【インタビュー】超学生、ネットカルチャーをテーマにした初のセルフプロデュース曲完成「インターネットは最悪だけど最高」

小学生の頃にインターネットを拠点に活動を開始した超学生が、13年という年月を経てついに作詞作曲まで手掛けたセルフプロデュース曲を完成させた。
◆撮り下ろし写真
同曲はタイトルの「アイラブインターネット」からわかるように、ネットカルチャーをテーマにしたポップチューン。ネット世代であり長きにわたりネットで活動を続けてきた彼ならではの歌詞とサウンドには、これまで13年間の彼のクリエイターとしての歩みも凝縮されている。
夏には<LuckyFes’25>で初の野外フェスに出演し、8月から秋にかけて初の全国ホールツアー<超学生全国ホールワンマンツアー2025~音欲の秋~>を開催するなど、昨年封印していたライブ活動も今年は精力的に行う。自宅での音楽活動と学びを経て、彼はどんなモードに突入したのだろうか。「アイラブインターネット」の話題を中心に、ロングインタビューで迫る。
◆ ◆ ◆
◾︎DTM初心者というリアルを大事にしたかった
──とうとう超学生さんが作詞作曲した楽曲が完成しました。超学生さんは2024年にライブを行わず、時間のほとんどを「歌ってみた」動画投稿と制作に捧げていましたが、だからこそ自作曲の完成に至ったところも大きいですか?
超学生:かなり大きいと思います。去年は家でずっと「歌ってみた」を作ってきて、自宅スタジオの環境もかなりアップデートできまして。なかでもサブウーファーの導入は大きかったですね。ローエンドが見えてくると音も作りやすくて、ヘッドホンのときよりもいろんな音が入れやすくなったんです。「歌ってみた」投稿を中心に活動していたので、そこから派生することにフットワーク軽く取り組めたんですよね。
──楽曲制作やリミックスの制作、他アーティストの楽曲の音作りの研究などを、家でじっくりと腰を据えてできたということですね。
超学生:曲作りも空いた時間に「1日数小節だけでも作るぞ」みたいな感じで作りためていけましたし、J-POPや洋楽、K-POPの楽曲もたくさん聴いていくなかでいろんなものを吸収して、自分なりにじっくりとミックスを試したりもできました。そうしていくうちに耳がちょっとずつメジャーな音、プロのスタジオエンジニアさんが作る音に慣れてくる感覚もありましたね。理論を学ぶというよりは、自分の耳が喜んでいるものを作りたい、僕が出す意味があるものを作りたいという願望が強いので、「メジャーな音はどういう仕組みなんだろう?」と興味を持つことを入口に探っていきました。その結果「この帯域はこういうふうになってるんだ」みたいなことが前よりもわかるようになってきて、それが今回の編曲にも活きている気がしますね。
──確かに「アイラブインターネット」は超学生さんが好きそうだなと思う音がずっとなり続けているなと感じました。
超学生:初の自作曲なので大衆に受ける受けないは一旦置いておいて、完成させることに意味があると思ったんです。世間的には破綻してる音だったとしても、編曲とミックスとボーカルがなんか面白くて超学生っぽくなっていれば、そっちのほうが意味があるかなって。iPhone用のマイクで屋外で収録した音を加工して使ったり、ホーンはボカロPのなみぐるさんにお願いして入れてもらいました。
──なみぐるさんはいろんな楽器をプレイできる方なんですよね。サックスやクラリネット、ギターやベース、キーボードなど。
超学生: DJでも生演奏を交えてプレイしてらっしゃるので、何かでご一緒できたらなと思っていたんですよね。「アイラブインターネット」はエレクトロスウィング寄りの楽曲なので、管楽器は生演奏がいいなと思ってお願いしました。僕が打ち込みで入れたものをなみぐるさんに一旦全部お渡しして、「なみぐるさんの思うがままに入れてください」とお願いして、返ってきたものをまた僕が切ったり貼ったりして、生音の良さを残しながら打ち込みの音とのバランスを取っていきました。ミックスをクラウドナインのさぶろうさんにお願いして、その際も「管楽器はバリバリとした音、ジリジリした音にしたい」という要望を出しました。

──その結果、ホーンは生の音でありながらもデジタルと親和性の高い音になっていると思います。
超学生:そのバランスを取る過程もめちゃくちゃ楽しかったですね。生の音なので揺らぎや人間味があるんです。それがグルーヴになるし、「アイラブインターネット」の雰囲気にも合っているので、なみぐるさんに生のホーンを入れていただけて本当にうれしかったです。あとインターネット出身で、せっかく今までボカロ曲を歌わせてもらっているので、超学生の作った1曲目は本格派の仕上がりというよりはDTM初心者というリアルを大事にしたかったんですよね。だから編曲が上手な人が聴くと「もっとこうしたほうがいいのにな」と思うところがたくさんあるとも思います。
──そのバランスを取ってくださったのが、サウンドディレクションを担当している矢野達也さんということですね。
超学生:僕の作った音を聴いてアドバイスをくださったり、質問に答えていただくというかたちでご協力いただいたんですけど、矢野さんも「インターネットっぽさというか、破綻してる感じはちゃんと残したいね」と意図を汲んでくださって。大物編曲家なので、本当ならもっとすごく綺麗に整えてくださると思うんです。それでも聴きやすいかたちでインターネット感を残してくださって、勉強にもなったしありがたかったですね。
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