Syrup16g、レコ発ライヴ・レヴュー!

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11月5日、CLUB Queにて行われたSyrup16gの1stアルバムの発売記念ライヴは、チケットSOLD OUT。夜半、雨になるでしょう、と予想されたこの日だけど、水面にきらめき乱反射する太陽光の、その美しき輝きの下では確かなる食物連鎖の元、動植物が生存競争を繰り広げている光景を思い浮かべずに入られないのが、彼らの音楽だ。

静かなSEに乗って3人のメンバーが登場。静かにギターをつま弾く五十嵐。1曲目は、'99年に発表されたミニアルバム『Free Throw』のオープニングナンバー「翌日」だ。彼らの代表曲とも言えるナンバーだが、スローバラード調にリアレンジされている。続いて最新アルバム『COPY』から「She was beautiful」と続く。熱気に満ちた場内は、しかし息を殺して3人のプレイに見入っている。五感をもって感じることのできるSyrupのライヴは、ステ-ジから発せられる蒼き炎ともいうべき内面からのエネルギーに沸き溢れ、それはあたかも命の蝋燭を削ってまで存在価値を訴えるかの如く、力強い。むき出しの情念をロックの旋律に乗せて、瞬間瞬間で爆発させていく。そう、彼らは紛れもなくロックバンドである。Syrup16gという恐らく意味を持たないバンド名に、『COPY』という皮肉的なアルバムタイトルの向こう側にある、普段はしまっておく言葉を赤裸々に放つ五十嵐は、今にも切れそうな蜘蛛の糸をそれでも信じて辿っていく社子春のようではないか。ベースの佐藤と、ドラムの中畑の2人はそんな五十嵐を見守りながらも感情面でセッションさせているようかのようだ。途中、「楽しんでますか」と、確認しながらMCを放つ五十嵐の姿があったが、それほどスリルに満ちた空間であった。

本編が終わり、全員お揃いの“昇華”とかかれた黒いTシャツ姿でアンコールに答えた3人。「何聴きたい?」と、リクエストを求めるメンバーに、「明日を落としても」と答える客がいた。「それで終わっていいのかよ?」と、一瞬困った顔をする3人。結局アンコールでは、「明日を落としても」などが続き、佐藤がベースを置こうとしたその瞬間、取っておきの爆裂ナンバ-「真空」が演奏された。ギターのハウリングとともに控室に消える3人に、新たなる日本のロックの姿を見たような気がした。
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