QUEENの故郷、ロンドンでツアー! コピーバンドとして誇りを持っての海外公演!

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LAUNCH_JAPAN:KWEENロンドン紀行

去る10月はじめ。暦の上ではもう秋真っ盛り。東京はまだTシャツでもよいくらいに生暖かい。

そんな中、世界に誇るQUEENトリビュート・バンド"KWEEN"の3度目のロンドン公演が行われた。
前回同様、ファンクラブ(QUEENでなくKWEENのがちゃんとあるのだ!)のツアーも一緒に組まれたのだが、実に過去最大の盛況ぶりをみせたのだ。
ここでは、そのツアー同行記を紹介しよう。

レポート●中島儀幸

フレディ江藤(Vo/左)とブライアン脇淵(G)

KWEENの情報が満載の
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●2000年10月6日(fri.)
成田に集合したのはメンバーとツアーに同行したファンクラブ会員11名。飛行機は11時間かけてヒースロー空港着。憧れのロンドンである。

……と、まずはKWEENのプロフィールを紹介しておこう。'80年、アメリカ留学中だった江藤洋平(Vo)がダラスでQUEENのライブを体験、触発されコピーバンドの結成を決意する。その後、'91年までバンド名を変えながら都内ライブハウスにて活動、同年11月のフレディ・マーキュリーの死をきっかけに本格的活動を開始する。その後、毎年11月に追悼ツアーを行ない、なんと'97年と'98年には本家の地元ロンドンにて公演、成功を収めているのだ。作品としては現在までにオリジナル盤を含め4枚のCDを発表している。江藤のほかに、メンバーは脇淵健二(G)、降旗俊彰(B)、紀平延久(Dr)、栗林 裕(Key)の計5名だ。

さて、空港から添乗員のサービスもあって、故フレディ・マーキュリーの邸宅を廻り、パディントンにあるホテルへ。ロビーで前乗りしていた江藤と落ち合い、まずはミーティング。江藤は、事前のミーティングや、取材などの対応のため2日ほど前に現地入りしていたのだ。この日はホテル着後、自由行動。ミーティング後、メンバー一同はホテルそばのインド料理店にて食事。会場となるRoad Houseは二度目といいながら、状況がつかめず一抹の不安を抱える江藤と、時差ぼけのメンバー4人。明日は早くも本番が待っているのだが…。


●2000年10月7日(sat.)
コベント・ガーデンのRoad Houseという(ライヴハウスというよりは、生音でそれぞれが楽しく踊るような)クラブにてギグ。天気はあいにく雨。昼間、江藤は雑誌"Loaded"の取材を受ける。残りのメンバーはコーディネーターとともに器材の確認。この時点で、KWEENの出番は午後11時からとアナウンスされた。

雨は夜になって弱まりを見せたが、週末のRoad Houseは出会いを求めに来る若い男女で超満員! イヤイヤ、よく見ればダンスを楽しむお年を召したアベックの姿もちらほら…。とにかく幅広い層にわたって集まっているのが嬉しい。

この日のメインアクトのSoniaは、ナント、2週程前にスパイス・ガールズを押さえて全英チャートNo.1に輝いた人気者! 人もいっぱい、盛り上がりもいい具合…と、お膳立ては整ったが、ここに来てアクシデントが起こってしまった。キーボードのミキサーが効かない。焦りつつも、予備のミキサーを準備し、何とか回避。予定を30分ほど押してKWEENのステ-ジは始まった。

…と、ともにいきなりの怒濤が起こった。何とステ-ジ前に詰めていた満員の客が一斉に歌い出したのだ。メニューは「Tie Your Mother Down」から「Under Pressure」、「Somebody To Love」などおなじみのヒット曲を中心に構成。このバンドは先にも記したようにQUEENコピーバンド、しかもアレンジなしの完コピ・バンドである。これが純粋に観客に受け、評価されている…と言っていいのだろう。

まずはバンドの華・ギタリスト、ブライアン脇淵。彼の使用するピックはもちろん6ペンスコイン(そう、ブライアン・メイが使っていたのです)。が、このコインはもはや英国でも使用されていないため、脇淵は古銭屋で集めているという。そしてもうひとつのバンドの華であり、KWEENが突出しているわけが、フレディ江藤の3オクターブ半をカバーする圧倒的なヴォーカル力だ。これに加えてウィットに満ちたMC。すべて英語で話すのだ。「Hello! LONDON」から始まり、翌日の公演告知(メインアクトだからね!)まで、ロンドンっ子のハートをワシ掴みにする。ベーシスト、ジョン降旗はもともとドラマーであったが、このバンド参加のためベースにスイッチしたという経緯をもつ。ロジャー紀平はQUEENのドラムス、ロジャー・テイラーに憧れてドラムを始めた生粋のQUEENファン。端正なルックスで女性ファンも多い。この4人に、サポートキーボード・スパイク役としてスパイク栗林が参加している5人編成。ちなみに現在までの9年間に演奏されたQUEENの楽曲は90曲にも及ぶというからスゴイ…。

完全にライブハウスと化したフロアーはステージ後半の「Crazy Little Things Called Love」あたりから、さらなる盛り上がりをみせ「Bohemian Rhapsody」「Radio GA GA」「We Will Rock You」「We Are The Champions」という下りは鳥肌ものの迫力! 翌日の成功が垣間見えた瞬間でもあった。

●2000年10月8日(sun.)
カムデン・タウンのUNDERWORLDという地下のライブハウスにてギグ。天気は見事に晴。会場は、日本で3年ほど前よりホームグラウンドにしている渋谷LA.MAMAに似た造りでありムードも何となく日本のものと似ている。が、二周りほど大きいライブハウス。ロックシティ、カムデンの駅前という最高のロケーションと、1FにあるWORLD'S ENDというバーはロック・ミュージシャンのタムろする有名な店ということで、メンバーの緊張感も高まる。

7:30pm過ぎ、オープニングアクトが終わりSEの「Party」が鳴りKWEENのステージがスタート。ステージ前のダンスフロアに降りてくるたくさんの観客達。さすが地元。ビートルズに次ぐ人気を誇るQUEENなだけにみんな1曲目から大合唱だ。かつてブライアン・メイに認められたというKWEENであっても日本公演よりもプレッシャーがかかるのは当然。しかし、そのステージは暖かく迎えられた。4曲を演奏した後、MC。「Hello! Camden. We are "KWEEN" from Japan!」。途端に沸き起こる大歓声に、メンバーもやっとリラックス。江藤は立ち位置を移動し、ピアノに向かう。「Somebody To Love」だ。会場はゆっくりと揺れる。ライターをかざす者もいる。その後は演奏を楽しむ姿に変わっていった。「Now I'm Here」のギターソロ後、衣装替えし、白いレオタ-ドに身を包む。そんな江藤に一段と歓声が起こる。KWEENは本家の持つショウじみたステージを大切にしている。バトンのようなショートマイクスタンドを手に颯爽とステージを舞い、観客との掛け合いやアコースティックギターを持つその姿、脇淵のブライアン独特のアクションや各メンバーのコーラスワークなど、かつてのQUEENが蘇ったかのようだ。

客席の中に日本人の姿も見える。400人を越える観客の中で1~2割だが、日本から海を渡ってきた祖国のバンドの雄姿を拝まんと応援に来たのだろう。これは充分に誇れる!

後半、「この曲をもっとも尊敬する故フレディ・マーキュリーに捧げます」と「The Show Must Go On」を演奏。この頃から、KWEENはQUEENのコピーバンドというキャッチから離れ独自のテンションでライヴを展開していったかのようだった。もちろんQUEENのそれに沿ったものではあるのだが。そして「Bohemian Rhpsody」ではそのプログレッシブな展開を活かしたステージアクトに大喝采。ライヴ一番の盛り上がりを見せた。

本編終了後、もちろんアンコールの声。ユニオンジャックの旗を翻し「We Will Rock You」、そしてラストはご存じ「We Are The Champions」。気がつくと、オープニングアクトを務めてくれたバンドや、PAのエンジニアまで歌っていた。演奏終了後、SEの「God Save The Queen」が流れ、メンバーはカーテンコール。興奮してスティックやタンバリンまで投げる紀平。客席に手を出すとなかなか離してはもらえない。ライヴの余韻に浸り、なかなか会場を離れない観客達に、次々楽屋を訪れる関係者達。日本が誇る世界に通用するトリビュートバンドは本物だった。ロンドンが認めた一夜だったのだ。

● 2000年10月9日(mon.)
ピカデリー・サーカスにて打ち上げパーティ。この日も雨。中華料理店にてメンバーを囲んでの食事会。もともとサ-ビス精神旺盛なメンバー、記念撮影会やグッズプレゼントなどでひとしきり盛り上がる。

● 2000年10月10日(tue.)
午後2時過ぎ、ホテルロビー集合後、ヒースローからロンドン発。実はKWEENは来年のフレディ10周忌に当たるトリビュート・ライブツアーをもってその活動を閉じる。理由としては、メンバーの物理的な問題という現実が大きくその活動上に降り掛かってきたからである。CMソングの起用やインターネット間交流でも、いまだにその人気が衰えないQUEEN。しかしオリジナルQUEENのステ-ジを見ることはもはや不可能である。だがいつかまたこの5人が同じステ-ジ上で演奏することは夢ではないことを約束してくれた。"The Show Must Go On"。いつかまたきっと…。



SET LIST
8 OCTOBER,2000
@UNDERWORLD


SE.Party
1. Party
2. Tie Your Mother Down
3. Under Pressure
4. Another One Bites The Dust
5. Somebody To Love
6. Good Old Fashoned Lover Boy
7. Wedley
~Killer Queen
~Keep Yourself Alive
8. Now I'm Here
9. Stone Cold Crazy
10. Love Of My Life
11. '39
12. Let Me Live
13. I Want To Break Free
14. I Was Born To Love You
15. Crazy Little Things Called Love
16. I Want It All
17. The Show Must Go On
18. Bohemian Rhapsody
19. Hammer To Fall

<encore>
1. We Will Rock You
2. We Are The Champions
SE. God Save The Queen

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