アーティストとして、俳優としてメインストリートを目指すUsher

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アーティストとして、俳優としてメインストリートを目指すUsher
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「Madonnaは常に変化し、進化し続けている。俺はちょうど男版Madonnaってとこ」

最新 Album

8701
BMGファンハウス BVCA-21077
2001年8月8日発売 2,548(tax in)

1 Intro-lude 8701
2 U Remind Me
3 I Don't Know
4 Twork It Out
5 U Got It Bad
6 Pop Ya Collar
7 If I Want To
8 I Can't Let U Go
9 U Don't Have To Call
10 Without U
11 Can U Help Me
12 How Do I Say
13 Hottest Thing
14 Good Ol'Ghetto
15 U-Turn
16 T.T.P.
17 Separated
18 U Remind Me(KC's Smooth Remix featuring Chemistry...A CHEMISTRY JOINT 001)


マンハッタンのミッドタウンにあるホテルの部屋、潰れたヴェルヴェットの椅子にもたれかかるように腰掛けたUsherは、またひとつM&Mを口に放り込んで、こっそりと私に耳打ちした。「この世にUsherはひとりしかいないんだよ」。これだけ聞くと少し傲慢に聞こえるかもしれない。しかしこの言葉は、現在人気急上昇中の歌って踊れるR&B界のニュープリンス、Sisqoについての私の質問に対する極めて真っ当な答えなのである。いったいUsherは、このボルティモア生まれの男にまんまと出し抜かれたとは思っていないのだろうか? まるで私と同じくらい自分自身をも納得させようとするかのように、彼はその言葉を繰り返した。「この世にUsherはひとりしかいないんだ

実際のところ、あらゆるメディアに受け入れられている今日のR&B界には、両者ともに――さらにGinuwineにも――地位を確保するだけの余地は十分にある。だが、2ndアルバム『My Way』が飛躍的な成功を収めたことにより、世の男性R&Bシンガーたちにマルチプラチナム・セールスの可能性や、TV/映画界(『Moesha』『The Faculty』『Light It Up』『She's All That』)への進出の可能性を与えたのは、他ならぬUsherなのだ。以前はIce CubeWill Smithのような男性ラッパーか、さもなくばBrandyAaliyahのような女性R&Bシンガーたちにしかたどり着くことのできなかった道筋である。事実、今では、R&Bで本当に成功したと評価されるためには、俳優としていくつか傑出した経歴を持つことが必須だとさえ言われている。

だが、今日のUsherにとって俳優業は二の次である。彼がこの街にやって来たのは、新作映画ではなくニューアルバム『8701』をプロモートするためなのだ。その服装が彼の真の職業をはっきりと物語っている。真新しいナイキのシューズに革のバギーパンツ(右足の高い位置にはWu-Tangのバンダナが巻かれている)、身体にぴったりフィットしたタンクトップ、そして黒のスカルキャップ。アクセサリーはむき出しの右ふくらはぎに施された計算ずくのタトゥーと、極度に目を引く派手な宝石類の数々。そこに鍛え上げられたLLジュニア風肉体(水泳とウェイトリフティングによって築かれた)が加わるとなれば、そのヴィジュアルだけでUsherは既にダブルプラチナム・セールス獲得に値する。しかし、肝心の音楽は一体どうなのか?

前のアルバムに匹敵する曲を作るために頭を悩ますのは嫌だったんだ」。今回のアルバム作りで何かプレッシャーを感じたか、という質問に対して彼はこう答えた。

ただ自分が気持ち良くなれて、他の人も気に入るだろうと思える音楽を作ることだけを考えたかった。それに、JermaineDupri、Usherの前作を手掛けた張本人)や、She'kspere(アーティスト/ソングライター/元XscapeのメンバーであるKandi Burrussと“Pop Ya Collar”を共作)、Mike City(Carl Thomasの“I Wish”)、Soulshock & Karlin(Whitney Houstonの“Heartbreak Hotel”)、それからBabyface――こんなプロデューサー陣と一緒にやってて、上手くいかないわけないだろ? 前のアルバムと比べてもメチャクチャ進化してるよ。前回は自分で何かを決めるってことがあまりなかったけど、今は100%すべてに俺の意見が入っているんだ。俺自身がエグゼクティヴプロデューサーなのさ。今回は曲も書いているし、プロデュースもしてる。自分がやりたいことがはっきり分かってたからね

自分のサウンドを言葉でどう表現するか、という問いに、Usherは再び世界中を虜にする21歳の億万長者の自信をたっぷり匂わせながらこう答えた。「俺はラッパーでシンガーなんだぜ。キング・オブ・ヒップホップさ

彼の新作に収められた楽曲は、間違いなく多くの人々を魅了することになるだろう。例えば“Pop Ya Collar”では、機関銃のようなヒップホップ特有のビートと繊細なRhodesシンセサイザーの音色が、Usherのソウルフルでエネルギッシュなヴォーカルを引き立てている。Burrussによる歌詞は、頭の堅い人々に対して真っ向から自尊心と熱意を語ったものだ。この曲の風変わりなタイトルについて、彼はこう言っている。

語呂がいいってだけで、特に深い意味はないんだけどね。アトランタ(Usherとこの曲のソングライターたちの故郷)じゃ皆やってることさ。物を作る時のスタイルだよ。意味が分かる奴らにとっちゃ一種の痛烈な批判になってるかな。でも、俺自身は誰でもすんなり入っていけるような曲にしたつもりだ

同じくタイトルに目が引かれるのが、Dupriプロデュースによる“TTP”だ。これは「The Total Package(理想の恋人)の略」だとUsherは説明する。歌詞の内容から判断して、Usherは彼自身のTTPを見つけたと言っても良いものだろうか? それとも、彼にとって一番は常に音楽なのだろうか?

俺は恋愛関係で上手くやっていくのが難しい男なんだよ」とUsher。「音楽のことばかり考えてるからね。音楽が恋人みたいなもんだ。“今は話せねえよ、スタジオにいるんだ。今は話せねえよ、インタヴュー中だからな。今は話せねえよ、歌詞書いてる最中だから”ってな感じ。女にはキツいだろうな。一緒に過ごす時間が欲しいわけだし、そう願って当然なのにさ。このアルバムをレコーディングしてる間も、誰かと付き合ったり別れたりしてた。けど、今までもこれからも、俺にはいつだって音楽なのさ。周りに誰もいない時だって、音楽はそこにある。幸せな時も、悲しい時も。それが俺にとっての音楽だ。まるで魂のある人間そのもので、絶対に俺をがっかりさせたりなんかしないのさ

テネシー州チャタヌーガの教会で合唱隊の指導を務める母親に育てられた子供時代からずっと、音楽は人生で最も暗い時期にも常にUsher Raymondの側にあった。10代に入って間もなく、TVタレントオーディション番組『Star Search』で優勝した彼は、13歳でLaFace RecordsのトップであるL.A. ReidとBabyfaceに引き合わされ、14歳にしてPuff Daddyの全面プロデュースによるデビューアルバム『Usher』をリリースする。だが、この作品は商業的には失敗に終わり、Usherの10代の夢はもろくも崩れ去ってしまった。一時は彼の指導役を務めていたPuffyは突然、“忙しすぎて”彼の2ndアルバムに参加できなくなり、さらに悪いことに、思春期を迎えた彼の声は大きく変わりつつあった。将来を有望視されていたR&B界の大型新人は、突如として隣の可愛い男の子から、予測不能の声を持つ、ひょろ長く厄介な青年へと変わってしまったのである。過去に作品が失敗した経験があることは言うに及ばずであった。

一番辛かったのは、周りから見捨てられようとしているってことだった」。P. Diddy(Puff Daddy)の名前こそ出さなかったものの、Usherは自分の経験について暗い声でこう語った。「普通だったらもっと後になってから学ぶことを、俺はもっと若い時に学んだんだ。15歳の時にはすでに人間ってのがどんなもんかを知ってたよ。成功作がないと、周りはそいつのことを胡散臭い奴だと思い始める。俺なんか、自分が誰にも愛されてないって思った時期もあったくらいさ。自分の声を失って、人生どん底だったね

しかしその後、Jermaine DupriがPuffyの抜けた穴を埋めることとなり、『My Way』がリリースされる頃には、かつての愛らしい童顔の少年は、逞しくシャープな、押しも押されぬメガスターへと変身を遂げていた。そしてこの勢いから、当然、次のステップは映画俳優としてのキャリアだろうと思われた。この点についてUsherはこう述べる。「いろんな分野に手を広げたほうが、長い目で見ればより良いチャンスに恵まれると思うよ。だけど、あまりにも広げ過ぎてクオリティにまで気が回らずに、中身が薄くなってしまうようなことは避けないとね

UsherはWill SmithMadonnaを尊敬している。2人とも音楽と映画の仕事を両立させ、いずれの分野でもトップの座を保ち続けることに成功した、彼にとってはお手本のような人なのだ。「彼女は常に変化し、進化し続けている。俺みたいにね。俺はちょうど男版Madonnaってとこさ」。Ms. Ciccone-Ritchieについて、彼はこう語っている。それに対して私は、それは理屈としてはいい考えに思えるけど、実際には、メインストリームに足を踏み入れようと挑戦している黒人アーティストと、本質的にはなからメインストリームにいる白人アーティストとでは、当てはまる法則にかなり大きな差があるんじゃないか、と言い返してみた。

ああ、確かに黒人アーティストにとっては難しいよな。ある意味、古臭い奴だと思われるかもしれない。オーディエンスってのはそんなに心が広いわけじゃないからね。だからこそ俺は、そういったステレオタイプな考えのバリアをぶち破るようなやり方で、演技と歌を結び付けようとしてるのさ。ゲットーの小さい子供たちには、いろんな表現方法を持つってことが必要だし、Fred AstaireやSammy Davis Jr.なんかについても知らなきゃいけない。こういったものが深いルーツを持つアートだってことを知る必要があるんだ

Usherは、James Van Der Beek、Rachel Leigh Cook、Dylan McDermottらと共演した映画『Texas Rangers』での役柄(カウボーイ役)を通じて説いたことを、自ら実践しようとしているようだ。「ポップスターのUsherを見るために映画に来るなんてのは最悪だよ」と彼は警告する。「映画を観に来た人がキャラクターに感情移入できるようなのがいいね。黒人カウボーイという役柄については自分でも十分リサーチしたし、スピーチの練習もした。その時代の人たちの話し方をちゃんと出せるようにね」

とはいえ、当座の彼の目標はあくまでもR&Bの王座を取り戻すことにある。誤解しないでほしい。確かにUsherはハリウッド然としているかもしれないし、(ゲットーのデコボコに荒れ果てたストリートとは正反対の)ビロードのカーペットとプラチナアルバムがずらりと並んだLaFace Recordsの廊下で磨き上げられた男かもしれない。だが彼は、自分こそが本物であることを皆に分かってほしいのだ。

俺は今21歳だが、12歳の時からステージで歌っている」と彼は力を込める。「何も知らない新人なんかじゃない。たくさんのことを経験してきている。いつだって俺にとっての一番は音楽なんだ。死ぬまでヒップホップミュージシャンでいるつもりさ

By Jeff Lorez/LAUNCH.com

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