【インタビュー】BAND-MAID新曲「Ready to Rock」×アニメ『ロックは淑女の嗜みでして』でさらなる成長

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BAND-MAIDのニューシングル「Ready to Rock」は、4月3日よりTBS系で放送開始されているTVアニメ『ロックは淑女の嗜みでして』のオープニングテーマである。

◆撮り下ろし写真

ただ、これはよくある普通のタイアップとは次元を異にするものだ。なにしろこのアニメ、視覚的にも聴覚的にもBAND-MAIDのメンバーたちが深く関わっているのだ。学園を舞台に、鈴ノ宮りりさ、黒鉄音羽、院瀬見ティナ、白矢環といった登場人物たちが繰り広げるこの物語の中に、5人の姿が透けて見えるとでも言えばいいだろうか。それがどういうことなのかは、筆者があれこれ説明するよりも彼女たち自身に語ってもらうべきだろう。さっそく話を始めるとしよう。

   ◆   ◆   ◆

◾︎楽器に真摯に向かっている姿勢が共通する

──今回は何よりも「Ready to Rock」について訊かせてください。完成したばかりのミュージックビデオを見させてもらいましたが、これを機にSAIKIさんは誰からも「SAIKI先生」と呼ばれることになりそうですね。

SAIKI(Vo):あははは!

小鳩ミク(G, Vo):まさにそうですっぽね。

──もしかして教師役でドラマ出演とか、狙ってます?

SAIKI:まさか。全然狙ってないです。

AKANE(Dr):教師というか、女王枠?(笑)

小鳩ミク:なんか、そういうドラマあったっぽね(笑)。


──そうした設定は当然ながらこのアニメの舞台が学園だからこそ。しかしこんなにもBAND-MAIDにとってお誂え向きのアニメがあるのか、と驚かされました。

小鳩ミク:本当にそう思いますっぽ。まさに私たちに通じるようなギャップのある作品だったので、僭越ながら「なんて私たちにぴったりな作品なんだろう!」と思いましたっぽ。

SAIKI:同感です。今回のお話をいただいてから、原作の漫画を読ませていただいた時も「あ、この漫画、KANAMIが出てくる!」と思いましたし(笑)。そこでのシンプルな驚きがまずあって、読み進めていくうちに「ここまで一致するなんてすごい!」と思いましたね。

──KANAMIさん自身にもそうした感覚はありましたか?

KANAMI:そんなふうには思ってなかったです。私はあんなことを言ったりしないし。

SAIKI:そこじゃなくて「お嬢様がギターを持った」という流れがすごく重なってるじゃない? メンバーはみんなそう思ってるよ(笑)。

AKANE:それもあるし、やっぱりギャップの面、楽器にフォーカスされている点でも私たちに通じる部分があるな、と感じましたね。歌を志す物語は結構よくあると思うんですけど、ここではインストの要素がすごく重んじられていて。ガールズバンドで、しかもそういう面があるという部分でもホントにBAND-MAIDっぽいな、と思いましたね。

MISA(B):ベースを弾く環ちゃんのキャラクターにも、ちょっと自分に近いところがあるんです。なんかクールで、寡黙なところがあって。ただ、りりさとKANAMIはもっと近いと思うし、音羽もAKANEのようにドラムをドコドコ叩いたりするし。

小鳩ミク:漫画の中にもゴリラドラムという言葉が出てくるんですっぽ。

AKANE:まったく同じことを言われてるから、これはまさに私なのかも、と(笑)。

Ⓒ福田宏・白泉社/「ロックは淑女の嗜みでして」製作委員会

──もしや制作者サイドがBAND-MAIDの内情を覗き見していたのでは?

SAIKI:内通者がいる?(笑)でもホントに、隠してたことが知られてしまったぐらいの驚きがありました。

──学園を舞台とするガールズバンドの物語を、BAND-MAIDと重ねながら楽しめるようなところがあるわけですね?

SAIKI:そうですね。ことに楽器に真摯に向かっている姿勢というかスタイルについては私たちと共通するものだし、ちょっとおこがましいですけど、BAND-MAIDのアニメみたいな感覚でも楽しめるものなんじゃないかと思います。

──同時に「それならばいっそBAND-MAIDのアニメを作りたい」という気持ちも出てくるんじゃないですか?

SAIKI:ポニーキャニオンさん、是非!(一同笑)

小鳩ミク:それは私たちの夢のひとつでもありますし、それに向けて少し前進できたのかな、とは思いますっぽ。

──この楽曲自体は、やはり物語の内容を踏まえたうえで作られたものなんでしょうか?

KANAMI:そうですね。漫画を全部読ませていただいて、そのうえでどんなイメージにしていくかを考えようという流れだったんですけど、最初にBAND-MAIDらしい曲と、ちょっとキャッチーなものを提示させていただいたところ、「Ready to Rock」はもちろんその前者のほうだったんですけど、アニメの関係者の方々も皆さんこっちがいいという意見で。キャッチーな曲じゃなくこっちを選ぶなんて、あちらの方々も私たちと同じでマニアックなセンスの持ち主なのかも、と思ったりしました(笑)。

──BAND-MAIDとしては願ったり叶ったりだったわけですね?

KANAMI:そうですね。キャッチーな曲のほうもいい感じだなと思っていたんですけど、作曲段階での私のイメージとしては、楽器同士、特にギターとドラムが闘う感じ、切磋琢磨しながらやっていくというイメージがあったので、それに忠実に膨らませていった感じだったんです。ただ、そうしたらドラムがすごく難しくなってしまったので、AKANEに対してはちょっと「ごめんね!」と思いました(笑)。

AKANE:実際、大変でした(笑)。



──先行公開されていたティーザー動画でもギターとドラムがバトルを繰り広げていましたよね。あれを見た時には「まさか、それがイントロ?」と思わされましたが、最初からあのパートをイントロにするつもりで作っていたんですか?

KANAMI:あれは最初からイントロとして作ったものなんですけど、当初はそこに歌も乗っていたんです。ただ、SAIKIのほうから「こういう物語だから、もっとドラムとギターが目立つようにした方がいいんじゃない?」という提案があって。私としてはSAIKIの歌ありきで作ることが多いし、そういう作り方が好きなんですけど、「ああ、そういう考え方もアリだよな」と気付かされて。それで結果、イントロの長さが……。

SAIKI:当初の倍になりました。

──昨今はイントロの長い曲が敬遠されがちな傾向にありますけど、「さあ、どんなふうに歌が始まるんだろう?」とワクワクさせられます。しかし特にAKANEさんにとっては、曲の冒頭に罠が仕掛けられているようなものでもあるわけですよね。あそこで躓くわけにはいかない。

AKANE:そうなんですよ。カウントの一発目からツインペダルを踏むので。これまでのBAND-MAIDの楽曲だと、中盤あたりから徐々に踏んでいく傾向のものが多かったんですけど、この楽曲では、徐々に肩を馴らしていくみたいなことができないので。

SAIKI:頭からマックスパワーだよね?

AKANE:そう! これまでの曲では、徐々に高まっていってギターソロで爆発、みたいなケースが多かったのに対して、この曲の場合は一発目から力んだら叩けないというプレッシャーがすごくあるんです。ただ、登場人物の音羽は超絶技巧の持つ主ということなので、彼女に負けていられないな、という気持ちで臨みました。ある意味、音羽を背負ったかのような感じです。

──面白いです。いわば音羽のキャラクターが憑依したかのような感じというか。

AKANE:むしろ私の中ではライバルになりました。原作を全部読んでみるとわかるんですけど、ドラムにすごくスポットが当たってるんですよ。だからもう「やってやるぞ!」という気持ちになれました。ある意味、完全に作品に感化されましたね。

──しかも皆さんの動きがモーションキャプチャーで取り込まれていて、アニメのキャラクターに憑依している部分もあるわけですよね。撮影時の動画も見ましたが、すごくめずらしい光景を目にした気分になりましたよ。

AKANE:全身タイツですからね(笑)。

SAIKI:珍しい姿をさらされました(笑)。

小鳩ミク:小鳩は不参加でしたけど、メイド服からは想像がつかない姿でしたっぽね。



──ええ。正直、「この姿は公開してOKなの?」と思いましたよ。

SAIKI:むしろご主人様お嬢様(ファンの呼称)のほうが気を遣ってくださっていたようで、「あんまり見ないようにするね」みたいな声もありましたね(笑)。私たちにとってはすごく新鮮というか、撮影の機会を重ねていくうちに変な慣れが出てきて……感覚が麻痺してきてたのかな?(笑)「これもアリなんじゃない?」みたいな感じになってしまってました。

──それでは、次に番外編お給仕(ライブ)をやることになったあかつきには、無茶振りコーナーで皆さんあの姿で……。

SAIKI:それは絶対に嫌です!(笑)

AKANE:あの格好でお給仕するのはさすがにキツいかな。

KANAMI:恥ずかしいですね、やっぱり。

MISA:むしろお給仕に、キャラクターに出てきて欲しいかな。

KANAMI:将来的に私たちは、きっとそうなるから。

小鳩ミク:将来的に、BAND-MAIDはいつかバーチャルになるんですっぽ。その時が来たら小鳩にもあれを着る機会が出てきますっぽね。

SAIKI:バーチャルでやれれば、いつまでもお給仕ができるってこと?

KANAMI:50代とかになったら、今の私たちの姿をバーチャルで楽しんでもらうの。

AKANE:時空を超えた話になってますね(笑)。


──モーションキャプチャー自体も初体験だったわけですよね? 自分たちの動きが動画に反映されていくさまには興味深いものがあったのでは?

KANAMI:感動しました。なんて言えばいいんだろう? 演奏シーンはもちろんなんですけど、あれを着ていると、楽器を持つ前の姿とかも全部取り込まれるんですよ。その時点ですごく面白かったし、新鮮な経験でしたね。自分の動きがアニメのキャラに吸収されていくのが。

SAIKI:しかも環ちゃん、手袋着用の指弾きだもんね?

MISA:そうそう。その手袋が結構重くて、撮影開始当初は「これは結構、筋肉を使うな」という感じだったんですけど、それにもだんだん慣れていって……。

SAIKI:指1本ずつにセンサーが付いていて。MISAの本来の弾き方とは違うんだけど、徐々にこなれていってましたね。最初にアニメのPVができあがってきた時、環の姿があまりにMISAすぎるし、音羽もAKANEすぎるから、本当に感動しました。

小鳩ミク:私はモーションキャプチャーの現場に行っていないので、そのPVの完成形が届いた時点で初めてどんなことになっていたのかを知ったんですっぽ。でも本当にメンバー個々の癖みたいなものまでアニメーションに反映されているのがわかって、すごく驚かされましたっぽ。「あっ、メンバーがアニメの中にいる!」という感じでしたっぽね。

AKANE:モーションキャプチャーは今の時代、結構いろいろな領域で使われているらしく、アニメのキャラクターの動きもそれをもとに作画されていることが多いそうなんです。大勢の人が歩いているようなシーンにもそういった技術が使われていたりするそうで。私自身、すごくやってみたかったことのひとつだったので、すごく嬉しかったですね。

──アニメオタクとしての念願が叶ったわけですね?

AKANE:もう、まさに! 以前から「アニメの世界にも行ってみたい!」と言ってたんですけど、自分がアニメになるってこういうことかな、と思いました。

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