荒々しさの中に介在する夢のようなファンタジー

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新作『Rock Action』を引っさげて、轟音ギター・サウンド炸裂!
観客を幻想の異空間に引き込むようなMOGWAI・サウンドとは…。


荒々しさの中に介在する夢のようなファンタジー


MOGWA JAPAN TOUR 4月25日@赤坂BRITZ

1 Mogwai Fear Satan
2.Stanley Kubrick
3.You Don't Know Jesus
4.Cody
5.Xmas Steps
6 Helicon 1
7.Helicon 2
8.Ithica
9.Secret Pint
10.Two Rights Makes One Wrong

<アンコール>
11. My Father My King


来日最新インタビューの様子はこちら
2000年のフジ・ロック・フェスティバル2日目、大自然の中で怒涛なステージを繰り広げ、見事にトリを飾ったMOGWAI

今回はギター・ノイズを抑えめにし、少し違った角度からのアプローチをみせてきた新作『Rock Action』を引っさげての来日だ。新作の収録曲はもちろん、彼らが繰り広げるステージの最大の魅力である“独特な響きを放つ轟音サウンド”を期待して会場へと向かった。

メンバーがステージにあがり少しづつライトが照らされていくと 、ステージ上に散りばめられた、たくさんのミラーボールに反射されて光が跳ね返り、会場中に光線が飛び散る。

それと同時にディストーションの効いたギター・サウンドが会場中に響く。次第に高鳴る音は、身体に染み込んでくるような強さと響きがあり、まるで“時”を止めてしまうような圧倒的な迫力だ。神秘的な光と音によって麻酔にかけられたような不思議な空気が、一瞬のうちに我々の身体を覆い、幻想の異空間へトリップしたようだった。

1曲目の「MOGWAI FEAR SATAN」は、そんな轟音ギターと共に幕をあけ、波打つように反復するリズムがじわじわと観客の身体にすり込まれていく。そしてどこからともなく浮き上がってくるきれいなメロディとフルートの美しい音色。それは大自然の壮大な空気を運ぶとともにオーディエンスをリラックスさせるような魔法の音だ。

そんな中、頭を坊主にしたStuartがまんな瞳で「はじめまして」と日本語で挨拶。とてもやんちゃな彼は、キラキラ照らされたこの空間をとても気に入ったようだった。


▲stuart
前半は、新作の収録曲であるディストーション・ギターが荒々しく吹き荒れる「You Don't Know Jesus」が3曲目で演奏される以外は前作までの曲を中心に展開。なかでも一斉に、歓声があがったのは前作『come on die young』の収録曲「XMAS STEPS」。この曲はイントロの静かなギター・ソロから始まり、中盤で一気に盛り上がる。インストゥルメンタル・ミュージックなのだが、ギター音がまるでヴォーカルのような説得力をもち、パンチが効いている。

また、初期の作品である「Helicon 1」「Helicon 2」をその後、立て続けに演奏し、激しく波打つようなサウンドを披露。

ラストは新作から2曲。 ゆったりとしたリズムにStuartのヴォーカルが入った「Secret Pint」。そしてラストに「2 Rights Makes 1 Wrong」だ。 ステージ右奥に用意された機材ブースから、ハッピーかつポップなトラックが鳴り始める。自然できれいなメロディを奏でるギター・サウンドとエレクトロ音の見事な融合。ドラマティックかつ未来の音楽を確かに感じとれる締めくくりだった。

そして アンコールでは「My Father My King」を10分以上にわたり豪快な演奏を聴かせる。最後はメンバーが次々と去っていき、残ったのはギタリストのJohnのみ。最後は彼の一人舞台。エフェクターの音をガンガン鳴らす姿、それは終わらないMOGWAIサウンド=響きの証だった。

今回のライヴは期待を裏切らない彼ららしい真摯なギター・サウンドが聴けた。それと同時にあくまでも自然な流れでエレクトロ音をライヴに取り入れた姿勢が印象的だった。

MOGWAIが奏でるサウンドは、まさに荒々しさの中に介在する夢のようなファンタジーを生み出している。建物に囲まれて暮らす我々にとって、極めてピュアなそしてナチュラルなエネルギーをもらったライヴだった。

文●イトウトモコ
 

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