【インタビュー】水瀬いのり、「この幸せを1日でも長く続けていきたい」

水瀬いのりが、3月12日にLIVE Blu-ray『Inori Minase LIVE TOUR heart bookmark』を発売した。
本作には、ハーフアルバム『heart bookmark』発売後に全国6都市7公演で開催された同名ライブツアーより、ファイナル千葉 La La arena TOKYO-BAY day2公演の模様が収録されている。
2025年12月にアーティスト活動10周年を迎える水瀬いのりの“bookmark=お気に入り”をたっぷり詰め込んだ本ライブを、本人と振り返ってみたいと思う。ぜひLIVE Blu-rayと一緒に、このインタビューを楽しんでほしい。
◆ ◆ ◆
◼︎自分の言葉で、自分の音で
◼︎何かを届けることへの恐怖がなくなった
──LIVE Blu-ray『Inori Minase LIVE TOUR heart bookmark』のジャケットですが、水瀬さんが栞になるというのは、面白いアイデアですよね。
水瀬:ジャケットやグッズのアートワークを、同じデザイナーさんと一緒に作っているのですが、ひとつのライブをするときに、グッズとパンフレットとライブパッケージで、違うデザイン案を用意していただくんです。そのパッケージのデザイン画のひとつに「栞になったいのり」というものがあったんです。このポップな感じと、ちょっとへんてこかわいいみたいなところが、今回のツアーのテーマにマッチすると思い選びました。その際、お洋服の色をピンクと緑にして、ライブタイトルロゴの色に合わせたのもポイントになっているんですけど、共通したデザインチームだからこそ、そういう繋がりを意識して作っていくことができました。
──それにしても、この髪型がかわいいですよね。
水瀬:ありがとうございます(笑)。デザイナーさんのこだわりとしては、ポップで、本に住んでいるかわいい妖精さんっぽくして撮れたらいいなということだったんです。このヘアスタイルも含めて、今まで挑戦したことがない世界観になったと思うので、私自身も楽しみにしていました。ただ個人的には、かわいさみたいなところをどのくらい表現できるのか、その自信はあまりなかったので、ずっと妖精さんのようにひょこひょこするのではなくて、落ち着いたカットも撮っていただくというのはこだわりです。あまりファンタジー空間になりすぎないようなバランスで撮っていただきました。
──本に挟まっている感じもいいですよね。
水瀬:本自体はハートマークが刻印されているシンプルなものなんですけど、本の中には私のこれまでの思い出がたくさん詰まっているんです。で、この中の1ページが、今回のツアーなんだよっていうことになっていて、すごく気に入っています。

──同じタイトルの作品でも、アルバムとライブで、違う趣があって良いですよね。
水瀬:ブックマークには“お気に入り”という意味があって、お気に入りを集めるという意味で、アルバムジャケットはコラージュになっていたんですよね。でも今回は、そのアルバムのツアーを終えた映像作品なので、“総括”みたいなところはあります。
──ツアーの話をしていきたいと思いますが、10周年ツアーのような、9周年のツアーでした(笑)。
水瀬:そうなんですよ。まるで10周年みたいな感じで、私もやりながら、来年どうするんだろうって、ちょっと思いました(笑)。個人的には、周年をお祝いしていただくのは嬉しいですし、5周年のときはコロナ禍で無観客だったので、次の10周年は、皆さんとお祝いできるんじゃないかなっていう楽しみもあります。でもやっぱり8周年とか9周年がなければ、10周年までいけないので、基本的には毎年ハイライトで、毎年お祝いしたい気持ちなんです(笑)。だから通過点という感じもしてなくて、ずっと全力で、毎年何かをしているなっていう感じの9周年ツアーでした。
──1stハーフアルバム『heart bookmark』を引っ提げてのツアーでしたが、ライブで歌って初めてわかる感覚もあると思うんです。ツアーを終えた今、改めてどんなハーフアルバムだったと感じていますか?
水瀬:1stハーフアルバム『heart bookmark』は、これまでの活動がなかったら歌えていなかった楽曲たちだと思います。アルバムを制作しているときは、別に足りないものという感覚もなかったんですが、ライブで歌ってみると、今までの自分になかった要素を『heart bookmark』は担ってくれているなと感じたんです。それもこれも、今までの自分がなかったら、ここまでの説得力を持って歌うことはできなかっただろうなって感じながら、ステージで歌っていました。
──足りなかった要素というのは?
水瀬:自分自身を信じる気持ちや、多くを語らないけど分かりあえている感覚のような……。目に見えないものが本当にあるんだというのを感じられるような曲だったんですよね。実は、4thアルバム『glow』のとき、それを目指して作っていたんです。日常にある輝きとか、気づく人にしか気づけないもの。当たり前を大切に、みたいなところを指標にして作ったのが『glow』なんですが、その時の自分は、どこか言い聞かせているというか、「こう在りたい!」という気持ちがあったんです。でも、この『heart bookmark』ツアーで、気づいたらそういう理想の自分になれていたという感覚があったんです。もう自分は、そうなりたいと夢見ていたフェーズになれているんだという瞬間が多々あって、ステージ上で、バンドメンバーと目が合うだけで何を考えているのか分かるみたいな(笑)。「今、良いライブができてるよね!」って、脳と脳で会話できている感覚って本当にあるんだ!と感じられたツアーでした。
──そのフェーズに導いてくれた、ハーフアルバムだったんですね。
水瀬:はい。いい意味で冷静にステージにいられたツアーで、何でも来い!って感じでした(笑)。今までは、無事にステージを終えられますように!って考えていたんですけど、このツアーは、たとえ自分のコンディションや舞台の演出が100%大成功にならなくても、今できる最高を見つけられる!我々はそれをカタチにできる!という謎の自信がずっとあったんです。そういう意味では、自分の成長だけでなく、チームの成長も感じました。
──それはやはり、続けてきたからこそ、なんでしょうね。
水瀬:そうかもしれないですね。自分の言葉で、自分の音で、何かを届けることに対する不安や恐怖がなくなった感じがするんです。今までは、これを言ったら私っぽくないのかな?とか考えてしまっていたんですけど、自分が一番自分のファンでいたいよね!みたいな、そんな気持ちになれていたんです(笑)。
──それは、ファンとの信頼関係もあるからですね。
水瀬:自分が誰かを応援するときも、そんな気持ちでいたなということを思い出したんです。推しが幸せであれば……ってあるじゃないですか。これこそ原点だな!って気持ちになりました。自分が自分で良かったというのを毎公演感じたので、この上ない幸せでした。
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