年に解散するも、2007年、2011年、2013年、2015から2016年にかけて、期間限定再結集を果たしている。

デビュー30周年を迎える2025年2月の共演は、前述したとおり松岡の発案によるもの。先ごろ公開した松岡パーソナルインタビューでは、「この先、もっともっと刺激的な企画が生まれそうですね」という問いに、「楽しみにしていてください」と答えていたが、早速それが現実となるかたちだ。また、SIAM SHADE栄喜曰く「松ちゃんから、連絡があったのはバンドの問題が解決した直後だった」とのこと。巡り合わせ、ライバルであり盟友との宿命、避けられない未来とでも言おうか、まさしく運命的な共演として、歴史に刻まれる事件となるはずだ。

なお、<1995 SIAM SOPHIA-G>当日は、同じく1995年に芸能活動を開始したガレッジセールを総合司会に迎えて、数々のユニットも披露されることが予告されているなど、“1995年デビュー”という一貫したテーマでの開催となる。BARKSは松岡充と栄喜に直撃。同イベント始動に至る詳細をじっくりと語ってもらった。


   ◆   ◆   ◆

■松ちゃんも“並走してた”と言いましたけど
■僕らもSOPHIAはライバルだと思ってたから


──どんなことが起きているのか、まだ状況が掴めていないのですが。

松岡充:それはたぶん、栄喜もそうです(微笑)。

栄喜:本当ですよ! ここ1ヶ月くらいなんですよ、松ちゃんから連絡が来たのは。

──ビッグプロジェクトなので、随分前から水面下で計画されていたのかと思いきや。

松岡:いや、僕の中にはあったんですよ。でもSOPHIAのライヴ(<Symphonic Night><スターライトヨコハマ><スターライトコウベ>)が立て続けにあったので、スタッフには「それをやりきるまで待っててくれ」とずっと言っていたんです。

──松岡さん発案のプロジェクトなんですね。

松岡:はい。もちろんずっと考えていたし、僕の気持ちをしっかりと伝えれば、「分かった」と栄喜が言ってくれるだろうという絶対の自信があったんです。もしかしたら物理的な問題があるかもしれないけど、そのときはそのときで大人として対処するし、できなかったら仕方がない。でもね、気持ちさえあればできちゃうんです。バンドってそういうものじゃないですか。だから他の要素…興行的にうんぬんとかビジネス的なことはまったく考えてない。とにかくSIAM SHADE栄喜と一緒に演りたいと。

──松岡さんのその熱く強い思いだけで実現に至ったと。

松岡:はい。まず最初に、デビュー30周年に何をやろうかと、時代を遡っていろいろ考えたんですね。栄喜と知り合ったのはもうずいぶん前だし、彼らとSOPHIAはデビューも同期なのに、ずっと交わることなく並走してここまできた感じで。

──両バンドは1995年デビューの同期で2025年に30周年を迎えますが、対バンやイベント共演の話はあまり聞いたことがありません。

松岡:常に意識はしていたんだけど、たとえば連絡を取り合って「飯に行こうよ」って距離感でもなかった。でも、こうして大人になって…随分遅い大人だけど(笑)、今ならいろんなものを飛び越えて、一緒にできるんじゃないかなっていう確信が僕にはあったんです。でも、栄喜の連絡先も知らなかったから、まずXをフォローして、「一回会って話そう」とDMを入れたんです。

栄喜:ビックリしましたよ、本当にいきなりでしたから(笑)。DMで返信したら「一緒にやらないか?」と。そんな声かけだったんですよ。松ちゃんもさっき「並走してた」って言いましたけど、僕らもSOPHIAはライバルだと思ってましたから。

──ライバル?

栄喜:ええ。当時、スタイリストさんに「僕にも松ちゃんみたいなオシャレな衣装、持ってきてくださいよ」って言ったら、「あなたみたいにデカい人が着れるサイズはない!」って、よく逆ギレされてました(一同笑)。


──好敵手としてお互いを見ていたなんて、当時はまったく分からなかったです。

松岡:だからこそデビュー30周年は、この顔合わせしかないだろうと僕は確信したんですよ。栄喜は憶えてるか分からないけど、Rose Noir(松岡充と豊田和貴[G]がSOPHIA結成前に在籍していた関西ヴィジュアル系バンド)時代だから1993年とか1994年かな。SIAM SHADEの噂は聞いてたんですよ、「関東にLUNA SEAの次に出てきたすごいバンドがいる。今度イベントで関西に来る」と。

──それが初共演だったわけですか?

松岡:YANTA鹿鳴館のイベントで、Rose Noirの次が彼らの出番だったんですよ。ステージ裏の狭い楽屋で、それこそ一触即発みたいな感じですれ違ったんだけど。そこにメッチャたっぱ(身長) があって、髪を逆立てて、agnes b.みたいな黒ガウンを着て、黒い羽を首に巻いてたヤツがいたんだけど。それが栄喜だった。

栄喜:いや、あれは作務衣みたいなサウナ服ですから(笑)。当時、お金がなくてホテルに泊まれないからサウナに泊まってたんですよ。今だから言えますがそのサウナの黒い服を着てたんです。羽はつけてたかもしれないけど(笑)。

松岡:それがむちゃくちゃカッコよかったんだよね。そのあと僕はSOPHIAを結成するんだけど。まだインディーズのときに、僕とSIAM SHADEの栄喜とREDIEAN;MODEのSHINYA君、Eins:VierのHirofumi君の4人で音楽雑誌(V系専門誌『Vicious』)の表紙になったんですよ。SOPHIAの松岡として栄喜と会ったのは、そこがスタートです。当時は栄喜じゃなくてCHACKだったよね。

栄喜:やったやった! 憶えてる。当時は“なんで僕がここに入ってるのか分からない”って感じだったんですけどね。表紙のセンターを飾ったのは松ちゃんですよ。このとき既に僕らとは差があったんです(一同笑)。その直後、ほぼ同時にメジャーデビュー(1995年10月)するんですけど、音楽雑誌の掲載ページ量で言えば、SOPHIAがカラー10ページに対して、僕らはモノクロの小さいところから始まって。SOPHIAのデビューは鳴り物入りでバーン!って感じだったから、僕らはずっと羨ましくて嫉妬してました。本当にずっと意識してましたから。

松岡:いやいや。僕らからすると、SIAM SHADEの所属レーベルはソニーで、事務所はアミューズっていう超大手からのデビューだったから、“これはやべぇぞ”って思ってましたよ。

──お互いが羨んでいたわけですね。

松岡:ですね。しかもデビュー月まで同じだったから余計に意識してたかも。で、同い年なんですよ。

栄喜:そうです。

──個人的な付き合いが始まったのは?

松岡:バンド活動以外のところで、LUNA SEAのRYUICHI君の存在が大きいですよね。栄喜はRYUICHI君の弟みたいな感じだったし。僕はたまたま縁あって、RYUICHI君がSOPHIAのデモテープを聴いてくれて、声を掛けていただいて。その後、可愛がってもらってたから、そこでも栄喜とはすごく近い存在ではあったんです。

栄喜:たぶん最初は、RYUICHI君に松ちゃんを紹介してもらって。そこから仲良くなった気がする。

松岡:それもずいぶん年月が経ってからだったけどね。

栄喜:そうそう。RYUICHI君が「SOPHIAって知ってる? 充とは仲がいいんだけど、今度一緒にどう?」って。僕としては嫉妬心もありましたし「マジっすか!?」と。でもね、やっぱり会って一緒に話すと、この顔にやられちゃうんですよ(笑)。

松岡:ははははは!

栄喜:結局、この顔に見つめられたらなんでも許しちゃう、許せちゃうんですよね。それまでのいろんな感情が全部浄化されて。いつの間にか“松岡軍団”に入ってるんですよ。

松岡:ははははは。ね、栄喜って優しいでしょ? でも、僕もそうなんですよ。会って話をしてみたら、栄喜の“漢(おとこ)だな”っていう部分にやられるんです。メジャーデビューすると、音楽活動が仕事になるわけで、惑わされるようなことがいっぱいあるんですよ。当時はそんな時代だったし、そのなかでSOPHIAだったり僕自身は“流されたくない”と必死でやってきた。それってメジャーの人からすると「なに甘いこと言ってるんだ。いつまでインディーズ気分なんだ」って話なんだけど、そこだけは譲らなかった。僕は、SIAM SHADEもそれを貫いてるなと思っていて、たぶんそれは栄喜がそうさせてるんじゃないかなと感じてたんです。

──同じようなものを持っていると。

松岡:実際に会って話してみたら栄喜は、素直だし、嘘をつかないし、一本気だし、しゃべってて気持ちいい。音楽を聴いてもそうなんですよ。「1/3の純情な感情」で一気にブレイクして突き抜けたときは、やっぱり凄いなと思いましたし、そのときのことはいまだに忘れられない。だから、この30周年をきっかけに一緒に演りたいと思ったし、これをきっかけにもう一回復活してほしい。個人的にはそういう気持ちが強いんです。

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