30年をもって、未だ現在進行形!

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30年をもって、未だ現在進行形!

1969年のデビュー以来、30年以上に渡って、ロック・シーンのトップ・グループとして活躍してきたシカゴ

2年ぶり9度目の来日公演だ。

メンバーは、ロバート・ラム(key,vo)、リー・ロックネイン(tp)、ジェイムズ・バンコウ(tb)、ウォルト・パラザイダー(sax)、ビル・チャンプリン(key,vo)、ジェイソン・シェフ(b,vo)、トリス・インボーデン(ds)、キース・ハウランド(g)という、ここ5年間不動の8人組だ。

コンサートは、最新ライヴ・アルバム『シカゴ26~ライヴ・イン・コンサート』と同様、'70年のセカンド・アルバムに収録されていた組曲「バレー・フォー・ア・ガール・イン・ブキャノン」からドラマティックにスタートした。さすがにそれぞれのメンバーたちの演奏力は高く、込み入った組曲も、安心して聴ける。このあたりはやはりキャリアと、コンスタントなライヴ活動のたまものなのだろう。

基本的な流れはライヴ・アルバムに近いものだったが、今回はもっとヴァラエティに富んだ内容になっており、特に「サタデイ・イン・ザ・パーク」「愛ある別れ」「朝日よ輝け」などといった、ライヴ盤には未収録の'70年代ヒット曲が多かったというのも印象的だった。

だが特筆すべきは、たとえ'70年代の曲を演っても、それが決してノスタルジーにとどまることなく、ちゃんと“2000年のシカゴ”としてパフォーマンスされていたということだ。昔の焼き直しではなく、しっかりと今の彼らのハートで演奏されているのだ。そして彼らが'70年代から発信し続けてきたメッセージは、まったく色あせない、普遍的なものだったのだということを、改めて実感した。

途中アコースティック・セットもあり、メンバーが入れ替わり立ち替わり登場し、アコースティックなサウンドを聴かせるという演出もニクいものだった(途中のブルース・ナンバーで、トリス・インボーデンが聴かせたブルース・ハープの腕前にもビックリ)。

それにしてもさすがにベテラン・ライヴ・バンドというか、ライヴ活動を地道に、そして確実にこなしてきたバンドだけあって、これといってハデな演出はないのだが、その演奏と楽曲の良さ、そして絶妙のアンサンブルで、観客をグイグイ引き込んでいくパフォーマンスはほんとうに素晴らしいと思う。

曲の構成やライヴ・アレンジのハマり方なども的確で、本当に楽しく、そしてエネルギッシュなステージだ。もちろんシカゴの大看板である3人のホーン・セクションによるアンサンブルのキレの良さ、そしてロバート・ラム、ビル・チャンプリン、ジェイソン・シェフという3人の強力ヴォーカリストのハーモニー・ワークなど、彼らならではの魅力も、十二分に発揮されていた。

そして個人的にそれ以上に嬉しかったのが、ロバート・ラム、ジェイムズ・バンコウというふたりのオリジナル・メンバーがとても元気だったこと。

数年前にライヴを観たときは、ビル・チャンプリンとジェイソン・シェフがバンドの中心になっているような印象も受けたのだが、今回はこのふたりの重鎮がしっかりとバンドをひっぱり、やっぱりシカゴは、ロバートとジェイムスのバンドなんだなぁ、ということを実感させてくれた。

'70年代の楽曲が多かったことや、特にロバートが歌にキーボードにと大活躍だったことなどからも、彼のシカゴに対する情熱の強さが感じられる。そして他のメンバーもそんな彼らを信頼し、プレイしているということが、そのステージから伝わってくるようだ。

30年間という長い時を経ても、彼らがこのように“現在進行形”のバンドでいられるのは、きっとそんなメンバー間の信頼感とチャレンジ精神のたまものなのだろう。いやぁ、オリジナル・メンバーたちも、まだまだ若いぜ。

そんな感動のコンサートは、「アイム・ア・マン」「素直になれなくて」の2大ヒット曲で幕を閉じ、アンコールは「自由になりたい」「長い夜」の“定番”2曲という至れり尽くせり。とても充実した2時間半だった。

客席には、40代から20代まで幅広い年齢層のファンが駆けつけ、広い東京国際フォーラムが満員となった。

シカゴのような上質の音楽を届けてくれるバンドがいて、それを楽しめるハートを持った幅広い層のファンがいるというのは、とてもステキなことだと思う。

日本の音楽状況も、まだまだ捨てたもんじゃないな、ということも実感したコンサートでもありました。

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