スターが一堂に会したヒップホップの祭典

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スターが一堂に会したヒップホップの祭典

このショウのトリを務めた3人組De La Soulの気取らない性質は、彼らがこの数年間の音楽業界において最も革新的で芸術面でも一貫した(ヒップホップか他の路線か)グループであったという事実からは意外なほどのものである。

Maseoは大掛かりな演出もなしにRoselandのステージに登場し、オーディエンスとのふざけたやりとりをし、その後にはDe La同志のPosdnousとDave(元Trugoy The Dove)が現われた。

しかし、このようなメロウなムードは、古いTanya Gardnerのヒット「Heartbeat」を変形させた名曲「Buddy」が始まるやいなや、突発的なスピードで昂揚していったのである。

このようにして観客はDe Laの面面が11年間にわたって業界で培ってきたわかりやすいグルーヴをすぐに思い出したのだった。

そして、この夜の音楽旅行がスタートしたのである。

「Plug Tunin'」や「Pot Holes In My Lawn」における抽象的なヴォーカルのスタイルと技術レベルは、“こんなオールドスクールあがりの連中”の実体を知らない懐疑的な観客を驚かせたようだった。

だが「Me, Myself & I」「Itzsoweese」「Ring, Ring,Ring (Ha, Ha Hey)」といった過去、現在、未来のDe LaヒットとMaseoのソロ曲「YouDon't Wanna B.D.S.」を連ねたインパクトのある流れの後では、新たに転向した人々の熱気は最も忠実な昔からのファンと匹敵するほどになっていた。

De Laのセットはその日のショウのエネルギッシュな締めくくりであったが、グループのメンバーが一息つく際には当夜のDJを務めたBiz Markieが登場し、彼もまたヒップホップ業界の一角で地歩を築いたということを観客に印象づけた。

▲Common
続いて彼はリズムマシンの反復ビートに自身の人気シングル「Vapors」「Just A Friend」をミックスし、悪名高いニューヨーク市長Rudolph Guilianiに向けてフリースタイルの罵詈雑言を投げ付けたが、その結果セットは騒々しいくらい楽しいものとなった。これで再び活の入ったオーディエンスはさらなる演奏を要求し、De La Soulはいつでも準備万端のRedmanを呼び出した。

彼のアシストを得て新アルバムからの第1弾シングル「Oooh」を披露した後は、素早く「Stakes Is High」を演奏して自分たちのパートを終わらせたのであった。

Commonの最新作『Like Water For Chocolate』はプレシャスメタル(ゴールドを獲得してプラチナに向かっている)のステータスを達成し、彼の苦闘時代はついに報われたと言えるだろう。だが彼はハードワークを休むことなく、その努力ぶりは多くのファンからも大きく評価されている。

ファンの中には彼のことを60年代を蘇らせた“ブラックプライド”(「1-9-9-9」や「6th Sense」といった彼の作品に代表されるような)見なす人々もいれば、腹の底から魂を揺さぶる70年代R&B(彼の「Invocation」に示されているように)をリヴァイヴァルさせた存在と信じる人々もおり、また80年代ヒップホップ(彼が「I Used To Love H.E.R.」で証明したように)の若き継承者にほかならないと考える人々もいる。

こうした概念はCommonの持つ不思議な魅力の一部ではあるが、どれひとつとして本当に彼のことを捉えてはいない。

第一に彼は才能ある作詞家であり、Black Star(MosDef & Talib Kweli)などのアーティストに剃刀のように鋭いヴァースを提供しているのだ。この点は当夜の彼のセットにおけるハイライトのひとつであった「Respiration」でも証明されている。

▲Pharoahe Monch
Commonはまたリスペクトを受ける優れたMCでもあり、Erykah Baduをステージに招いて「The Light」のコーラスでスキャットのデュエットを聴かせても彼女に食われてしまう心配がないくらいの自信を持っているのだ。

この夜のオープニングを務めたのは、ヒップホップの主要レーベルとしての地位を急速に確立しつつあるRawkus Recordsが擁する2組の有力アーティスト、Talib Kweli/DJ Hi TekとPharoahe Monchであった。これらSpitkickers Tourのラインアップに並んだアーティストが一堂に会すれば、ヒップホップの世界では知性と娯楽が幸せに共存できることが明白なものとなるだろう。

by by Craig Rosen

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