『Acme』は普通ではないね

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『Acme』は普通ではないね。

一切の余計なものを省き、2本のギターとドラムで過激に演奏した『Now I've Got Worry』の後、Jon Spencer Blues Explosion(JSBX)は'98年に出した5枚目のアルバム『Acme』で反対の方向に踏み出した。本質的に最高の道に進んだとは言えないが、『Worry』の飾り気のない内容から、ループとスタジオ効果のきいた『Acme』へと変身した(…とは言えJSBXとしては特に大胆なジャンル変更ではないが)。ここには、Steve Albini、Calvin Johnson、Dan "The Automator" Nakamura、Jim Dickinson、Atari Teenage RiotのAlec Empireなど有名なサウンド・クリエイターによる作品とリミックスが含まれている

そして、その1年後、NYCトリオは『Xtra Acme』をひっさげて再び現れた。『Acme』および同時期に発表された曲のリミックスに次ぐリミックスおよびディミックスによって制作されている
混乱しないでほしい。JSBXの表看板であり野性人で空想家で解体批評家のJonSpencerが、ここですべてを明らかにしてくれる。LAUNCHのNealWeissが録音したそのインタビュー・テープをSpencerがリミックスしてしまう前に、すべてを掲載しよう。


LAUNCH:
なぜ『Xtra Acme』なのですか?

SPENCER:
『Acme』を作っていたとき、必要な数以上に多くの曲を書いて録音していたんだ。昔流のBluesExplosionでね。40~45分のアルバムが気に入っていて、そのために曲を作っておいた。『XtraAcme』の中には、このとき収録されなかった曲もある。ほとんどの曲は、『Acme』を作っていた1年前に完成していてミキシングもすんでいる。でも、何曲かはレコーディングする機会を逃していたので、今仕上げてミキシングしているところさ
収録されなかった曲の他に、別のミックスがあるんだ。『Acme』を作っていたとき、個性の違うプロデューサーとミキサーを大勢確保しておいた。だから、曲によっては、3人か4人の人によってミキシングされている。『Acme』では、俺たちが一番気に入ったミックスを選んだけれど、『XtraAcme』の数曲は、俺も一緒になってやりたいだけ編集した。たとえば“Lovin'Machine”は、Jim Waters、Scott Benzel、DanielThe Automatorの3人がミキシングしながら編集したんだけれど、これはぜひやりたかった方法なんだ。その方が曲がさらに良くなると思ったからね。

LAUNCH:
『Xtra Acme』では、リミックスからオリジナル・サウンドへと、一種逆行している形ですね。

SPENCER:
『Xtra Acme』の何曲かはそうだね。デモ・バージョンやミックスを大まかにしかやっていないもの、俺自身がやったもの、従来のBluesExplosion風に、エンジニアを使ってベーシック・トラックをとってヴォーカルや必要なオーバー・ダブを加えて、曲をミキシングしたもの…。だから『XtraAcme』は、少し前に戻ったものと言えるかもね。オリジナル・ラフ・バージョンとでも言うか、プリ・リミックス・バージョン…つまりストレート・バージョンだ。

LAUNCH:
“So Trance”について何かおもしろい話はありますか。

SPENCER:
シカゴにあるSteve AlbiniのElectricalスタジオ…『Acme』のほとんどの曲はここでレコーディングされているんだけど…で、'98年の1月にScottHardingとやった1分のジャムから作った曲なんだ。適当に演奏していた曲の中に気に入ったのがあったから、Steveにテープを回してもらっていたんだ。あとからその時のテープを聴き直して、残っていたものを仕上げていたんだけど、このジャムのサウンドが気に入ってね。そこで俺とScottでサンプリングして1曲に仕上げたというわけさ。典型的なループになっている。

LAUNCH:
もうリミックスは終わっていたのではないんですか?

SPENCER:
「終わった」というのは正しくなかったかもしれない。今も、BluesExplosionのためにリミックスしてくれている人がいるんだから(笑)。R&Bの伝説の歌手Andre Williamsと一緒にレコーディングした曲“Lap Dance”があるんだが、まだ日の目を見ていない。今、5~6人の人がこの曲をミキシングしていて、できるだけハイに、自分たちの思い通りにやってくれと言ってある。EPか30cmシングルで出そうと思っている。BluesExplosion対“Dub Narcotic”のレコードも制作中。Alec EmpireにBluesExplosionを解釈し直してもらって、B面はTechnoAnimalのリミックスになる予定なんだ。イギリスっぽいだろ? Techno Animalのほうは聴いたけれど、とても気に入っている。BluesExplosionのサウンドではないけれど(笑)、とてもいいよ。ステージで演奏する前に流すんだ。クラブでPAを通してでかい音で鳴らすとすごいサウンドだよ。AlecEmpireに任せているものは、もう終わったのかな? どんなものになるかまだわからないけど、期待しているよ。

LAUNCH:
他のアーティストのリミックスをしたことはあるんですか?

SPENCER:
一度だけEinsturzende Neubautenをやったことがある。Neubautenは俺のお気に入りのバンドの1つでね。俺が小さい頃のヒーローだった。異なるすべての要素を曲から抜き出し、テープに録音した。Neubautenの曲からメタルやモーターの音なんかのすべての要素を抜き出して聴き返してさ…。とてもエキサイティングだったよ。他のアーティストからもいくつかリミックスを頼まれたことはあるけれど、いつも時間の都合がつかなかったな。

LAUNCH:
さて、Blues Explosionですが、『Xtra Acme』の次は何でしょうか。

SPENCER:
わからないな。今度は1人のプロデューサーに任せて作ってみようと思う。『Acme』を作ったときは、いろいろなことが同時に進行していたので、欲求不満が募ったんだ。でも、彼らがアルバムにもたらしてくれたもの、同時に彼らがBluesExplosionから得たものはお互いに素晴らしかったと思う。だから、これからも外部のプロデューサーやミキサーと仕事をすることはあると思うよ。ただ、次回は、1枚のレコードを1人のプロデューサーだけで試してみたい。ナッシュビルでレコーディングしようという話もあるけれど。今のところはっきりしているのはそんなところかな。しかし、『Acme』をやったおかげで、俺たちみんな何でもできる気がしている。白紙に戻った感じなんだよ。


Neal_Weiss
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