ダンスフロアに特化されたものを自分なりに追求

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ダンスフロアに特化されたものを自分なりに追求

ケンイシイ は紛れもなく、日本の文化が世界に肩を並べた新しい時代を象徴するアーティストである。

海外の名門インディペンデント・レーベルR&Sから突如デビューし、日本の音楽が超えることのできなかった高い壁を飄々と軽く飛び越えてみせた。それと同時に、日本の音楽シーンに新たなる可能性と希望を提示してくれた。ベッドルームでピュア・テクノと呼ばれるような音楽を作っていた青年は、突如スターへ駆け上がり、人々は彼を“テクノ・ゴッド”と祭り上げた。

その後、ケンイシイについて様々な意見が飛び交った。“メジャーに魂を売った”“もはや彼はアンダーグラウンドじゃない”など、新時代を駆け抜けるアーティストに旧態依然とした“出る杭は打たれる”的なバッシングがぶつけられた。
人に見せなければ、表現は完結しない」と以前彼は言っていたが、バッシングも過剰なまでの賞賛もそんな彼にとっては表現の一部なのかもしれない。

そしてケンイシイの別プロジェクトであるFLRの作品をまとめた『Easy Filters』は、そんなバッシングも笑いながら軽く吹き飛ばしてしまい、さらには聴くものの鬱憤すらぶっ飛ばしてくれるような爽快な気分に満ち溢れている。そしてそのエクスペリメンタルで人と違うものを求めるという彼のコアな姿勢は、初期から全く微塵の変化も見られない。そして何の気負いもなく自然体で走り続ける。

だから敢えてこう言おう、ケンイシイは大海を経験し、さらに逞しくなって帰ってきたのだ。

基本的にワン・アイディアで、ノリ一発っていうのが直感的なところ

FLR最新アルバム

『EASY FILTERS』

Sublime Records
IDCS-1006 2,550 (tax in)

1 INTRO
2 PART X
3 PART 1
4 PART 3
5 PART 8
6 PART 6
7 PART 4
8 PART 2
9 PART 9
10 PART 5
11 PART 7


FLR『Easy Filter X』の
リミックス・アナログ盤を
プレゼント!!!


インタビュー中の話題にもなった CD『Easy Fileters』初回盤についてきたRemix盤がアナログ化された『Easy Filter Part X』を1名様にプレゼント!!!
電気グルーヴでおなじみのKAGAMIや先日【FLRリリース・パーティ】にも登場したREBUS TAPE必聴です★★★

【リミキサー人紹介】

KAGAMI
おなじみ電気グルーヴのサポートメンバー、KAGAMI。'01年には自身のアルバム『Tokyo Disco CD』をリリースし、話題に。ホフディランやK-Sobajima等のリミックスも手がけ今後ますます期待大!

ACCESS58

フランス出身Philippe Quenumとポルトガル出身Paulo Nascimentoのユニット。ロンドンで多大な影響力を持つPacific Recordsから3枚のEPをリリース。その後もコンスタントに作品をリリースしている。

CHESTER BEATTY
'98年に第1弾『beatboxx ep』をDJ Shufflemasterと共作。これをきっかけに様々なレーベルから作品をリリース。2000年には自身のレーベルDISQも立ち上げ、ハードミニマルなダンストラックからファンク、ディスコ的要素をとりいれた楽曲は多くのトップDJがこぞってヘヴィ・プレイするなど信頼が高い。

YAMAOKA
北海道在住のYoshinori YamazakiとKenichi Okaによるユニット。現在までにドイツのレーベルを中心に20枚を越えるシングルを発表。リミックスなど多方面で活動中。

DJ ZANK
:
DJ ShufflemasterのレーベルHOUSEDUSTからデビュー。最近では新レーベルU7をスタートし、現場で威力を発揮するDJルーツ的な作品を次々とリリース。

REBUS TAPE
Shiro Nakajimaによるソロ・プロジェクト。FLRのリリースパーティにも登場した彼だが、現在はレーベルReel Musiqより2枚の12インチをリリースし、ドイツやアメリカのクラブ誌でも紹介された。

WALL5
世界中を飛び回り活躍するCo-Fusionのメンバーのひとり、Heigo Taniのソロ・プロジェクト。12月19日には、実に3年ぶりとなるCo-Fusionの2ndアルバム『Co-Fu2』がリリースされることが決定している。

応募締め切り日: 2001年11月15日(木)
応募方法 :
氏名・ 年齢・郵便番号・住所・お電話番号・メールアドレス・バークスの感想 のほか、ダンス・ミュージックで好きなアーティストを3人お訊かせください!
presentask@barks.co.jpまで

――“FLR”のコンセプトは?

FLR:
ケンイシイ・プロジェクトよりもダンスフロアに特化されたものを自分なりに追求したのがFLR。それこそ曲によってはDJが使える、ダンスフロアでお客さんが踊りやすいものに、自分なりのテイストを加えたもの。だから変に考えているというよりはダイレクトにフロアでお客さんが喜びそうな、もしくは自分が本当にDJ・セットで使えるものを自分自身で作りたいっていうのがあったかな。

――Easy FilterシリーズをまとめたCD『Easy Filters』の収録曲はリリース順ではなく、曲順が変えてあって、DJらしいというかMix CDっぽい印象を受けたのですが…。

FLR:
それぞれ12インチをリリースしてきたけど、それらの曲を作ってきたときは、本当にパーッと出てきたものを作っていた。それをまあ、最初はファンキーなものから始まって、途中ディスコっぽくなって、最後はハードに、10曲の中で70分くらいにまとめたのが、このCD。普段のDJセットではいろんな人の曲も織り交ぜながら、2、3時間の中でそういう流れを作るんだ。

――聴いてみて、"直感的"と"ディスコ"っていう言葉が即座に浮かんだのですが、その辺は意識されたんですか?

FLR:
"直感的"というのはまさにそうで、それがEasy Filterっていう名前の由来でもあるんだけど、簡単にというか、テイク・イット・イージーな感じ。DJミュージック本来がそうだと思うけど、そんなに緻密には作りこまなくて、基本的にワン・アイディアで、ノリ一発っていうのが直感的なところだと思うんだ。

"ディスコ"っていうのは、ディスコ・サンプルを使うってことだけじゃない。自分のDJプレイを聴いてもらえばわかると思うけど、どっちかっていうと曲調とかもハードじゃなくて明るいほうに向かっている。単純にマイナーコードとメジャーコードの違いでもあるんだけど、マイナーコードになって盛り上がるっていうよりは、明るい方向に向かっている曲調のものが多いんだ。そういうところは普段、自然にでる自分の気分というか、曲を作ってる時に自分が出たってことだと思う。


――初回限定盤についてくるRemix盤の人選は意表をつかれたというか、非常に興味深かったです。

FLR:
基本的には普段、自分のレコードバッグに入っているアーティストに依頼したんだ。自分にはいわゆる"ビッグネーム"みたいなものへのこだわりは全然なくて、それこそまだ面白いことをやっている人間がいるっていうことを自分は知ってるつもりなんだ。日本のテクノ・アンダーグラ ウンドの中では、まだカヴァーしきれていないと思うから、このアルバムに触れることで、本当のアンダーグラウンドっていうか、そこのアーティストを少しでも知ってもらいたいっていう気持ちはあった。

――メインストリーム的に見られることに対してアンチになってるという発言を最近のインタヴュー記事で見かけたのですが…。

FLR:
アンチというか自分がこうなりたいっていうレベルを多少越えてきてしまった部分が過去何年かあったんだ。どっちかっていうとアンチというより、自分の中でそれだけではいけないと思ったし、メインストリームってのも、自分の活動の中からついてきたもので、それを自分は楽しめるからやってるんだけど…。ある程度越えた部分だけを見ている人はもしかしたら初めから自分がやってることを知らないままである可能性はあるだろうね。

――'95年にリリースされたアルバム『Jelly Tones』以降、「ケンイシイさんは変わった」という人がいますが、その辺はご自身でどう思いますか?

FLR:
基本的に活動の中身が変わったというか、まわりの環境が変わったっていうのはある。もともとデビューはヨーロッパなんだけど、それから『Jelly Tones』までっていうのは基本的にアンダーグラウンドな感じで、そんなに忙しいってわけでもなかったし、それこそ自分の好きな時に好きなものを作ってれば良かったから。でも『Jelly Tones』以降、いきなりテリトリーも大きくなって、いろいろお呼びがかかったりとか、舞台が大きくなったりしたんだけど、(自分にとってそれは)まあ大きな世界も見たってくらいの話だと思う。それまである程度こもっていた人間が、いきなりいろいろ見れば、やっぱりそれは刺激も受けるし、単純に"見方が広くなった"っていう感じ。

それまでのものってのも好きなところもあるし、単純に引き出しが増えた。 今までやってきたスタイルっていうのは今でもいつでもできるし、それをやるのは自分が楽をしてしまっているような感じがするんだよね。(自分が)そういう性格でもあるんだけど、新しいものがあったらとりあえず試してみたい。それで良くなければやめればいい。ただ試してみなければわからない。その辺は猪木イズムというか、"行けばわかるさ"的なね(笑)。

今は何にも考えないで突っ走っている感じではあるんだ。音楽的な部分とか(について言えば)、常に全然違うジャンルのミュージシャンと一緒にやってみたいなとか、そういう方向性も凄く好きだし、そういうのは常に自分の中で当たり前になっている部分なんだ。自然にね。ヴィジュアルも普段から興味があって、仲のいい友達と一緒にいろいろ遊びでやったりもしているし、そういった意味でも今、自分のいろいろな部分の中で、自然にやりたいことをやってみようかなと。最近だとDJをやる機会がすごく多くて、肉体的にきついんだけど世界中のいろんな場所を廻るだけ廻ってみようと思っている。多分、そこからいろいろやっていく中で、いろんな場面があって変わっていく部分もあるだろうし。そういうきっかけをツアーとか通して見てみたいなっていう感じ。それが今の気分。

取材・文●門井隆盛


about ケンイシイ

日本テクノ界のパイオニア的存在。プロデューサー、リミキサー、DJなど幅広い活動をワールドワイドに展開し、世界に誇れる音を常に発信するアーティストの一人。

'93年、学生時代に制作したデモテープが採用され、ベルギーのテクノ界、最高峰レーベルR&Sより、シングル「Garden On The Palm」をリリース。その後、8月にはオランダのレイヴ・パーティ“ヘルレイザー”に招待され、2万人の前でヨーロッパ初ライヴを行なう。

同年10月にはホワイトレーベルよりリリースされた「Pneuma」と「Deep Sleep」のカップリング・シングル「RS92025(12×2)」が英『NME』誌のテクノ・チャートNo.1を獲得し、その名を世界に知らしめた。その後も精力的にシングルをリリースし、FLARE名義でも活動を始める。

'95年7月には、毎年ベルリンで行なわれる世界一のテクノの祭典“LOVE PARADE”オフィシャル・イベントでライヴ、8月にはR&Sよりフル・アルバム『JELLY TONES』をリリース。ヨーロッパのみならず、世界中にその存在をアピールした。

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また、'96年にリリースされたシングル「Extra」のビデオクリップ(映画「アキラ」の作画監督、森本晃司が監督を務めた作品)が英MTV DANCE VIDEO OF THE YEARを受賞し、そのキャラクターも人気を得る。

'97年にリリースされたシングル「Echo Exit」がコカ・コーラ春のテーマ・ソングに、シングル「Drummelter」がテレビ朝日系列で放映された自動車レースのテーマ曲に起用されるなど、日本のお茶の間にも身近な存在となり、'98年に行なわれた長野オリンピックでは、オフィシャル・オープニングテーマのインターナショナル版を作曲。世界70カ国以上でオンエアされ、話題を呼んだ。さらに、休むことなくDJとして世界中のパーティーに参加し、そしてコンスタントにアルバムを作りつづけている。

機械の進化にともない広がりをみせるテクノ・ミュージックだが、それゆえにコンポーザー自身の音楽センスが重要になることは言うまでもない。Ken Ishiiの創り出す新たなサウンドは今後、世界の音楽シーンにさらなる影響を与えていくだろう。

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