【日本DJ協会 presents Spotlight DJ's】介護施設でDJイベントを開催する理由とは?[後編]

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2024年から始まったインタビュー企画【Spotlight DJs】の前回前編では、DJ GENが高齢者施設で開催したDJイベントについて話を伺ったが、後編では、重度心身障害者施設「生活介護事業所らぽーと」でのイベントや、障害を持つ方々にも安心して楽しめるクラブイベント<INCLUSIVE TOKYO>に焦点を当て、その取り組みや想いについて話を聞いた。


DJ GEN

──重度心身障害者施設である生活介護事業所らぽーとでイベントを開催することになった経緯を教えてください。

DJ GEN:渋谷で開催した「INCLUSIVE TOKYO」というイベントがきっかけで、声をかけていただきました。そのイベントでは、スロープや多目的トイレを設置し、障害を持つ方々が安心して参加できる環境を整えました。この取り組みが評価され、生活介護事業所らぽーとさんでクリスマスイベントを実施することになりました。対象者は20代から50代と幅広く、若い方から同世代の方まで楽しめるように選曲しました。



──イベント当日の雰囲気はいかがでしたか?

DJ GEN:最初は利用者さんがどう反応するか不安もありましたが、12月ということで山下達郎さんの「クリスマス・イブ」を流したり、ダンスミュージックの名曲「AXEL F」などをかけました。どの曲でも利用者さんが体を揺らしたり、リズムに合わせて楽しんでいる姿が印象的でした。SUさんのセットでは「ROSE & Bruno Mars - Apt.」やCreepy Nutsの楽曲も流れ、最近の音楽にも反応が良かったです。意外と新しい曲をチェックしている方も多くて驚きました。



──利用者やスタッフの反応で印象深かったことは?

DJ GEN:利用者のある親御さんが「うちの子はライブやクラブに行くことができないけど、今日のイベントで普通の青春を味わわせてあげることができた」と言ってくださり、本当にやってよかったと感じました。



──GENさんが開催しているINCLUSIVE TOKYOはどのようなイベントですか?

DJ GEN:障害を持つ方々も安心して参加できるクラブイベントです。会場にはスロープを設置し、車椅子ユーザーの目線に合わせたバーのドリンクメニューや、美容・ファッションのブースを導入するなど、音楽以外の楽しみ方も提供しています。



──このイベントで特に工夫した点を教えてください。

DJ GEN:日本では、車椅子ユーザーがイベントに参加しづらい環境が多いですが、このイベントでは段差をなくし、他の参加者が自然にサポートできる仕組みを取り入れました。マツエクやアパレルのブースを設置することで、音楽以外の要素も取り入れ、多様な人々が楽しめる場にしています。事前に車椅子ユーザーの参加を周知することで、周りの参加者も自然に受け入れる雰囲気が生まれました。



──次回の開催予定はありますか?

DJ GEN:次回は5月に大阪のクラブで開催予定です。今後も全国各地でイベントを展開し、障害を持つ方々と音楽を通じてつながる場を広げていきたいと考えています。

──DJ活動を通じて社会貢献の可能性についてどう感じていますか?

DJ GEN:DJは単に音楽を流すだけでなく、与えられた時間の中でストーリーを作り、感情を動かすことができます。この力はクラブ以外の場でも発揮できると実感しています。実際に施設でDJをすることで、利用者さんが音楽に合わせて体を動かし、心から楽しんでいる姿を見ると、音楽の持つ力の大きさを再認識します。



──今後挑戦したいイベントやアイデアはありますか?

DJ GEN:子ども病院など、普段外出が難しい方々に「普通の楽しさ」を届けるイベントもやってみたいと考えています。また、障害があっても選択肢が多い社会を目指し、音楽を通じてその可能性を広げていきたいです。自分や家族がいつ何が起こるかは分からない。他人事ではなく、選択肢がたくさんある社会を作ることが大事だと考えています。まずは自分ができることから広げていきたいですね。

DJ GEN

2008年からDJ活動開始 PLAY STYLEはTRANCE、HOUSE、TECHNOを中心に、独自の選曲やパフォーマンスで今までに全国のCLUBにてGUEST出演や野外フェスへの出演など全国で活躍している。プロデュース面ではヘアーショー、ファッションショー、私鉄電車内でのディスコイベント、介護福祉士の資格を活かして高齢者を対象としたリハビリを兼ねたシルバーディスコ、多様性はあたりまえをテーマに開催する【INCLUSIVE】の主催など多岐にわたる。地域創生、福祉などを軸に アート、ファッション、美容、音楽、食など様々なコンテンツを取り入れそれぞれに合ったイベントプロデュースを行っている。



◆DJ GENオフィシャルistagram

◆一般社団法人日本DJ協会オフィシャルサイト
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