【ライブレポート】Kroi、等身大のまま最高到達点へ「最高にオモロいです」

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3rdアルバム『Unspoiled』のリリースに伴い開催されたKroiの全国ツアー<Kroi Live Tour 2024-2025 "Unspoil">。追加公演として設けられた神奈川・ぴあアリーナMM公演は、Kroiのワンマン史上最大規模の公演で、「行けるところまで行く」と日頃から言っている彼らの現時点での最高到達点だった。

◆ライブ写真

そのステージでバンドは最高の姿を見せてくれた。開演時刻を迎えると、内田怜央(Vo)、関将典(B)、 長谷部悠生(G)、 益田英知(Dr)、 千葉大樹(Key)がやってきた。場内は薄暗く、メンバーの姿は客席からはっきりと見えるわけではないが、開演を心待ちにしていた観客は5人の登場に早々に気づき、喜びながら歓声を送る。ライブは、5人によるセッションからスタート。メンバーの背後に映るバンドのロゴがギターの音の波とともに揺れ、ドラムのビートに合わせて照明が点滅する。セッションが進むにつれてじわじわと音数が増していき、そのまま1曲目の「HORN」に突入した。


曲が終わると益田のキックが「Psychokinesis」を呼び、さらに「Network」「Balmy Life」と、最初のブロックでは数曲が連続的に演奏された。客席は引き続き暗いが、バンドのアンサンブルに揺れる観客のシルエットを確認することができる。そして内田がリズム感冴えわたるラップを披露したり、長谷部が前に出てきてギターを鳴らしたりすると、拍手や歓声が上がる。とても純粋な喝采だ。ロックに泥臭く疾走した「dart」では、関がキレのいいスラップをかまし、千葉、長谷部、益田の順で素晴らしいプレイが続いた。仲間のプレイを一番近くで観ている内田が、観客と同じくらい踊り狂っているのが微笑ましい。メンバーはプレイヤーであると同時にKroiの一番のファンであり、観客も含め、この空間にはKroiの音楽を愛する人しかいないのだと実感する瞬間だ。


滋味豊かなアンサンブル。友との談笑の延長線上にあるメンバーの佇まい。バンドの鳴らす音楽、この5人だからこそ生まれる心地よいグルーヴに身を委ね、観客は揺れている。メンバーからファインプレーが出た時に飛ぶ歓声。「そう来たか」と他のメンバーがリアルタイムで反応して生まれる音楽的なやりとり。また上がる歓声。大規模会場だからこそトライできる演出もあったはずだが、この日のKroiはバンド自身を大きく派手に見せるための特効は使わず、飾らない自分たちのままステージに立っていた。その上で(大会場で自分たちの音をどう響かせるかという試行錯誤はあっただろうが)典型的なアンセム像に寄せるというよりかは、どこか異質で新しい音像をアリーナに響かせて、大衆を沸かせているのが痛快だ。およそ1年前に行った日本武道館ワンマンの経験も、きっとこのステージに還元されているのだろう。



「dart」演奏後に起きた大歓声に「あざーっす」と返してからのMCも、普段通りの印象。7曲目「Monster Play」では、今はドラマーだが元々ギター少年だった益田が「俺は学生の頃からブルースが好きで……」と語りながらギターを弾き倒す場面もあった。ライブの中盤では、ミドル~スローナンバーを中心に披露し、さらなる深みへと差し掛かる。「Pass Out」の長尺ベースソロ、「Shincha」で千葉が奏でた美しい音色にオーディエンスは酔いしれた。その後は「ぴあアリ」と連呼する短いセッションとともにライブの終盤へと向かっていく。



「帰路」のあとのMCで、内田が結成当初を振り返り、「月の半分、仕事終わりに小さいライブハウスに出ていたような人たちがアリーナに立ってる。すげえオモロいことが起きてるんですよ」と語った。その後続いた「それに加担してくださってるみなさん、最高にオモロいです」という言葉は、内田から観客への最大級の賛辞であり、感謝の気持ちも込められていたことだろう。そして本編最終ブロックへ。

「selva」での火花散らす関&長谷部のソロの掛け合い。中東色増し増しで、ツアーを経てより濃い曲に進化した「Sesame」。ラテンのリズムで駆け抜けながら観客を踊らせる「Amber」。「Hyper」はバンドの演奏と観客の合唱がぶつかり合っている。凄まじい熱量だ。本編ラストを飾ったのはキラーチューン「Fire Brain」。楽曲終盤のブレイクでは内田が、幼い頃死ぬのが怖かったと、だから曲を書いて遺せているのが幸せなのだと語った。熱い言葉に湧き上がる歓声。やがて演奏再開。内田の言葉に4人も触発されたのか、この日一番の燃えるような演奏だ。彼らの鳴らしたサウンドの余韻は、ステージを染めた赤の照明とともに観客の脳裏に焼きついたはずだ。


止まない拍手と歓声に呼ばれたKroiは、アンコールとして3曲を披露した。そして来年1月にアリーナツアーを開催することを発表した。彼らはこの日も「行けるところまで行く」と言っていた。その旅はまだまだ続くということだろう。等身大でストレンジなままアリーナまで辿り着いたKroiが、次のステージでどんな音楽を聴かせてくれるのか楽しみだ。

取材・文◎蜂須賀ちなみ
写真◎Daiki Miura、Kaito Ono

<Kroi Arena Tour 2026>

【特設ページ】 https://special.kroi.net/arena2026

【日程】
2026年1月11日(日) 大阪城ホール 開場 : 17:00 開演 : 18:00
2026年1月23日(金) 国立代々木競技場第一体育館 開場 : 17:30 開演 : 18:30

【TICKET】
・前売り
通常席(全席指定)  前売り 9,000円(税込)紙チケット/電子チケット どちらも可
U-20チケット(全席指定)  前売り 7,800円(税込)紙チケット/電子チケット どちらも可

・枚数制限
FC先行 1人2枚まで(同行者非会員可能 )
一般先行 1人4枚まで

・公式FC”ふぁんくらぶ”最速先行
2月1日(土)20:30~2月16日(日)23:59
https://kroi-fc.net/news-entry/4163/

・オフィシャル先行
2月17日(金)12:00~3月2日(日)23:59
https://w.pia.jp/t/kroi-t/

※小学生以上チケット必要
※小学生未満のお子様は保護者様1名につき、膝上に限り1名まで入場無料。但し、お席が必要な場合はチケットをご購入ください。

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