ドラマチックなメロディ展開と、人としての魅力が光るビッグバンド!

ポスト

ドラマチックなメロディ展開と、
人としての魅力が光るビッグバンド!


 注目のバンドを会した新宿LOFTのイベント"LOFT presents"。そこに今回初登場となるJET MARIE GO-AROUND(以下JET)を紹介させてもらおう。JETはFUNK、ROCK、SOUL、JAZZからクラブ・ミュージックまで、その雑多な音楽性を現代感覚溢れる感性で独自のJ-POPを作り出している特異なバンドである。メンバーはヴォーカルに山崎達也、キーボードに秦拓也、この2人が音楽性の中心人物となって構成されている計7名のバンドだ。

 カリスマ性を持った山崎と、サウンドメーカーの秦は先の1stミニアルバム『ALABAMA』制作時においてもこだわりを見せ、結果、ライヴで見られる勢いだけではなく、緻密で独自のアシッドな世界を表現している。ホーン隊はSAXの庄司有臣、トランペットの小野哲司郎。この長身で見栄えのする2人がステージでは下手に位置する。加えて、これまた長身のギタリスト・西里慶により、彼らのライヴは躍動感がスリリングにオーディエンスに伝わる図式になっている。後方にはベーシスト・佐藤智宏。最年少ではあるが頼もしくもアグレッシヴな存在だ。そして、ドラマー・峯村和之を加えた7人編成の大型ロックバンド。まさに"大型"という言葉がお似合いといえるだろう。

 ライヴの様子はというと、SEが鳴ってそろそろとメンバーが登場。ミドルテンポのナンバーから演奏が始まると、徐々に遠巻きで様子を見ていたオーディエンスがステージ前に集まる。中盤、代表曲でもある「リボルバ-」あたりから、会場全体がノリを見せ始め、横ノリと縦ノリがミックスされたグルーヴを見せる。そして、ラストナンバーはお決まりの「ヤツ等を高く吊せ!」。

 彼らのナンバーは、映画からインスパイアされることが多いという。なるほど、場面場面で見せるメロディの展開は、さながら映画のカット割のようでもある。ジゴロを気取りつつ、堂に入った出で立ちは、同性としてある種の嫉妬と羨ましさを感じる。が、同時にどこか人の良さを漂わせている彼ら。そんな風貌が感じられるのは、やはり生で触れられるライヴならで、これも彼らの魅力といえるだろう。

 この夏には、再びレコーディングに入るという。「次作はもう少しライヴ感のあるものに仕上げたい」と語っていた。まだまだ、知られざる存在ではあると思うが、こういったイベントから火が付いていくんだろうなという予感は、終演後、客席の間で冷めやらぬその興奮を語り合うオーディエンスからもうかがえるのであった。

文●中島儀幸

この記事をポスト

この記事の関連情報