【インタビュー】WANDS、8thアルバム『TIME STEW』に熟成の味わいと時をかけるサウンド「本能のままに」

■10年後のWANDSライブは凄いことに
■命を削るようなシャウトをしてるかも(笑)
──「FLOWER [WANDS第5期ver.]」のボーカルは、「天使になんてなれなかった [WANDS第5期ver.]」同様、俺ならこう歌うという感じで?
上原:そうですね。この曲の歌は……歌詞が病んでいるんですよね。作詞者である上杉さんの心境をどれだけ汲むのかということは考えましたけど、もちろんご本人にしか分からない部分もある。僕があれこれ考えることではないかもしれないので、ある程度汲みつつも、それはそれとして、カッコよく歌おうと。何回もライブで演奏している曲なので、そのまま音源に落とし込んだという印象です。
──なるほど。
上原:悩んだのはサビの英語の発音ですね。“My Heart”とか“I Hate My”の部分を日本語英語的にカタカナっぽく発音するのか、それともネイティヴな発音にするのかという。オリジナルは、わりと日本語英語に近い感じで歌っているんですよ。いろいろ考えて、最終的には間を取ったんですけど。
──正解だと思います。英語の歌い方の選択肢を持っていることも強みといえますね。そして、アルバムを締め括るのは抒情的なバラードの「リフレイン」。
柴崎:去年前半に作った曲ですね。バラードを改めて書こう、というのがスタートだったんです。だけど意外と難しくて、しばらく第一歩が踏み出せない感じだった中で、Aメロのメロディーを思いついて。それから少し経った頃に“ロックバンド然としたバラード”という方向性かなという感覚になって作っていった曲ですね。
──その方向性を共有しつつ作詞を行なったんですか?
上原:曲に対してエモーショナルな感じというイメージを持ちつつ、歌詞はシンプルなラブソングに仕上げました。僕は恋愛の歌詞をあまり書かない……というか、これまで全然書かなかったんです(笑)。
──そうだったんですね。恥ずかしいとか?
上原:抵抗があるんですよ、恋愛の歌詞って。“中学生が一番最初に書くやつじゃん。いい歳した大人がさぁ”みたいな感じがして(笑)。ところが、自分が恋愛の曲を聴いたときに心に響かないかというと、響くときは響く。結局必要なんですよね。自分も書かなきゃいけないという気持ちがあったし、この曲には恋愛の歌詞がすごくハマるなと思って、失恋の歌にしました。
──美しい翳りを湛えた仕上がりです。ギターはいかがでしたか?
柴崎:白玉とかアルペジオの質感がサウンド全体の印象を大きく左右するということを意識してサウンドメイクしましたね。それとこの曲は、ギターソロがめっちゃ長いんですよ。計ってみたら45秒くらいあったという(笑)。
──4分40秒のうち、ギターソロが45秒とは確かに長いかもしれません(笑)。
柴崎:ですよね(笑)。ギターソロの入口はタイトルとリンクさせてリフレインフレーズにして、そこからエモーショナルに弾いて、その後のハーモニーでまた別の展開があってというふうに、わりと展開を構築したソロを弾けたかなと思います。
──そうなんですよね。45秒という長さは全く感じませんでした。あと、この曲の2番でビュロビュロと鳴っているシンセのような音は、ギターでしょうか?
柴崎:そうです。オクターヴ上を足しつつ速いアルペジオを弾いているんですが、実はしっかり弾けてない(笑)。でも、ニュアンスとして良かったので、そのまま活かしました。
上原:その部分ってワイルドな感じがカッコいいんですよね。
──歌は先ほどおっしゃったようにエモーショナルです。
上原:最初に“どういうふうに歌おうかな”と思って柴崎さんにイメージを聞いたら、意外なことに「ロックボーカリスト然としたものがほしい」と言われたんです。僕の中では“たしかにロックだけど、言うてもJ-POPの範囲内だろうな”くらいのイメージだったんですね。ところが、「AEROSMITHみたいな感じ」と言われて、「えっ!」って(笑)。なので、恋愛テーマのJ-POPを洋楽ハードロッカーが歌う、みたいなイメージでレコーディングしました。それはなかなか難題だったんですけど(笑)。
──たしかに(笑)。柴崎さんの要望に応えたわけですね。
上原:僕自身、ハードな方向に行くのは得意なんですよ。逆に抑えるほうが難しいくらいなので、ちょうどいいところに落とし込むことを意識しました。やり過ぎると違うというか、上原大史がそこまで行くことを求められてないだろうなと(笑)。
柴崎:でも、ファンの方々もいずれ慣れていくかもしれないよ。結果、物足りなくなって“もっと行き切ってくれ!”って(笑)。レジェンドの往年の大ヒット曲って、タメとかタイム感が凄いことになってる場合もあるじゃない? 歌いすぎて(笑)。
上原:ははははははは! WANDSも10年後のライブでは凄いことになっているかもしれない。命を削るようなシャウトをしてるかも(笑)。
──「リフレイン」は10年後も色褪せないバラードですから、ぜひ演奏し続けていただきたいです。柴崎さんが使用した今回のギターレコーディング機材も教えていただけますか?
柴崎:アンプは前回のライブ機材取材時と同じ、Fractal Audio Systems Axe-Fx IIIです。ギターも大体同じですね。NISHGAKI GUITARSのオリジナルモデル、Suhrのストラトタイプ、Suhrの24フレット仕様の10th Anniversary。24フレットのほうはドロップDにしているので、「Shooting star」で使いました。
──さて、『TIME STEW』は現在のWANDSならではの魅力を堪能できるアルバムに仕上がりました。4月18日から始まる全国ツアー<WANDS Live Tour 2025 〜TIME STEW〜>も楽しみです。
柴崎:<TIME STEW>ツアーは、今までの方向性をブラッシュアップさせつつ、第5期オリジナル曲と過去曲を変に意識せず、『TIME STEW』という言葉が表すように全楽曲が上手く溶け合うセットリストを組みたいと思っています。1990年代にWANDSが好きだった人もいれば、第5期しか知らない人もいるでしょうし、いろいろな世代の人が来てくれているのが現在のWANDSのライブだと思うんです。なので、昔の曲を聴いていい曲だなと第5期以降のファンの方々が思ってくれたり、逆にWANDS第5期もいいねと昔からのファンの方々が思ってくれたり、僕らと皆さんが一緒に溶け合えたらいいなと思っています。
──WANDSとしては再始動から5年、歴代最長の活動期間となりました。
上原:とはいえ、僕はまだ経験が少なくて、WANDS第5期らしいステージができるようになったのはここ最近のことで。前回ツアーくらいからやっと自分で納得できるステージができるようになったんです。まだまだ詰めないといけないところもあるので、前回ツアーで確立したものをもとに、より良いライブができるように頑張ります。
取材・文◎村上孝之
■8thオリジナルアルバム『TIME STEW』
2025年3月26日(水)発売
※CDミニアルバム
【初回限定盤A [CD+LIVE Blu-ray]】
GZCD-5017 6,930円(税込)/6,300円(税抜)
【初回限定盤B [CD+LIVE CD]】
GZCD-5018 4,950円(税込)/4,500円(税抜)
【通常盤 [CD]】
GZCD-5019 2,530円(税込)/2,300円(税抜)

▲初回限定盤A

▲初回限定盤B

▲通常盤
▼CD収録曲 ※全形態共通
01. 大胆
作詞:上原大史 作/編曲:柴崎浩
※TVシリーズ特別編集版『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』テーマソング
02. 天使になんてなれなかった [WANDS第5期ver.]
作詞:上杉昇 作/編曲:柴崎浩
03. Shooting star
作詞:上原大史 作/編曲:柴崎浩
※読売テレビ・日本テレビ系全国ネット『名探偵コナン』エンディングテーマ
04. WE ALL NEED LOVE
作詞:上原大史 作/編曲:柴崎浩
05. FLOWER [WANDS第5期ver.]
作詞:上杉昇 作/編曲:柴崎浩
06. リフレイン
作詞:上原大史 作/編曲:柴崎浩
▼初回限定盤A 特典LIVE Blu-ray
■LIVE at<Japan Anison&Rock Festival 2024>
※音楽フェスでのライブアクトを全曲完全収録
01. 錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう [WANDS第5期ver.]
02. We Will Never Give Up
03. 明日もし君が壊れても[WANDS第5期ver.]
04. 時の扉 [WANDS第5期ver.]
05. Secret Night ~ It’s My Treat ~[WANDS第5期ver.]
06. 愛を語るより口づけをかわそう[WANDS第5期ver.]
07. RAISE INSIGHT
08. 愛を叫びたい
09. 真っ赤なLip
10. 大胆
11. 世界が終るまでは…[WANDS第5期ver.]
▼初回限定盤B 特典LIVE CD
■LIVE at<WANDER-LAND NEO「FANDS」MEETING 2023>
※FC限定ライブの超貴重音源を全曲収録
01. 恋せよ乙女
02. Just a Lonely Boy[WANDS第5期ver.]
03. 星のない空の下で
04. アイリメンバー U
05. DON’T TRY SO HARD
06. 明日もし君が壊れても[WANDS第5期ver.]
07. 空へ向かう木のように
08. 抱き寄せ 高まる 君の体温と共に
09. 世界中の誰よりきっと[WANDS第5期ver.]
10. WONDER STORY
■<WANDS Live Tour 2025 〜TIME STEW〜>
4月18日(金) 宮城・仙台サンプラザホール
open18:00 / start19:00
(問)GIP https://www.gip-web.co.jp/t/info
4月22日(火) 北海道・カナモトホール(札幌市民ホール)
open18:00 / start19:00
(問)WESS info@wess.co.jp
4月25日(金) 新潟・新潟県民会館 大ホール
open18:00 / start19:00
(問)FOB新潟 025-229-5000
4月30日(水) 香川・レクザムホール(香川県県民ホール) 大ホール
open18:00 / start19:00
(問)DUKE高松 087-822-2520
5月02日(金) 福岡・福岡サンパレス
open18:00 / start19:00
(問)キョードー西日本 0570-09-2424
5月16日(金) 愛知・Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
open18:00 / start19:00
(問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
5月19日(月) 大阪・グランキューブ大阪(大阪国際会議場)メインホール
open18:00 / start19:00
(問)サウンドクリエーター 06-6357-4400
5月21日(水) 広島・広島上野学園ホール
open18:00 / start19:00
(問)キャンディープロモーション 082-249-8334
5月30日(金) 東京・東京ガーデンシアター
open18:00 / start19:00
(問)H.I.P. 03-3475-9999
▼チケット
全席指定 8,500円(税込)
※3歳以下入場不可/4歳以上はチケットが必要
一般発売:2025年2月15日(土)10:00~
関連リンク
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