【ライブレポート】山下大輝×畠中祐、<LIVE 2025 “Share”>開催。2人の想いと歌と“Share”したステージ

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山下大輝と畠中祐が、5月4日に東京・LINE CUBE SHIBUYAにて<山下大輝 × 畠中祐 LIVE 2025 “Share”>を開催した。

◆山下大輝と畠中祐 画像

声優アーティストとして共に第一線で活躍し、アニメ『僕のヒーローアカデミア』では、山下は緑谷出久として、畠中は上鳴電気として長年共演を重ねてきた。仕事仲間としてだけでなく10年来の旧友として互いをリスペクトし合う関係性が、2024年9月の山下のバースデーイベントに畠中がゲスト出演したことをきっかけに、音楽というフィールドで交差することになった。2025春には初の共作となる配信シングル「Go ahead!」をリリース。そしていよいよ、ふたりの音楽に対するまっすぐな想いが、ライブで観客と分かち合われることに。

本公演は、それぞれのソロステージから始まり、コラボレーションステージへとつながる構成で展開。現状、山下と畠中のコラボレーション曲として発表されているのは「Go ahead!」の1曲のみだが、この日は、山下のソロ曲をふたりで歌唱する場面も。また、『僕のヒーローアカデミア』でおなじみのカバーに加え、新曲「微炭酸アドレセンス」のサプライズで披露、さらに初のコラボレートEP『Share』の発表と、さまざまな“初めて”が観客と共有された。本稿では、その模様をレポートする。


「はじまるよ! どっちからやる?」「えっ今決めることですか?(笑)」「じゃあ公平にジャンケンで決めよう!」──ふたりの素のテンションが伝わってくるような影ナレーションから幕を開けた「山下大輝 × 畠中祐 LIVE 2025 “Share”」。

開演前の会場BGMには、“ダイスク”こと山下大輝 × 畠中祐のYouTube企画内で語り合ってきた、お互いのお気に入りや影響を受けた楽曲をセレクト。さらにスクリーンには、猫(愛猫・おこめ)好きの山下と映画を愛する畠中、それぞれの“コア”を象徴するモチーフが散りばめられたカラフルなライブロゴが映し出されている。ふたりの登場を前に、“好き”を“Share”する開けた空間が完成されつつあり、そのロゴをなぞるように、客席は極彩色のペンライトの光に包まれた。そんな中、バンドメンバーである白井アキト(Key/バンマス)、二木元太郎(G)、Toshihiro(B)、柳 俊彰(マニュピュレーター)が待つステージに先に姿を現したのは、スポーティな衣装に身を包んだ畠中祐だ。


本ライブの幕開けに選んだのは、自身のアーティストデビュー曲である「STAND UP」。力強いソウルフルな歌声で序盤を立ち上げ、観客を魅了したかと思うと「俺だ俺だ〜! 畠中祐だ〜!」と叫び、「ジャンケンの結果は言ってなかったけど、最初は僕でした! 突然出てきましたけど、皆さんついてこられていますか!?」とテンション高めに観客に語りかける。後に山下も言及していたが、ステージとMCのこの“別人”のようなギャップも彼の魅力のひとつ。客席からはふふっと笑いが。

挨拶もそこそこに「知ってる曲も知らない曲もあるとは思いますが、今回のタイトルは “Share”ということで、この時間、皆さんと音楽をShareしたいと思っています!」と、山下と共演したTVアニメ『ナカノヒトゲノム【実況中】』OP主題歌であるデジタリックな「not GAME」、TVアニメ『憂国のモリアーティ』OP主題歌であるシリアスな「DYING WISH」と、自身の歩みを彩ってきた異なるタイプの楽曲を観客と分かち合うようにしてつないでいく。続く「Solid」では“一緒に手を振れる曲”という言葉どおりの一体感でいっぱいに。そして、客席を見て「カラフルで良いですね、なんかとっても、このライブにふさわしい感じがします」と嬉しそうに畠中。そして、ラストの曲に進む前に山下にまつわるMCを。


「このあとに山下さんが登場しますが…僕が見ている山下大輝さんと皆さんが見ている山下大輝さんの姿ってあんまり変わらないと思うんです。裏表がない人だから。きらびやかで明るい世界で、本当に華やかなご活躍をしている山下さんですけど、きっとその裏では、悩んだり苦しんだりする瞬間もあって。だからこそ、みんなに前を向いてほしいんだ、という気持ちが人一倍強い人だと思うんですね。僕はそういう山下さんのまっすぐさが好きです。そんな一途に人一倍頑張っている山下さんに、そして日頃頑張ってる、そしてまた明日から頑張らなきゃいけないかもしれない“あなた”にこの歌を届けたいなと思いまして…あ、ゴールデンウィーク(だから休み?)…? って、話が締まらなくなっちゃったよ!」

そう笑いつつも「でもいいのよ! いつも頑張ってるんだから今日くらい楽しもうよ!」と労い、TVアニメ『オーバーテイク!』のED主題歌であるミディアムナンバー「グッドラック」をプレゼント。〈疲れたらここへおいで〉と語りかける柔らかな歌声に、その場にいる人全員の心がふっとほぐれていくのが伝わってくる。〈キミに追い風が吹く/近い未来に〉のフレーズでまっすぐに観客を指差すその姿にもグッとくるものがあった。

「次は山下大輝さんです、楽しんでいってね!」とバトンを渡し、畠中と入れ替わる形で颯爽とステージに登場した山下。青と白のストライプを基調とした衣装がよく似合っている。その表情はどこかうるっとしているようにも見えた。


「祐のステージ、最高だったね! 袖で見てて泣きそうになっちゃったよ! そのあとの“グッドラック”が本当に染みちゃって、泣かないように頑張ってたんですけど、ちょっとポロッときてしまいました」と山下流の素直な言葉で、畠中のステージを讃えた。そして「あー空気がたまらなく美味しい! この空気感を祐が作ってくれたんだね! では僕も、みんなと一緒に“楽しい”をShareしていきたいと思います! 僕からの気持ちを全力で受け取ってください! じゃあ、聴いて!」とアジテートし、青春の甘酸っぱさをぎゅっと詰め込んだロックナンバー「continue」で勢いよく駆け出していく。その熱をそのままに「列偶像」へと疾走。両曲とも、自分の“道”を切り開いていこうとする力強い意志が刻まれたものだ。声優アーティストならではの折り紙付きの表現力の高さで、指先ひとつにまで想いを込め、観客の心をぐっと引き寄せていく。

ここで少し一呼吸。「みんなここまで、一緒に楽しんでくれてありがとう! ずっと皆さん立ってくれていたから、一旦深呼吸タイムということで、みんなの心に寄り添えるような曲をお届けしたいなと思っています」と語りかけ、yama「春を告げる」のサウンドプロデューサーとしても知られる“くじら”の「キャンドル」と、ファンタジックな音楽性を際立たせた「ヒトコキュウノ」を披露する。「キャンドル」のラストで息を吹きかけるしぐさとともにステージが暗転。深い青の光がゆっくりと灯る中で「ヒトコキュウノ」へと繋がっていくという、演出面でもいつもとはまた違う表情を見せていたが、それ以上に印象的だったのが、その歌声である。この日の歌声はより躍動感に満ちていて、“ライブは生き物”という言葉を実感させてくれるかのようであった。観客の熱量、畠中という良き“共演者”の存在、そしてバンドスタイルでの演奏が、その場限りの空気を生み出していたのだろう。実際、山下自身も歌いながら手応えを感じていたようで、「曲は毎回、姿・カタチを変えてくれて嬉しいな」とポツり。


「同じ曲なんだけど、いろいろな面が見られて。みんなの表情を見たり、雰囲気を感じたりしながら歌うことで変わってくる。だんだんと曲が変化していくこと、新しい表情を見られることはライブの楽しみのひとつです。みんなありがとう!」

ファンとの信頼関係があってこその言葉を述べ、改めて感謝を伝える。「今日はゴールデンウィークの真っ最中に来てくれて本当にありがとう。毎日、仕事や学業など、本当に日々大変だと思うんです。だけど、これからも“自分らしく”いてほしい。そんな“自分らしさ”を大切にする曲を皆さんに届けたいと思います」と、ソロステージの最後に届けられたのは、BLUE ENCOUNT・田邊駿一が提供したミディアムナンバー「暁」。自身の心の内と向き合い、前に進もうとする人すべてに、情熱的な歌声で寄り添い〈コンパスの針は今 嬉しそうに 指し示す はじまりの道を〉というラストフレーズにエールを込め、それを差し伸べるかのように手を掲げた。

そんな真っ赤に燃えるようなステージから一転、照明が明るくなり“陽”な空気感に。「さあ皆さん準備は良いですか!? こっからさらにアゲていきましょう! さあ呼び込もうか、祐〜!」と畠中をステージに招き、待望のコラボレーションステージが開幕。肩を並べてステージに立ったふたりが披露したのは、山下のバースデーライブでも共に歌った楽曲「Hello」で〈“今”を自由に Fly 曇らせないで 透き通った“好き”の Way〉という歌詞に合わせるように両手を翼のごとく広げ、ステージを駆け抜ける。その無邪気なパフォーマンスとフレンドリーな歌声に、ファンからも、ふたり自身からも笑みがこぼれた。歌い終えると、ふたり揃って思わず声が被ってしまい、「かぶった!」と無邪気に笑い合う。そんなふたりが何より伝えたかったのは、「楽しい!」というまっすぐな気持ち。「ソロステージを経て、ついにきたね!」「もう聴いててたまらなかった」と語り合う様子からは、音楽への純粋な想いがにじんでいた。


「いろいろと話したいことは山ほどあるんですけど…ライブなので、音楽で伝えていけたらと思います。ここからがメインディッシュ。さらにこの空気を美味しくしていきましょう! お腹いっぱいにして帰ってください」と山下が言えば、すかさず畠中が「今までサラダとか前菜だったんかい!」と鋭くツッコむ。肉好きとして知られる山下らしいユニークな表現が続き、客席からは笑いと拍手が広がった。そんなふたりのやりとりに和みつつも「僕らにゆかりのある曲を今回はお借りしてまいりました」と切り出せば客席から期待を込めた声が上がった。

明かされたタイトルは、緑黄色社会による『僕のヒーローアカデミア』第4期第2クールEDテーマである「Shout Baby」。「前向きになれる、めちゃくちゃ素敵な曲。練習でも大切に歌わせていただいてきました」と山下。畠中も「本当に良い曲。痛みも全部含めて、前を向いていく感じ」と続ける。そして、ピアノの旋律が響くと共にステージの背景が星空に変わり、最小限のシンプルな音色に合わせて、その想いを声で丁寧に紡いでいくふたり。気づけば、客席には緑と黄色のペンライトが揺れ、すすり泣く声も聴こえてきた。歌唱後もその余韻がしみじみ続く中、山下が「…まだまだいけますか?」と問いかける。もちろんと言わんばかりの歓声が響き、再び熱を帯びた空気が会場を包むと「ああ、また空気が一層ジューシィになった!」と喜びをあらわに。その勢いのまま「じゃあ、いこう!」と進んでいくかと思いきや?

「あっ次この曲か!」と一度止まるふたり。アイコンタクトをして「皆さん、ビックリすると思うので…」「何も言わずにいっちゃう?」「まあまあ!」などといたずらっぽく言葉を交わしつつ曲に突入していく。始まったのは、これまで聴いたことのないボーカルはじまりの楽曲。「なんの曲だろう?」「また別のカバー曲かな?」といった戸惑いの空気が客席に広がるものの、ふたりの声が重なり合うたびに、それが“まぎれもないふたりの新曲”であることが伝わりはじめる。新曲のタイトルは「微炭酸アドレセンス」。〈あれもこれも/堪能すりゃいいじゃん/さあ、踊り出しな〉──甘酸っぱさとほんの少しのほろ苦さを織り交ぜた歌詞、R&BやJAZZの香り漂うお洒落なサウンドが印象的な、ユニゾン多めのナンバーだ。小さく驚きの声を上げたり、早速身体を揺らしたりと思い思いの楽しみ方でファンが新曲を味わっていく中、間髪入れずにコラボレーション曲「Go ahead!」へ。もがきながらも前に進もうとする全ての人に向けた、まっすぐな応援歌が響く。さまざまな場所でふたりが「ここはみんなに歌ってほしい」と語っていたDメロでは、観客が自然と声を重ねていき温かな一体感に包まれた。


畳み掛けるようなステージを終えると「さあ、何から話そう!」と、少年のように声を弾ませながら山下。そして先程歌った曲が新曲であること、そのタイトルをここで発表(するも聞き取れない人が続出)。「あんまりない曲調かもしれない」「お洒落な雰囲気」「(歌うのが)難しい!」などと盛り上がった。念願の「Go ahead!」についても「みんなが歌ってくれてひとつになれた感じがする」「完成形が見られた」と熱弁。そんな中、ふいに「本当にあっという間でしたね。ありがとうございました」と山下。「実は…今の曲が最後だったんです」と明かされ、「えっ!?」「終わり!?」と驚きの声が広がる中で、ふたりがそろって「今日は本当にありがとうございました!」「じゃあね!」と手を振って芸人さながらの速さでバックステージへと捌けていく。バンドメンバーもそのままステージ裏へと消えていき、会場にはすぐさまアンコールを求める声が響き渡った。


期待に応えて、“Share”Tシャツに着替えて笑顔で再登場したふたり。「全力のアンコールありがとうございます! こんなにもフルスロットルなアンコールは初めてかも(笑)。やっぱり山下さんとのライブは何が起こるか分からない! 面白い!」と一連のドタバタ劇に言及した畠中。そんなにぎやかなライブもいよいよクライマックス。バンドメンバーの紹介と感謝の言葉を挟み「次が本当に最後の曲。祐に頑張ってもらったんです。せっかくだから、みんなで思いっきり楽しもう!」という山下のかけ声とともに、TVアニメ『弱虫ペダル LIMIT BREAK』第2クールEDテーマ「アクション」を歌唱。山下の温かみのあるハイトーンボイスと、畠中のセクシーなハスキーボイスという対照的な声色がサビで交差するたび心地よい化学反応が生まれ、ハッピーな空気感が包みこんだのだった。

最後にバンドメンバーもステージ前方に呼び込み記念撮影。ライブ後ならではの和やかなムードの中で配信シングル「Go ahead!」のジャケット写真を再現する一幕もあり、客席から声が上がった。ここで突如、「みんなにここでお知らせがございます」と切り出したのは山下。その直後、画面に「特報」として映し出されたのは、次なるアクション──山下大輝×畠中祐 1st EP『Share』が発売されること。この日いちばんの大きな声が上がった。

「どんな曲が入るのかな? 「Go ahead!」を含む全5曲を収録らしいんだけど…だとしたら、俺ら、全然まだShareできてなくない?」と畠中がとぼけたように言えば、山下は笑いながら「確かにそうだね。でも、楽しみがまたひとつ今回のライブで発表できて、本当にうれしいです」と応える。次作に合わせて、2人のアーティスト写真も一新するそう。“これから”に期待が高まる中で、改めて今日のステージを噛みしめるふたり。


「祐と今日ライブをやってて思った。キミとは楽しい!」と山下が話すと、畠中も「楽しいね! ひとりのライブももちろん楽しいけど、こうやって“Share”できるって、たまらない気持ちになる。山下さんのとのライブだからか、お客さんもまっすぐで、とっても会場が温かいの。“僕ら、本当に初めて会いました?”というような感覚(笑)。またライブもやりたい!」と応える。「やりたいね。本当に“美味しい”時間になりました。どんどんやりたいことが溢れてくる。それを叶えられるように、僕らも誠心誠意頑張っていきたいと思います。皆さんも、ぜひついてきていただけたらうれしいです」と山下が締める。“Share”というテーマを掲げてはじまった音楽の旅は、ステージを経て、今度は1st EPという新たな旅へと続いていく。これからも楽しい気持ちを、歌を、想いを分かち合うために。1st EP『Share』は9月3日リリース予定。

文◎逆井マリ
写真◎江藤はんな

リリース情報

山下大輝 × 畠中祐 1st EP『Share』
・発売日:2025年9月3日(水)リリース

・初回限定盤(CD+Blu-ray)
AZZS-164/¥4,800(税込)
※Blu-ray収録内容:・MUSIC VIDEOほか、メイキング映像を収録予定

・通常盤(CD)
AZCS-1135/¥3,000(税込)
※封入特典(初回生産分のみ):“Share”トレーディングカード(ランダム1点 / 全3種)
 
■収録曲
最新シングル「Go ahead!」を含む全5曲収録予定(※初回限定盤・通常盤共通)

■CDショップ先着予約特典
アニメイト:オリジナル特典あり
ゲーマーズ:オリジナル特典あり
Amazon.co.jp:オリジナル特典あり
楽天ブックス:オリジナル特典あり
一般CDショップ共通:オリジナル特典あり
※特典詳細は後日発表となります
※特典はなくなり次第終了となります

各CDショップ販売リンク
https://a-sketch-inc.lnk.to/Daiki_Yamashita_x_Tasuku_Hatanaka

◆デジタルシングル「Go ahead!」配信中:https://a-sketch-inc.lnk.to/go_ahead

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