日本のヒップ・ホップ・シーンをますます面白くするNitro

ツイート
~

日本のヒップ・ホップ・シーンをますます面白くするNitro

計算してないルーズさやまるで無計画かのアバウトさが生む魅力

最新ALBUM

『Nitro Microphone Underground』

DEF JAM JAPAN UICJ-1001
3,058(tax in)
2000年12月27日発売

1 NITRO MICHROPHONE UNDERGROUND
2BAMBU
3MISCHIEF
43 ON THREE(三銃SH T)
5PYRAMID
6ASAMA131
7S.K.I.T.
8REQUIEM
9トナリのお姉さんが
10JUS’PLAYIN’
11INFINITY
12HARDCORE
13UNSTOPPABLE(LIVE AT 江戸城ホール)
14ピコピコボン
15クチずさんでごらんよ
16NICE DREAM
17ボクも
18SKIT
1945 FINGAZ OF DEATH
20さきちょだけですけれでも
21LIVE’99
22T.B.C




「Nitro Microphone Underground」の秘蔵PVが到着しました!
2001年4月20日。

早いもので21世紀ももう4ヶ月が過ぎ、GWが迫ったこの日、ついにNitro Microphone Underground(以下Nitro)のジャパン・ツアー最終日が渋谷Club Quattroにて行なわれた。

<ついに>という言葉が似合うまでになった8人…Bigzam、Dabo、Deli、Gore-Tex、Macka-Chin、Suiken、Sword、XBSを見ようと開場前から長蛇の列が出来ていた。

ただ普段のライブとはどこか客層が違うのである。ヒップホップのライブというと、お決まりのようにルーズなスタイルを基調としたファンが大群で押し寄せるイメージが強いが、このNitroのファンはどうも違う。そんなこの会場には、ニューヨークのウェアを着こなす人やいかにもヒップホップ大好きという人よりは、どちらかとういとNitroのようにスポーティーであったり、裏原宿系な人までいる。メンバー自体がスニーカー好きをアピールし、気張らないスポーティーなウェアを着こなすためか、客層もまた彼ららしい。また女性のファンが多いことも目をひいた。

開場後、まずはNitroに馴染みのあるDJ Safariのプレイ。それに続いて、Nitroのアルバムにも参加しているDJ Muneo 45がプレイし、会場の空気が時間とともに緊張感に溢れていく。ちなみにこの日は衛星放送での生放送や渋谷にて大型モニター車による生中継が行なわれた。ヒップホップ層だけでなく多方面でのNitroの注目度の高さを見せつけられた思いだ。

開演予定から遅れること40分、やっとバックDJであるDJ HazimeとDJ Missieが現れる。この時点で長い間、焦らされたフロアは既にヒート・アップし、それまで後ろの方に構えていたファンは先を急いで最前列へ向かい、一瞬にしてステージ付近は満員電車のように溢れかえっていった。

ついにNitroがステージに登場。ただ彼らは気負いもせず、いつものように淡々とステージへ。彼らが今まで数多くの場数を踏み、経験と自信があるからこその平常的登場である。

まずはアルバム1曲目に収録された「Nitro Microphone Underground」で幕は開けた。Nitroの8MCが一同に会する曲であり、顔見せ的にも登場に相応しく、熱いフックにファンは一瞬にして我を忘れ、瞬時にして狂喜乱舞。しかもヒップホップのライブではかなり異例なダイブまでがまき起こる。その現象は、形こそ違うもののまるでカミナリのように大きなカリスマを感じずにはいられなかった。

今回のライブはアルバムを中心に披露したが、途中にはDeliやSuikenなどがソロ曲を披露。元々メンバー全員がソロとしてマイクを握っていたこともあり、多くの掛け合い曲でもグループとして意識することは少ない。ショウはMCを挟むことなくテンポよく進んでいく。中盤「Asama131」の時にはA-Killa(Nitroのメンバーとして認知は薄いかもしれない)率いるRampageがステージに上がり、普段のライブではなかなか見れないダンスとの絡みを披露した。

後半に突入してもMCらしいMCはなく進んでいった。

Nitroの人気の一つはその計算してないルーズさやまるで無計画かのアバウトさではないだろうか。個人的には誰がMCをするのかも気になっていたのだが、結局最後の1曲という時にMacka-Chinが仕切って軽くMCをしただけであった。そして最後、8MC全員でマイクを握る「45 Fingaz Of Death」で閉め、結局Nitroの8MCが一同に会する曲は初めと終わりの2曲のみだった。約1時間半、19曲のステージであったが、とても充実した内容の濃いステージとなった。

かつての日本のヒップ・ホップ・シーンは若手が出にくい状況だったが、Nitroが一瞬にしてその壁を越えた。今となってはSuikenやDABOもソロとして注目が集まり、これからのヒップホップをリードする存在となるだろう。

彼らの活動は今後の日本のヒップ・ホップ・シーンをますます面白くする。

文●桜井克彦


about Nitro Microphone Underground

Nitro Microphone Underground(以下Nitro)は、Bigzam、DABO、Deli、Gore-Tex、Macka-Chin、Suiken、S-Word、XBSの8MCからなる集合体。

元々ソロとして各自がマイクを握っていたが、普段から“つるみ”の延長としてライヴや作品に一緒に参加することが多く、Nitroが結成されたのは必然的だったと言えるだろう。特に日本語ラップシーンで第二世代と呼ばれたDABO、Gore-Tex、Macka-Chin、Suikenの4人は、'97年作Shakkazombie「共に行こう(Version Pure)」で早くも揃って客演している。

他にもこの頃から各人が次第に多くの客演をこなし、SuikenやGore-Texはソロ作をリリースするなど盛んに活動していく。

S-Wordは、MuroやBooなどのK.O.D.P周辺の客演をこなし確実にプロップを集め、XBSは'99年作Shakkazombie「64 Bars Relay」にSuikenと共に参加、ラップを初お披露目した。

.

DeliはNitro結成以前に作品はないが後、一番多くソロ作をリリースしている。BigzamもP.H.の作品に参加するなどこれからの活躍に期待大。

現在SuikenとDADOがソロ・アーティストとしてメジャー契約を結んでいるが、今後全員がソロ作をメジャーからリリースする可能性もあるだろう。それほど彼らのポテンシャルと人気は高い。

Wu-Tang Clanを引き合いに出されることが多い彼らだが、その共通点は“多人数”“各MCの役割分担やキャラ立ちが明確”という二点ではないだろうか。ただ現時点で、キャラ立ちのすみ分けはまだはっきりしているとは言えないだろう。

しかし、彼らの“ルーズさ加減”や“作られてない感じ”などの色は既につき始めているのは確か。その独特な雰囲気は唯一無二であって決して真似できるものではなく、彼らの活動がこれからの世代に大きな影響を与えるだろう。

この記事をツイート

この記事の関連情報