【連載】Hiroのもいもいフィンランドvol.144「H.E.A.T 来日決定!Temple Ballsをスペシャルゲストに迎えたヘルシンキ公演は北欧メロディックハードロックの祭典だった」

スウェーデンのメロディックハードロックバンドH.E.A.T、今年6月来日決定のニュースが飛び込んできた。4月にリリースのニューアルバム『Welcome To The Future』を引っ提げての来日になる。そのH.E.A.Tは北欧ツアーをちょうど終えたところだ。ヨーロッパツアーではフィンランドが抜けることがよくあるものの、今回は北欧ツアーということで、ここフィンランドもヘルシンキとタンペレの2公演がはいっていた。しかもフィンランド2公演はスペシャルゲストがTemple Ballsだった。この2バンドが一緒に観れるなんてこれは絶対見逃せない!とヘルシンキのTavastia公演に行ってきた。

開演近くになって会場を見渡すと観客がいっぱいだと思ったらソールドアウトだったようだ。開演午後8時になり、まずはスペシャルゲストのフィンランドの若手メロディックハードロックバンドTemple Ballsが登場!
Temple Balls

オープニングナンバーはアメリカのウェブテレビシリーズ「コブラ会」にインスピレーションを受けたという「Strike Like a Cobra」で最初っからエネルギー爆発! 2023年秋にリリースになった4作目の最新アルバム『Avalanche』からの曲を中心に昔のアルバムからのヒット曲も交え、バラード曲はなく最初から最後までエネルギッシュにぶっ飛ばした。ハードな曲でもメロディアスでサビの部分はとってもキャッチャーだ。そしてどことなくフィンランド特有のメランコリーさを感じる。そこがまたすごく好きなのだ。

2017年にリリースになったデビューアルバムからの先行シングル「Hell and Feelin' Fine」は当時ロック系のラジオ局でよく流れていたのを思い出す。彼らのライブでは欠かせない1曲で今ライブで聴いてもとってもかっこいい!「Lets get it on」のイントロではニコとイリのギターソロが炸裂する。ヴォーカルのアルデはステージ狭しとロン毛をなびかせ動き回る。とてもキャッチャーな曲「Trap」も昨年ラジオでよく流れていて、出だしでは声を張り上げ叫び、ハードにメロディアスに歌い上げる。「Bad Bad Bad」には他の曲にはないちょっと色っぽさを感じる。ニコのギターソロをしゃがみ込んで聴き惚れ、自分もちょっと弦に指を触れてみるアルデ。俺たちのお決まりのラストソングはこの曲だ。北のオウルを朝早く出発してここにやってきたとイミ。実際に朝6時にヘルシンキに向けて出発したそうだ。聴こえてきたイントロはまさに彼らのことを歌ったかのようなこの曲、北からの雷こと「Thunder From the North」だ!”Balls out, raise the horns” って歌詞でイミとニコがメロイックサインをキメ、この日のライブをかっこよくシメた。

彼らのアルバムを聴いてるといい曲がつまっていてとても45分のライブに収めるのは無理なので、そのうちまた単独公演でフルセットを楽しみたい。そしてできれば「If Only I Could」のようなバラード曲もライブで聴けたら感動するだろうなと思う。
昨年秋のUKツアー中のインタビューでアルデはこの後実現したい夢に日本ツアーを挙げていた。初来日から今年で8年。あれから大きく成長した彼らのこのエネルギーあふれるかっこいいライブを日本で観れる日が早く来ることを祈っている。



<Temple Balls : ヘルシンキ Tavastia 2025/2/18>
1. Strike Like a Cobra
2. Lonely Stranger
3. Hell and Feelin' Fine
4. Dead Weight
5. Let's Get It On
6. Prisoner in Time
7. Trap
8. Bad Bad Bad
9. Thunder From the North
H.E.A.T

開演時間になると会場に昔なつかしいグレン・フライの「The Heat Is On」が流れてきた。しばらくするとステージにメンバーが次々登場し4月リリースのニューアルバムのオープニングトラックでもある先行シングル「Disaster」のイントロが聴こえてきた。この曲ライブのオープニングにもぴったりだ。最後にヴォーカルのケニー・レクレモが登場!最初っから拳をふり上げジャンプジャンプジャンプ!
彼らの曲もどの曲をとってもメロディアスハードでとってもキャッチャーだ!ヨナ・ティーのキーボードでサウンドにさらにメロディアス感が増す感じがする。デイヴ・ダロンのギターソロは耳に心地よく響きわたる。スローテンポの「Cry」ではスマホのライトが会場内を揺れる。

途中でケニーが北欧の中でもフィンランドはとっても好きな国だ。特にここヘルシンキというと観客の中から翌日のライブ会場のある「タンペレは(放送禁止用語)だ」と声が飛ぶ(笑)と「いやいやそんなことはない。タンペレもいいところだ。」とちゃんと公平に対応していた。彼は動きまくり拳をふり上げ、パワフルに歌い上げる。「Hollywood」では歌詞の一部にこの日の会場名Tavastiaをさらっと入れて歌ったり、観客を煽るのもうまく、マイクを観客に向けてシング・アロングで一緒に歌わせたるのもうまい。
新しい曲ばかりをやると古い曲が聴きたいと言われる。反対に古い曲ばかりをやると新しい曲が聴きたいと言われるが、古い曲もやっていいか?と観客の合意を求めたりも。古い曲と言えば私がH.E.A.Tの存在を知って探索して一番に出てきたMVが「Living on the Run」で、「Dangerous Ground」もエリック・グロンウォールがヴォーカルの頃の曲だが、違和感は全くなくパワフルに歌い上げた。そして古い曲ばかりではなく4月リリースのニューアルバムからも未発表曲「Bad Time for Love」を披露した。バンド名を聞かずに聴いてもきっとH.E.A.Tだとわかるだろう。

2009年「1000 Miles」でユーロビジョンのスウェーデン代表を決めるコンテストに出場した時の映像を見かけたことがあるが、当時ヴォーカルは今と同じケニーで、この約15年間のうちにパフォーマンスに見違えるほど輝きが増したように感じた。
最後の曲「Tearing Down the Walls」ではサビの部分で”No more walls between us. We are one" (私たちの間にはもう壁はない。私たちはひとつ) って歌詞があるが、まさに会場のみんなが一つになって思いっきり楽しめたライブだった。最後歌い終わった後ドラム台からジャンプして床に倒れこんだケニーの横にヨナ・ティーがやってきて胸をプッシュすると息を吹き返し立ち上がった!一つ欲をいえばクラッシュのかっこいいドラムソロが観たかったが、それは次回に期待することにして、この日のTavastiaは北欧メロディックハードロックの祭典となり最高に楽しめた。両バンドに素晴らしいライブをありがとう!



<H.E.A.T :ヘルシンキ Tavastia 2025/2/18>
1. Disaster
2. Emergency
3. Dangerous Ground
4. Hollywood
5. Rise
6. Nationwide
7. Harder to Breathe
8. In and Out of Trouble
9. Beg Beg Beg
10. Cry
11. Back to the Rhythm
12. Living on the Run
13. Bad Time for Love
14. 1000 Miles
15. One by One
16. Tearing Down the Walls
H.E.A.T Japan Tour 2025 ”WELCOME TO THE FUTURE”
・6月24日(火)大阪Yogibo META VALLEY
・6月26日(木)東京浅草歌劇場
ミート&グリート(写真撮影とサイン会)などの特典付きVIPチケットもあり。
詳細はこちらを。
(https://www.marquee.co.jp/avalon_new/heat-japan-tour-2025/)
ニューアルバム『Welcome To The Future』日本盤は4月23日(水)MARQUEE/AVALONより発売決定!
このニューアルバムより先行シングル「Disaster」のMVが公開になっている。
H.E.A.Tのヨナ・ティーはTemple Ballsの最新3作のプロデュース等にかかわっているのもあり、H.E.A.Tが好きならTemple Ballsも気に入ること間違いなし。今回この2バンドを一緒に観ることができたのはとてもラッキーだった。H.E.A.Tは7年ぶりの来日公演が発表になったので、この機会をぜったいお見逃しなく!
文&写真:Hiromi Usenius
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