【インタビュー】FANTASTIC◇CIRCUS再始動、石月 努とkazuyaが語る天命「この二人から始まった物語」

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2024年末の東名阪ツアー<THE.LAST.INNOCENT>をもって活動休止していたFANTASTIC◇CIRCUSが、石月 努(Vo)、kazuya(G)の二人で活動を再開する。同ツアーの東京・EX THEATER ROPPONGIファイナル公演で石月は「どんな形になろうが、FANTASTIC◇CIRCUS、FANATIC◇CRISISの魂は、死ぬまでやりきります」と宣言していたが、このたび新たに発表となったのは、9月にライヴを開催するというものであり、約束が果たされた形だ。療養中のSHUN.(G)の復帰が見えない中、二人はどんなことを思い、話し合い、互いの意志を確認したのか。

◆FANTASTIC♢CIRCUS 画像

FANATIC♢CRISISとして1997年にメジャーデビューし、ヴィジュアル系シーン全盛期を駆け抜けてきた彼らは、バンド解散から17年後の結成30周年に、FANTASTIC◇CIRCUSとして“転生”を遂げた。そして、SHUN.の療養によって再び活動が止まるも、二人が出した答えは「一緒にやりたい、命尽きるまで」というシンプルかつ切実なものだった。10代の頃から変わらない友情は熱く、しなやかに強い。現在のリアルな想いを赤裸々に語ってくれたロングインタビューをお届けしたい。


   ◆   ◆   ◆

■この笑顔を守りたいと思ったんです
■努の笑顔を奪うのは違うと


──FANTASTIC◇CIRCUSは2024年末の東名阪ツアー<THE.LAST.INNOCENT>で、SHUN.さんの体調不良もあって、バンドとして一旦活動を休止しましたが、これまでのことを振り返りつつ、今の状況についてもお聞かせください。

石月:活動休止については2024年2月にSHUN.が精神面で不調をきたしたことによるもので。ただ、その時点で年内のスケジュールが決まっていたので、“どうしよう”ということになったんです。SHUN.自身の意志は「楽しみにしてくださっているファンの方がいるし、穴を空けないでほしい」ということだったので、2024年内のライヴ活動は二人で継続しようと。

──2024年3月10日に東京・Zepp Shinjukuで開催したワンマンライブ<FANTASTIC◇CIRCUS<BEST SINGLES 2001ー2004 / AGAIN 2024>はSHUN.さん不在のかたちで行われました。

石月:以降もSHUN.のパートは演奏データをアンプから鳴らすリアンプという形を取りつつ、サポートメンバーにも助けられながらライヴをしたんですね。もちろん、最初は違和感を感じながらだったんですが、ステージに立つとお客さんも察してくださっているのか、いい笑顔……もしくはいい泣き顔を見せてくれたし、全力で僕らに声を届けてくれたんです。だからその日、できることを100%の力でやるという気持ちに僕らもシフトしていきました。とはいえ、すぐによくなる病気ではないので「一旦様子をみよう」とkazuyaやスタッフと話したんです。なので、活動を止めることは、2024年の早い段階からなんとなくは見えていて。


──活動休止を伝えたのが東名阪ツアー<THE.LAST.INNOCENT>開催発表の時(2024年6月28日)でした。

石月:FANATIC♢CRISISを経て、2019年にFANTASTIC◇CIRCUSとして転生をして。メンバーが一人欠けているのは完全な状態ではないので、不本意ではあるけれど、一旦活動休止という形をとらせてもらいますということは、ライヴでもたびたび伝えてきたんです。FANTASTIC◇CIRCUSとして再始動した時には「生命ある限り、続けたい」という想いがあって、その第一弾が<転生-TENSEISM- FtC 30th ANNIVERSARY>と銘打った日比谷野外音楽堂(2022年5月14日)だったんですね。その時にファンの皆さんと「死ぬまで続ける」って約束したので、活動休止は不本意以外の何ものでもなかったんです。

──<THE.LAST.INNOCENT>ファイナルのEX THEATERのライヴのMCでは「来年以降、SHUN.さんの答えが聞けたら」とファンに伝えていたと思います。今はどんな状況なんでしょうか?

石月:2025年のことに関しては、kazuyaと焼き鳥屋で話をしたんですけど。話してみたら、気持ち悪いぐらいに考え方が一緒だったんです。

──というと?

石月:少し時間を戻すと、SHUN.が精神面の不調をきたしてから……僕も似たような精神状態になった経験があるので、心配で何度か彼のところに通っていたんです。そうこうするうちに、SHUN.から「しばらく会えない」と伝えられたので、kazuyaに「どうする?」っていう話をして。その時に一致した考えは、FANTASTIC◇CIRCUSを続けていきたいということだったんです。その結論に至ったひとつの理由は、転生した時にファンの皆さんに約束をしたこと。もうひとつは、僕が最初に「この人とバンドをやりたい」と思ったのがkazuyaだったんです。


──石月さんは10代の時、kazuyaさんとバンドを組みたくて何度も誘ったんですよね?

石月:そう(笑)。16歳の頃、初ライヴを経験したんですが、思い出したくないくらいの失敗で。その時にトリとして出演したのがkazuyaのバンドだったんですよ。僕にはプロみたいに思えて、“こういう人を誘って一緒にやればいいんだ”って。

──ステージで弾いている姿に一目惚れみたいな?

石月:そうですね。その頃は携帯もないから、毎日、家に電話攻撃ですよ。用もないのに(笑)。kazuyaとの出会いがなければ、FANATIC♢CRISISもないし、僕は音楽を続けてこられたかもわからない。なので、焼き鳥屋で「もしSHUN.が復帰できなかったら、どうする?」っていう話をした時に、僕自身はその答えをもっていて、「やりたい」って伝えたんです。

kazuya:そんな話をしている時に思ったのは、“FANTASTIC◇CIRCUSで歌っている時の努ってむちゃくちゃ楽しそうだ”ってことなんですよ。……これから気持ち悪いこと言いますよ。“この笑顔を守りたい”と思ったんです。

石月:ははははは。

kazuya:ファンの方々の笑顔もそうですけど、努の笑顔を奪うのは違うと思ったんです。僕、中学生の時に将来の夢を聞かれて「プロミュージシャンになる」って答えたんですけど、まわりに爆笑されたんです。でも、努と出会ったおかげでプロミュージシャンになれたわけで、今でもバンドを続けて、FANTASTIC◇CIRCUSでも一緒にやれている。そこに対する感謝はあるし、親友なんですよね。彼が楽しそうにしている姿を最後まで見ていたいから、僕は続けるという選択肢を取ったんです。あと、FANATIC♢CRISISの物語は、最初は努と僕の二人から始まったので、“何かあっても元に戻っただけだよ”と思えるというか、そういうイメージがあるんです。


──なるほど。

kazuya:僕は転生後に、ファンの皆さんがあんなに喜んでいる姿を見られるとは考えてもいなかったんですよ。というのも、その前までは“復活組ってどうなんだろう?”って思っていたタイプなので。

──以前のBARKSインタビューでもおっしゃってましたね。

kazuya:でも、いざステージに立ったら“わあああ”って心が奮えたというか。僕にとってあの顔はお金をいくら積んでも見られないものだったんですよね。その笑顔も守りたい。だからルールとして決めたのは、努がFANTASTIC◇CIRCUSをやめたくなったり、努が歌えない状況になったらやめよう。それまではやろうって。

石月:いや、僕が歌えなくなった時は、代わりに歌ってくださいよ。

kazuya:って言われたんですけど、それはお断りしました(笑)。でも「やれるんなら一生やればいいんじゃない? 続けていくうちに、やれる会場が小さくなることもあるかもしれない。それでもいいんじゃない? 待ってくれる人はいるし、演りたいなら、僕はやるべきだと思う」って。努と僕って考え方がけっこう違うんですけど、その時だけはバチバチ合っちゃって。

──珍しいことなんですね?

kazuya:ここまでぴったり合うのは珍しいですね。

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