常に変貌しつづけるJunkieXL、アグレッシブなパフォーマンスに潜む和の心

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ジャンキーにとっての“寿司”と“MP3”

日蘭交流400周年を記念して、2000年9月1日と3日に行われたライブイベントのために来日したJUNKIE XL。1998年のFUJI ROCK FESTIVALに参加して以来の来日であるが、前回より大変身を遂げた新生JUNKIE XLに直撃インタビューを行なった。


──ライブを拝見して、想像していたよりパフォーマンスがアグレッシブで、観客を煽りまくるスタイルだったので驚いたのですが、最初からこのようなパフォーマンススタイルだったのですか?

JUNKIE XL:
最初からというよりも、今僕がプレイしているのはダンスミュージックだから、結果的にあのプレイスタイルになっていっただけなんだ、でもプレイ中ずっとアグレッシブな訳ではなく、基本的に2~3時間位プレイするなかで、プレイする音に合せたパフォーマンスをしているんだ。実は昨日の昼にサッカーをやっていて、足首を痛めて病院に行く破目になったんだ、もっと自分でもダンスしたかったんだけど…大体ギグでの最初の1~2時間はゆっくりめのトリップホップからスタートしてからアッパー系のダンストラックに移っていくのが僕の現在のプレイスタイルなんだよ。昨日のようにネ! でも基本的に僕はアグレッシブな男ではないよ。

──ライブ中にエキサイトし過ぎて機材のコントロールをミスしたりなんてことは?

JUNKIE XL
機材の操作をミスったりすることは絶対にないけど、時々運悪く機材が壊れる時があるよ。

──映像も凄く効果的で、車、スーパーモデル、拳銃、戦闘機といったアイテムを中心として展開していきますが、これは何か共通のイメージがあってのものなのですか?

JUNKIE XL
特別なイメージというものは特にないよ、あの映像はアメリカのコマーシャル等からピックアップしたもので、特に銃に関していうとアメリカでは護身の為に銃の所持を認められているけど、現実にNRA(National Rifle Association)と同社会の間に様々な問題が起こっているよね。僕は銃の所持を反対する者としての役割を強く認識し、それを何らかの形で表現したかったんだ。アンチバイオレンスで、僕自身ポジティブでアグレッシブなダンスミュージックを創るという事の意味は、皆が僕の創った音楽で踊って悪いエナジーを飛ばしてくれれば良いし、それはダンスミュージックだけではなくロックや他の音楽にもいえることなんじゃないかな。

──今回のライブでは,アルバムと比較するとかなり変化した音になっていて、アレンジも含め音自体のスタイルが少し変わってきたような感じがしたのですが、最近JUNKIE XLの音楽性自体が変化しつつありますか?

JUNKIE XL: 
ああ。例えばもし僕がロックギタリストだったとしてもロックだけを何十年も続けるつもりは無いし、僕はプロデューサーとして、又ミュージシャンとして常に新しい場所へ移動しているんだ。僕の1stアルバムはどちらかというとよりロック色が強くて、2ndアルバムはよりダンス系のトラックになっていると思う。次の3rdアルバムについては、ほぼ完全なダンストラックアルバムになる予定だよ。なぜなら現在イギリス、ヨーロッパではクラブミュージックがとても盛り上がっていて、SASHAやJOHN DIGWEEDやDENNY HOWELLS、NICK WARREN、DAVE SEAMAN等のDJ、アーティストから多くのサポートを受けているんだ、だから現在はロックの要素も残しながらもダンストラックに流れていっているのは確かだね。常に新しい音楽に挑戦するということは、自分自身をフレッシュに保つということなんだよ。

──最近では2ステップなどヒップホップ、R&B、ハウス等の要素を持った音楽が増えている気がするんですけど、それらについてどう思いますか?

JUNKIE XL: 
最近は様様なジャンルをクロスオーバーし、個々に違ったスタイルを持った音楽が多くリリースされているんだけれど、それらは僕自身音楽を創る上でもとても興味をそそられるね。

──ところで、オランダという国はすごく自由な国というイメージがありますけど、そういったところからくる自由な発想があなたの下地となっているのでは?

JUNKIE XL: 
オランダは1400年代から既に他の国々と貿易をしていたので、昔からオープンな経済社会を持っているんだ。オランダという国はとても小さいので、色々な国からの文化が浸透しやすかったこともあって、多種多用の文化がうまく混ざり合って独自の文化を持った国になっていったんだと思う。アメリカには色々な人種が住んでいて色々な文化があるけれど、一つ一つの文化が孤立していてとてもそれが一つの文化となっているとは思えないね。オランダ人は違ったものを受け入れることに慣れていて、人は皆一人一人違う考えを持っているのが当たり前だと考えていて、お互いその考えを尊重し合っていることが素晴らしいと思う。実際に平和で不思議な国だよ。

──そんなあなたが日本人の観客の前でプレイする感想は?

JUNKIE XL: 
素晴らしいよ。他の国でプレイする時と一緒で、日本の観客も笑顔で迎えてくれて踊ってくれたよ。日本に来るのは今回二回目なんだけど、日本で体験することはヨーロッパ人の僕にとってすべてが新鮮だよ。日本人はとても親切で何処に行っても笑顔で暖かく迎えてくれるよ。

──1998年に初めてフジロックフェスティバルでプレイして以来、日本でも、とてもいい反響があり、多くの人がJANKIE XLに共感を持っていると思うんですけど、是非もっと日本にきてプレイしてはどうでしょうか

JUNKIE XL: 
前回のフジロックではバンドの一人としてプレイしたんだけど、今回は本当の意味でのJUNKIE XLライブなんだ、今回のライブはプロモーターも凄く気に入ってくれて、これからもっとたくさんのライブをセットアップしてくれるそうだよ。12月辺りにまた日本でライブを行う予定だよ。

──次に発売されるアルバムとシングルはどういったものになりそうです?

JUNKIE XL: 
今現在、動いているタイトルは2つあってひとつはMOLOKOのリミックスシングルと、もうひとつは自分自身のリミックスで6、7曲を収録したダブル12インチシングルでイギリスで11月にリリースする予定だよ、次のアルバムはダンストラックが中心でプログレッシブとテクノ、トリップホップ等の要素を含んだアルバムになる。まだミックス作業が残っているので日本ではいつになるか分からないけどイギリスでのリリースは2001年3月辺りになるんじゃないかな。

──話は唐突なのですが(笑)、あなたは魚をおろすことができるんですって? 本当ですか?

JUNKIE XL: 
98年に日本にきたとき初めて寿司を食べてとても気に入たんだ。そのとき寿司を造れるようになることが僕の人生の新しい目標なったんだ。そしてオランダに戻って一生懸命寿司の造り方を教えてくれる先生を探し回った結果、やっとアムステルダムで寿司の造り方を教えている先生を見つけて8回のレッスンを受けたんだよ。今では先生の様に上手くはないけど、わさびや醤油、海苔などを日本から取り寄せて、時々自分で作っているよ。

──それはすごい! で、音楽と料理を作ることの関係は?

JUNKIE XL: 
スープを作ることを例にたとえると、まずあまり多くの種類のものを入れず、幾つかの野菜を入れてだけのスープはシンプルだけど、それが以外においしかったりするよね。音楽も一緒で、基本的なリズムに幾つかの音を入れるだけでそれがいいものになってたりするんだ。逆に色々なものを入れすぎると、味そのものがグチャグチャになって、美味しくなくなっていくように、素材そのものの味、相性を理解して造っていかなければいいものは造れないと思う。良い料理人は味だけではなくその素材を調理する際に素材から出る音や匂い、自分の持っている感覚で調理するでしょう、音楽を造ることも一緒さ。

──では最後に、最近NapsterなどMP3に関する議論が活発ですが、インターネットと音楽という点で、アーティストとしての見解を聞かせてください。

JUNKIE XL:
あくまでも個人的な意見だけど、MP3は僕にとって脅威ではないよ。なぜなら僕自身MP3は凄く大きなプロモーションと考えているんだ、JUNKIE XLを知らない人達が、一番容易にJUNKIE XLの音楽に触れることがことができるのはMP3だからね。世界中の国で何処からでも、ネット上で僕の曲を聴いて気に入ってくれれば、僕のCDやレコードを買ってくれることにつながると思うんだ。そしてライブに足を運んでくれると、それほど良いプロモーションは無いんじゃないかな。Napsterがクローズダウンされるのは本当に不思議でしょうがないよ。

by K.O.D.A.

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