彼の最高傑作、あるいはロックの名盤として…

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彼の最高傑作、あるいはロックの名盤として…

『ALL THINGS MUST PASS ~ NEW CENTURY EDITION ~』リリース!



『ALL THINGS MUST PASS ~ NEW CENTURY EDITION ~』
2001年1月24日発売
東芝EMI TOCP65547~48 3,670(Tax in)

1. アイド・ハブ・ユー・エニタイム
2. マイ・スイート・ロード
3. ワー・ワー
4. イズント・イット・ア・ピティー
5. 美しき人生
6. イフ・ノット・フォー・ユー
7. ビハインド・ザット・ロックド・ドア
8. レット・イット・ダウン
9. ラン・オブ・ザ・ミル
10. アイ・リヴ・フォー・ユー(未発表曲)
11. ビウェア・オブ・ダークネス(未発表ヴァージョン曲)
12. レット・イット・ダウン(未発表ヴァージョン曲)
13. 美しき人生(インストゥルメンタル)
14. マイ・スウィート・ロード(ニュー・センチュリー・ヴァージョン)
15. ビウェア・オブ・ダークネス
16. アップル・スクラッフス
17. バラード・オブ・サー・フランキー・クリスプ
18. アウェイティング・オン・ユー・オール
19. オール・シングス・マスト・パス
20. アイ・ディッグ・ラヴ
21. アート・オブ・ダイイング
22. イズント・イット・ア・ピティー(ヴァージョン2)
23. ヒア・ミー・ロード
24. ジョニーの誕生日
25. プラッグ・ミー・イン
26. アイ・リメンバー・ザ・ジープ
27. サンクス・フォー・ザ・ペッパロニ
28. アウト・オブ・ザ・ブルー


伝記本『アンソロジー』やベストアルバム『1』などのビートルズのミレニアム・プロジェクトの余韻が残る中、今度はジョージ・ハリスンのソロ作『オール・シングス・マスト・パス ニュー・センチュリー・エディション』の登場である。

ジョージの実質的なソロ第一弾となるこのアルバムのリリースは'70年11月(日本では翌年2月)。

'70年といえば、4月のポールによるビートルズ解散発表やアルバム『レット・イット・ビー』のリリースによって、世界中の音楽シーンはビートルズに関するネガティヴな話題で持ちきりだった年であるが、『オール・シングス・マスト・パス』は、そのビートルズ解散イヤーを締めくくる形でリリースされている。

セールス的にも大成功を収め、全英全米ともに第1位。シングルカットの「マイ・スウィート・ロード」(ここのロードとはROADではなくLORD。つまり神の意)も同じく米英で1位を獲っている。

この年、ビートルズの各メンバーは相次いでソロ作をリリースし、話題を呼んだが、結果的にこのアルバムが最も売れたため、当時は「最も得したビートル」と言われたほどだった。

ビートルズ時代のジョージは、レノンマッカートニーの両巨頭の陰に隠れ、常に第三の存在であった。そのため、ビートルズのアルバムで発表する曲数も限られ、解散直前のシングル「サムシング」まで、彼の作曲能力もあまり注目されることはなかった。

ここに収められているほとんどは、その間に書きためられた曲だという。

まるで掃き出すように当時としては異例の3枚組。豪華なボックス仕様でリリースされた。参加アーティストもまた豪華。リンゴ・スターエリック・クラプトンなどその後のソロに欠かせない友人がプレイし、プロデュースはフィル・スペクターが務めている。

彼の繊細なメロディラインとヴォーカルをバックが巧みに引き立て、独特のポップセンスを表現している。高いクオリティは、今でも彼の最高傑作、あるいはロックの名盤としてシーンに君臨している。

デジタル・リマスタリング、ニュー・ジャケット、未発表曲など話題満載の30周年記念エディションであるが、やはり新レコーディングされた「マイ・スウィート・ロード」に感動する。

単なる1曲に過ぎないが、ここには10年以上ブランクのあるジョージの、新たな音楽活動再開への気概を感じさせ、単なるリイシュー・プロジェクトで終わらない可能性を感じさせる。

ファンは何よりもそこが嬉しい。

文●竹中吉人

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