良質な音楽やアーティストを常に輩出し続けるDJ

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Gilles Makes Revolution, 2001!

 


2000年に創立10周年を迎えたUKで最も重要なレーベル“Talkin' Loud”。アシッド・ジャズ、クラブ・ジャズといったタームで当初語られていたこのレーベルが、この10年間にクラブ・シーンと共に変化を遂げつつも、常にクオリティの高いアーティストや楽曲を輩出したことは驚愕に値する。 そしてレーベル・オーナー、Gilles Petersonのセレクト・センス、DJとして紹介するスタイルやアーティストの数々がUKクラブ・シーンを形成してきたと言っても過言ではない。そんなGillesと同じアティテュードで活動を行なってきたUnited Future Organization(以下、U.F.O.)も活動を開始してから10周年を迎えたということで、2組のジョイントDJツアーが日本で行なわれた。

今回取材した会場は新宿リキッドルーム。平日火曜日の夜中だというのにフロアはギッシリ埋まり、コアな音楽好きが新宿に集結した。

Gilles Peterson
ここ2、3年のGillesは、レーベルの活発なリリースに呼応するかのよう に精力的にコンパイル・DJ MIXを行なった。最近リリースしたトップDJによるDJ MIXが楽しめるシリーズ「INCredible」では、'60~'70年代のソウル、ジャズからヒップホップまで、あらゆるジャンルの名曲が詰め込まれている。また本国イギリスのBBCラジオ1では「World Wide」というプログラムでDJを行なっており、2000年には同番組のタイトルが冠されたコンピレーションもリリースされている。新旧、メジャー・マイナーを問わないコンパイルは、「World Wide」を聴くことのできない日本のファンにとってGillesのDJセレクトを体験できる貴重な音源となった。

今回の来日のDJプレイもこの2つの流れを感じさせるもので、前半が「INCredible」モード、後半が「World Wide」的な展開だった。最近、クラブ・ミュージック界ではテクノ、ハウスといったジャンルがさらに細分化され、よりコアになる一方である。しかし、GillesのDJはそんな状況を軽々と飛び越えて、音楽の本質やビートの本質をプレゼンテーションするかのように、Stevie Wonder、Nuyorican Soul、JAZZANOVA、Public Enemy等などを流していた。そんな予想もつかないつなぎだったが選曲は大納得で、フロアも常に大盛り上がりでGillesに応えていた。

若野桂氏のペインティング
またDJブースのちょうど反対側で人気イラストレーターの若野桂氏に よるライヴ・ペインティングが行なわれており、DJと呼応するように書き上げられていくグラフィックにも観客の視線が注がれていたことも付け 加えておく。

2001年以降も注目されるであろう“Talkin' Loud”とGilles Peterson。今回のDJツアーを体験し、良質な音楽の紹介者と良質な音を楽しむリスナーの良質な関係を再確認できたことで、UKクラブ・シーンの今後に、さらなる期待を膨らますこととなった。

   

文●鈴木貴歩

 

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