ダブル・ディーラーの挑戦は続く!!

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サーベル・タイガーの下山武徳(ヴォーカル)&コンチェルト・ムーンの島 紀史(ギター)という、日本のハード・ロック/ヘヴィ・メタル・シーンでは名実共にトップ・クラスと目される2人が組んだニュー・グループ──噂のダブル・ディーラーが初めてのツアーを行なった。

そもそもこのダブル・ディーラーは、'81年結成という北海道出身の老舗バンド、サーベル・タイガーで強力無比なヴォーカルを披露してきた下山(サーベルへ加入したのは'97年)に、日本随一の様式美ハード&メタル・バンドとして高い人気を誇るコンチェルト・ムーンの中心メンバーである島が心底惚れ込み、いつか一緒に活動が出来れば…と常々思っていたことからスタートしたのだという。

よって、当初は島のサイド・プロジェクト的な形で動き始めたものの、結果的には、下山と島を中心に、三谷耕作(ベース:コンチェルト・ムーン)、磯田良雄(ドラムス:サーベル・タイガー)、小池敏之(キーボード:コンチェルト・ムーン)を加えた正式なバンド形態が完成。程なく、鳴り物入りでアルバムの制作が発表され、今年6月のデビュー作『ダブル・ディーラー』のリリースに伴い、今回──遂に東・名・阪のツアーが実現したというわけである。

東京公演が行なわれた8月19日の渋谷・ON AIR EASTはほぼ満員状態で、その動員力からも彼等に対する注目度の高さが窺えた。会場が暗転しSEが流れ始めると、すぐに「ヘイ、ヘイ…!!」という声が前方のオーディエンスから沸き起こる。

大方の予想通り、1曲目にプレイされたのはデビュー・アルバムのオープニングを飾るスピード・チューン「ザ・ロング・ウェイ・ロード」だ。

まずは、磯田のドラミングが曲を引っ張り、続いてリズムが疾走し始めると、もうその立ち姿だけで抜群の存在感を放つ下山のヴォーカルが入ってくる。ギターの島はのっけから全開で、アグレッシヴにステージを動き回りながらオーディエンスを煽りまくり。メロディックに展開していく長めのギター・ソロも、素晴らしい運指で見事にキメてみせた。

ただ、島のあまりのテンションの高さにはちょっとビックリである。天を指差したり、両手を高く挙げたり…というアクションも、ともすればコミカルに見えてしまい、また、いつになくプレイに荒さが目立っていたのも彼らしくなかったのではないだろうか。アルバム通りに「パンドラズ・ボックス」が2曲目に披露され、「ルック・アット・ユア・フェイス」に続いてカヴァーの「ミストリーテッド」が早くも飛び出した時には、大きな歓声が起こったにもかかわらず、同曲のソロ・パートで島はミスを連発…。思わず、観ているこちらの方が焦ってしまったぐらいだ。

勿論、元々が並みのプレイヤーではないのだから、それでも充分に凄みは伝わってくるのだが、比類なきテクニックの持ち主である島のプレイを何よりも楽しみにしていた…というギター・キッズも少なくなかったであろうことを考えると、より繊細なギター・ワークでも酔わせて欲しかったと思う。

しかしながら、ディープ・パープルがオリジナルのこの「ミストリーテッド」を、ロニー・ジェイムズ・ディオによるレインボー・ヴァージョンに近いカタチで見事に歌い上げた下山のパフォーマンスは、文字通り鳥肌モノ…!

ロニー・ディオを崇拝する下山は、さらにもう1曲、アンコールにてブラック・サバスの「ダイ・ヤング」のカヴァーでも感動させてくれた。

当然ながら、セット・リストはアルバム『ダブル・ディーラー』収録曲を中心に構成されていたものの、サーベル・タイガーとコンチェルト・ムーンのファンにとって堪らないプレゼントが用意されていたことも特筆されるべきだろう。

それは、下山が歌うコンチェルト・ナンバー(「フロム・ファーザー・トゥ・サン」&「タイム・トゥ・ダイ」)と、島が弾くサーベル・ナンバー(「トゥー・ディメンショナル・スカイ」と「メタルライダー」)である。特に、アンコールのラストでプレイされた「タイム・トゥ・ダイ」では、オーディエンスとの掛け合いもあり、ラストに相応しい盛り上がりを呼んでいたようだ。

尚、それぞれメンバーは、今後もサーベル・タイガーとコンチェルト・ムーンを続けながらダブル・ディーラーでの活動も並行して行なっていくそうで、既にダブル・ディーラーのセカンド・アルバムの予定も立っているのだという。

また、下山は初のソロ・アルバムのリリースも控えており、そのコンセプトをよりリアルなものとして表現するため、間もなく中東はレバノンへと旅立ち、現地にて戦場における人間模様をつぶさに観察して、また、そこの人々とも交流を深めてくるとのこと。ファンから親しみを込めて“アニキ”と呼ばれる彼らしい、凄まじいばかりの勇気と行動力である。

さらには、11月からダブル・ディーラーとしてのヨーロッパ・ツアーが決定していることも付け加えておこう。アメリカのシンフォニー・エックス&スウェーデンのマジェスティックと共に、フランスを中心に10ヵ所を廻るというそのツアーは、きっと彼等にとてつもない経験をもたらしてくれるに違いない。

同行する2バンドともギタリストのテクニックには定評があるとはいえ、島のプレイが世界でもトップ・レヴェルにあることを示すまたとないチャンスであり、島の華麗なるギター・ワークで、是非とも本場のオーディエンスを圧倒してきて欲しいものだ。

さらに結束を固め、次なるステップへと昇華させるべく、ダブル・ディーラーの挑戦は続く!!

[SET LIST](8月19日:渋谷・ON AIR EAST)
1 The Long Way Road
2 Pandra's Box
3 Mistreated~Keyboad Solo(Inc. Jerusalem)
4 From Father To Son~Drums Solo
5 Primitive Life
6 Inner Voice~Guitar Solo
7 Deep Blue Sky
8 The Enemy
9 Raise Your Fist
 
10 Two Dimensional Sky
11 Metalrider
 
12 Die Young
 
13 Too Young And Vane
14 Time To Die
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