【俺の楽器・私の愛機】1828「40年越しの夢がかなったギター」

【Fender custom shop Stratocaster】（大阪府守口市　たこまる　61歳）


1980年頃、街の楽器屋さんで貰ってきたfender USAのカタログにギターのオーダーシートが付いていました。
まだカスタムショップはおろかfender Japanもない時代、田舎の小さな楽器店でfenderのオーダーを受け付けている筈もなく、カタログにたまたま付いていただけのシートだったのでしょう。ましてやその金額、当時高校生の私には途方もない数字だったのです。

しかしそのオーダーシートを見ながら、私の夢は膨らんでいきました。ネックやピックアップ、ボディ材の組み合わせを考えるのは楽しく、いつしか私の「やりたいことリスト」の中に「fenderにstratoをオーダーする」という項目が追加されました。

しかしそれから40数年、仕事が忙しく一時楽器から離れることもありましたが、やりたいことリストには変わらずオーダーの項目は残っていました。

そして2022年、行きつけのお店でカスタムショップオーダーの商談会があったのをきっかけに、一気に実現していきます。そのオーダーシートはとても細かく指定できる内容で、友人にも参加してもらい各パーツを考えていくのは夢のように楽しい時間でした。

しかし問題となるのがそのお値段、オプションをつける度に高額になります。そこで「一旦やりたい項目を全て入れ、妥協できる部分を後で削っていく」方法をとりました。

ネックはローステッドのAAAフレイムメイプルでセレクテッドローズの指板に、ボディはローステッドアルダーでトップはスポルテッドメイプル。PUはTexas special ×2　Duncan JB ×1のSSH構成、シングルに切り替えられるS-1スイッチを付けピックガードはべっ甲柄、フラッシュコートのラッカー、ペグはロック式と、とにかくやりたいことを全部ぶっこんでみました。自分の好みに加え、初めてのギターや好きなアーティスト、友人へのオマージュ等の集大成です。

さてお見積り当日、ドキドキしながらメールを開くと思いのほか手頃なお値段。100万円は覚悟していましたが、それをかなり下回る数字でした。オーダーは2022年末、円高や値上げ直前のタイミングで今思えばラッキーでした。

2023年8月、ついに完成の連絡がありました。納期は1年と聞いていたのでかなりの前倒しです。トップのメイプルはもう少し暴れてほしかったものの大満足の仕上がりでした。

しかし、問題発生！ストラトあるあるですが、3弦13-14フレットあたりの音の濁りが気になって仕方ありません。音があまり伸びず、デッドポイントになっていました。

これをストラトの味と見る向きもありますが、ここのロングトーンを多用するため放置もできません。試行錯誤の結果、Texas Specialの3弦スタガードポールピースが原因と分かりました。SRVモデルも所有していますが、これは問題ありません。結局はボディの鳴りとの相性なのでTXは諦めてDuncan SSL-4に交換しました。これならルックスも音も大好きでポールピースがフラットなので、問題は最小限になりました。

購入から1年半が経ち、音もかなり馴染んできました。40年のこだわりや出会いがつまったカスタムショップのストラト、最高の相棒になりました。





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これはすごい。間違いなく世界に1本。タイミングが良かったですね。いまはもう生産が追いつかなくてオーダーを受け付けてくれない状況が当たり前になってしまいましたもん。それにしても内容がすごい。40年前の少年が心を焦がした頃には、スポルテッドとかローステッドなんてものはなく、ロックペグなんてのも存在しなかったわけで、ここには40年の楽器の歴史と正しき進化もがっつりと注入されているという、まさにカスタム中のカスタム。ボディもネックもゴリゴリに乾燥しているとなれば、スコーンと抜ける激鳴りの乾いたサウンドが出そう。1965年スペックってのがマニア過ぎて震える。誕生年？…と思ったけど違うか。トランジョン・ロゴへの憧れをこじらせた結果、なのかな。（BARKS 烏丸哲也）


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