【インタビュー】香取慎吾、主催フェス密着ドキュメント放送直前に語る「微かにあった緊張感が解けて『Circus Funk』で爆発した」

香取慎吾が2024年11月、約2年7ヵ月ぶり3rdアルバム『Circus Funk』をリリースした。これに伴って同年12月3日および4日の2日間、国立代々木競技場 第一体育館で開催された初のアリーナでのフェス<“Circus Funk” Festival>はアルバムレコーディングに参加した豪華ゲストたちが出演。計9アーティストが参加した2日間に約18,000人が熱狂した。
◆香取慎吾 画像
<“Circus Funk” Festival>の模様を含め、香取慎吾のライブイベントや出演映画、インタビュー特番などを交えた『香取慎吾 × WOWOW 3カ月連続特集』がWOWOWにて放送・配信中だ。3月16日にはフェス<“Circus Funk” Festival>の密着ドキュメンタリーと撮り下ろしインタビュー『香取慎吾 インタビュー&ドキュメンタリー “Circus Funk”』が放送・配信されることに加え、『香取慎吾 “Circus Funk” Festival』がリピート放送される。
BARKSでは『香取慎吾 × WOWOW 3カ月連続特集』放送を記念して、アルバム『Circus Funk』およびフェス<“Circus Funk” Festival>について改めてじっくり話を訊いた。「楽曲完成前に、ステージでどう表現するかがイメージできていた」とは香取慎吾の言葉だが、鋭い感性と豊かなイマジネーションが、アーティストとして、プロデューサーとしての彼自身を突き動かしていることが分かるエピソードのひとつだ。音楽家・香取慎吾の現在が浮き彫りとなった13000字超えのロングインタビューをお届けしたい。

▲<“Circus Funk” Festival>2024年12月3日〜4日@国立代々木競技場 第一体育館
◆ ◆ ◆
■やっぱり音楽は楽しい
■ステージに立ちたい
──まずアルバム『Circus Funk』の着想について、その原点を聞かせてください。
香取:僕は言葉の響きを大事にしてる、というか好きなんです。たとえば絵を描いたとき、その絵のタイトルを決めるんですが、言葉の気持ち良さをずっと大切にしてきたり。グループから一人になって、一人でも音楽をやろうっていうのが、この3枚目のアルバムなんですけど、前アルバム『東京SNG』でジャズに挑戦してみたので、次は何かと考えたときに、“ジャズからのファンク”という言葉が僕の頭の中に浮かんだんです。
──ファンクという音楽に興味も?
香取:いや。そうは言ってもファンクがどういうものか、知らなかったわけですよ。ただ、もう一度歌って踊りたいと思って、一人でステージに立ち始めたのがコロナ禍だったんです。そこから今、新たな時代を迎えた中で、やっぱり音楽は楽しいとか、みんなでワイワイ楽しめるステージに立ちたいとか、そういうことを想像したときに、ファンクっていう言葉がすごく合ってるなって思ったんです。
──『Circus Funk』の“サーカス”の部分は?
香取:サーカスはずっと好きだったんです。もともとの始まりは、絵を描いてネガティヴな気分を発散することがあるんですが、今まで描いてきたそういう絵の中にピエロがよく出てきたんですよ。“俺なんてピエロだ。オトナたちに仕事をさせられて”みたいな感じで、20代の頃に描いた絵とかがそうなんですよね(笑)。ただ、音楽としてのピエロとかサーカスって、あまり世の中に出てきてない。コロナ禍で騒げなかったぶん、ワイワイしたかったし、みんなを笑顔で溢れさせることができるのはサーカスだなと。サーカスしたいなって思ったんです。サーカスとファンクを合わせて『Circus Funk』…これだ!ってなったのが始まりでした。

──テーマ性を含んだ『Circus Funk』という言葉から始まり、アルバムを制作していく過程のなかで、その収録曲は全て、“ステージでどう表現するか”を頭にイメージしてから作りはじめたそうですね。それを踏まえて、今回のライブ<“Circus Funk” Festival>で共演した皆さんについて訊かせてください。まず、アルバムの1曲目でありライブのオープニングとなった「COLOR BARS (feat. SHOW-GO)」で共演したSHOW-GOさんについて。
香取:SHOW-GOは、今回フィーチャリングさせてもらった中でも、結構早い段階で決めてたんですよ。というのも、どうしても1曲目にSHOW-GOを起用したいと確信を得た出来事があったので。
──と言いますと?
香取:稲垣(吾郎)さんと草彅(剛)さんと一緒に、2002年にファンミーティングをしたとき、ダンサーのイルカ野から「すごいバンドがいるんです」って紹介してもらったのが、今回、2曲目の「SURVIVE (feat. LEO from ALI)」でフィーチャリングしているALIのLEOだったんです。ALIの曲を聴いたら、「これは2曲目にぴったりだ。その前に、SHOW-GOをフィーチャリングした曲を1曲目にしたい」っていう、アルバム冒頭2曲の流れができて。
──曲ができる前から?
香取:それ以前に、二人にまだ声もかけてないのに勝手な妄想で(笑)。翌朝、ファンミーティング本番前のリハーサルのときに、一人で早めにステージに上がってイヤホンをしながら、まずSHOW-GOの曲を聴いて、続けてALIの曲を聴いたんです。そうしたら頭の中で、ステージでどう表現するかがイメージできた。だから、SHOW-GOのことはずっと頭にあって、ALIが素敵だなって思ったときに、SHOW-GOとLEO (ALI)のセットが欠かせないものになった。そういう確信を得たんです。
──普通はそうは作らないですよね。まだ二人との曲もできてないにもかかわらず、ステージ構成を決めて、実際にそれを<“Circus Funk” Festival>で実現させたわけですから。そこが香取慎吾らしい冒険というか、不思議さというか。
香取:もうね、そのリハーサルの時間に、“振り向いて、幕が開いて、ALIの曲で歩いて行って、ステージに戻っていく”っていうイメージができたんです。で、“頭のSHOW-GOのときには…”って考えながら、舞台スタッフに「照明を全体的に少し暗くして、ピンで刺すだけにしてみて」って言ったら、スタッフの皆さんは知った仲なんで、“慎吾さん、今何か考えてるんだろうな”と察して、その場で指示通りの照明を作ってくれたんです。僕は一旦ステージを降りて、スタンドインの方にステージに立ってもらって、「ああ、これだと結構明るいな」ってイメージをより具現化していったという(笑)。だから、ALIを紹介してもらった翌朝にそこまでできてました(笑)。

──というイメージができて、まずSHOW-GOさんにオファーしたときは、どう口説き落としたんですか?
香取:スタッフにInstagramのDMから連絡を試みてもらったんですけど、なかなか返事がこない中で、やっと繋がって。
──わかります。連絡取れないし、声小さいし(笑)。
香取:(笑)。まず最初にリモートで話したんです。YouTubeとかでいろいろ見ていて、SHOW-GOが素晴らしいことは知ってたから、「どうやってそんなに素敵なスキルを身につけたの?」って訊いたら、「HIKAKINさんに憧れて始めました」って。
──意外な答えですね(笑)。
香取:いろんなパターンがあるんですけど、“どうしてもこの人とやりたい”と思ったとして、そのアーティストのことをあまり知らなかったら、自分でとことん調べることが多いんですね。ただ、SHOW-GOの場合はそこまで調べ尽くせてないまま、頭の中のイメージが進むばかりだったんです。で、いざ連絡が取れたら、そんな感じで、そこからまた連絡が途絶えるわけですよ(笑)。結局、アルバムレコーディングとしては「COLOR BARS (feat. SHOW-GO)」が一番最後だったんですけど、なんでそうなったかと言えば、SHOW-GOと連絡がつかないから(笑)。最終的にはスタッフが何とかLINEで繋がるところまでいったんですけどね。“この日に録らなきゃアルバムに収録できない”っていうところで何とか捕まえて、レコーディングスタジオに来てもらって、歌詞もその場で一緒に考えました。
──「COLOR BARS」というタイトルはどこから生まれたんですか?
香取:レコーディング数日前の夜中、たまたま点けていたテレビの放送が終わってカラーバーに切り替わったんですよ。そのとき“久々にカラーバー見たな”とか“配色かわいいな”と思ったと同時に、“いろいろなコンテンツが世の中にあるなかで、テレビっていまだにカラーバーが必要なんだな”って。カラーバーがある意味ってきっと、その日の最後の調整と、次の日に向けての調整なんでしょうね。そう考えると、終わりでもあり始まりでもある…なんかいいなと思ったんです。
──なるほど。
香取:SHOW-GOがレコーディングスタジオに来たときは、まだ歌詞ができてないし、タイトルも何もないわけですよ(笑)。「すぐに作らなきゃ」って一緒に歌詞を考えてたときに、そのことを思い出して。「あれってカラーバーっていうらしいけど、どうかな?」って訊いたら、小声で「いいと思います」って言うから、「ああ、よかった」って思いつつ(笑)、カラーバーをテーマに曲作りを進めた感じでしたね。
──<“Circus Funk” Festival>2日間のオープニングを飾る、非常に緊張感がある表現方法でした。実際ステージをやってみた感想はいかがでしょうか?
香取:思い描いてた通りですよ。素直にカッコいいなって。自分で思い描いてたものが本当に絵になってるから、やっぱりカッコいいなって、そう思いました。

──そして2曲目「SURVIVE (feat. LEO from ALI)」のLEOさんは?
香取:LEOに関して覚えているのは、さっき話したファンミーティングが終わって、その帰りの車の中から暗い海を見ながら思ったことで。いつも僕はライブのオープニングをすごく大事にしていて、そのときに思い描いたものができたら、もう大丈夫だって確信するんですよ。頭の中ではもうALIで決まってるし、それがもうできたみたいな感覚で暗い空を眺めていたんですけど、“……いやいや、まだ何も声もかけてないし。そんなにテンション上がってて、大丈夫?”って自分に訊いて。そのとき車のガラスに映った自分の顔をすごく覚えてますね(笑)。
──ALIのレコーディングの現場には、「今から行きます」って突撃したそうですね。
香取:「SURVIVE (feat. LEO from ALI)」のデモが送られてくる前に、「今、こんな感じでバンドで合わせてるんです」って連絡があって、“じゃあ、そこに行って聴いたほうがいいな”って思ったから。それよりもっと前の、一番最初の顔合わせのときはLEOが遅刻してきて。僕は到着してるけどLEOがまだ、みたいな状況に皆さん慌ててて(笑)、そういう始まり方もなんか良かったんですよね。
──SHOW-GOさんとLEOさんを迎えて、アルバム制作前にイメージしていたライブが実現できたわけですよね。今改めて、どうして妄想が具現化できたんだと思いますか?
香取:なんか、叶うんですよね。もちろん今回のアルバムでも、声をかけさせてもらったけど叶わなかった人もいるんです。だけど音楽に限らず、自分がやってきた仕事で叶わなかったものはあまりないですね。強い念のようなものなのかな? あと、その“叶える”に向けては、自分が直接動きますよね。人に「こう言って」ってお願いしたりとか、人づてだと時間がかかるじゃないですか。それより自分が本当に行ったら、「うわっ! ほんとに来た! 」ってなるし、その上で「一緒にやりたい!」って言うんです。
──すごいバイタリティと行動力です。
香取:そうだ! あとね、LEOのテンションはすごく好きなんだけど、今回のフェスの中で僕が一番好きなシーンがあるんですよ。アンコール最後に「夢々Ticket (feat. 緑黄色社会)」を歌ったんですけど、そのときに出演者のみんなが<“Circus Funk” Festival>のTシャツで登場したんですね。ところがLEOだけ、その前の曲「Not Too Good Not Too Bad (feat. Yaffle)」から一人だけ早めにTシャツを着ちゃってるんです。そこに注目してWOWOW放送を見てほしい(笑)。
◆インタビュー【2】へ
この記事の関連情報
香取慎吾、全国5ヵ所10公演の初ソロツアー決定+アルバム『Circus Funk』 CD化+「Circus Funk (feat. Chevon)」MV公開
香取慎吾、WOWOWで3カ月連続特集のライナップ決定。2025年2月に主演映画を一挙放送
香取慎吾、アルバム『Circus Funk』収録全曲に中森明菜や緑黄色社会などの豪華ゲスト参加+フェス<Circus Funk>出演者発表
香取慎吾、主演ドラマ『日本一の最低男』主題歌をChevonとコラボ「以前からとても気になっていたバンド」
香取慎吾、約2年7ヶ月ぶりの最新アルバム『Circus Funk』リリース決定。12月には初のアリーナフェスの開催も
香取慎吾、主演舞台<テラヤマキャバレー>で歌う楽曲「質問」配信リリース
香取慎吾、<Black Rabbit>をU-NEXTでライブ配信
<香取慎吾LIVE『Black Rabbit』>ぴあアリーナMM追加公演が決定
稲垣・草なぎ・香取『ワルイコあつまれ』、「ワルイコソーラン」SNSキャンペーン開催