ヒップホップの最良のエキスがここに詰まっている

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ヒップホップの最良のエキスがここに詰まっている

既存の形を破壊し、また新たな形を構築(COMPOSE)していく

最新アルバム

『B:COMPOSE』

Sony Music Asocciated Recprds
AICL-1362 3,059(tax in)

1 Intro
2 MAN TRACK
3 街の灯り
4 Beat On Tactics feat.Gore-Tex
5 Smooth Strikes
6 B:compose
7 Sleeping Maxi Mounz z z z...
8 Mr.Groove Sonic
9 シミコマスエキス
10 Pass Da Beats
11 Golden Harvest feat.FLICK
12 情景I
13 低い羽音
14 Glow In Da Dark
15 Lunch Box feat.NATURAL ABILITY
16 Chase
17 End Of View



左からGOCCI、TAD'S A.C.、DJ DENKA
3人からのメッセージはこちら



インタビュー・ストリーミング

生のランチの表情をご覧あれ


■遂にアルバム完成!
■アルバムを作る前に決めた全体像
■Nitro Microphone UndergroundのメンバーGore-Texがフィーチャリング
■DJ DENKAとAPOGEE MOTORSのトラック作り
■MCとしてのGOCCIとTAD'S A.C.は確実に進化した
■今後も更に攻め続けたい

例えばカルト映画にしろミステリ小説にしろ実験アニメにしろエスニック料理にしろ、その道の通人が「この作品は濃すぎるから初心者にはちょっと…」と思っているものほど、実は初心者の入門編として最適だったりする。なぜならそこにはそのジャンルの最良のエキスが高純度に詰まっているからで、逆にそのハードコアさこそが“ポップ”へと転化し、第三者にもアピールするからだ。

そして、ちょうどランチ・タイム・スピークスのメジャー・デビュー・アルバム『B:COMPOSE』が、そんなアルバムである。

日本語ラップの…いや、ヒップホップの最良のエキスがここに詰まっている。タフなビートとタイトなラップ、センス抜群のスクラッチ。基本構成要素は、これだけだ。ただそのどれもが、とんでもなく高い水準にあるというだけ。


GOCCI:
『B:COMPOSE』はものすごい濃い感じになって、しかも一曲一曲のクオリティは『BLUE PRINT MANEUVER』(インディー時代のシングルを集めたアルバム)に負けないくらいの勢いでね。時間もタイトだったんで、オレの弟(Junior 1000)を含め、4人で相当集中してセンスを混ぜ合わせなければいけなかったから、そのぶん俺達の濃度が強まって濃すぎた感じにできていると思う。

TAD'S A.C.:
作品はすげぇいいもんできたと思うし。

DJ DENKA:
(制作時間はタイトだったけど)作品に対して何ら影響なし。オレは基本的に個々の色をアルバムにちゃんと出そうと。それが基本っすよね。

──メジャー第一弾のアルバムじゃないですか? キャッチーさというか、今のマーケットに受けるポップさを入れることは考えなかった?

DENKA:
俺達には基本的に必要ないっていうことですかね。まあ、それを全面的に否定するのではなくて、ただ俺達にはいらない…ってことで。

GOCCI:
でも俺は「LUNCH BOX」(M15)とか、逆にポップだと思うけどね

DENKA:
そう、ポップ感はあるんだよね。それも人それぞれなんですよね。ただ、それ(ポップさ)を中心にして考えをおくところではないと。

――やっぱりあくまで自分達のスタイルを出し切るというのが……。

DENKA:
基本ですね。

アルバムの収録曲「LUNCH BOX」は彼らの地元、茨城県・水戸の新鋭NATURAL ABILITYを招き、スタジオ・ライヴの趣で、DENKAがガシガシに2枚使いを披露する曲。その上をラフにフロウするGOCCI、あくまで堅実に言葉をハメていくTAD'S A.C.。それはまさにヒップホップの王道的快感で、だからこそ確かにポップですらある。しかし、誤解のないよう注意しておけば、その“王道的”という言葉は、決して“保守的”と同義ではないということだ。

DENKA:
(王道でありたいとか)そういうのは気にしたことないよね。

GOCCI:
気にしないね。“王道=保守的”みたいに捉えられるのがいちばん嫌だから。王道でいつづけるためには、みたいなことはないね。例えばコックが職人気質で料理を作り続けて、それが“味の王道”って第三者から言われるんであれば、それはいいけど。自分で王道を意識して作り続けたら、洗練とか進化みたいなものは生まれないと思う。そういうことじゃなくて、攻めつづけても王道と言われるのであれば、それは本当に最終的に王道だったんだなって感じるものでいいと思う。

今、現段階で俺達はまだ進化の過程にあるから、自分達で王道を意識したりするものじゃないと思うんだよね。…それに、王道って言葉は簡単なキャッチコピーに成り得ちゃうから。だから今回は宣伝でもその言葉は使ってないし。やっぱり(ヒップホップは)攻めつづけなきゃいけない音楽だから。それにどのくらい俺達が攻めてるかっていうのは、このアルバムを聴けば分かるだろうしね。


ランチ・タイム・スピークスのサウンド面を司る、DENKAのBEAT TOWN PRODUCTIONと、GOCCIと弟、Junior 1000からなるAPOGEE MOTERSが紡ぐトラックは、ビートを極限まで太く研ぎ澄ましつつ、彼らの言うとおり“攻め”の姿勢を失っていない、オリジナリティ溢れるものだ。

逆説的に言えば、そうした彼らの姿勢──既存の形を破壊し、また新たな形を構築(COMPOSE)していく彼らの姿勢を指して、そこでようやく“ヒップホップの王道”という言葉が出てくるべきなのだ。そして、そうであるからこそ彼らの視線は、早くも未来へと向いている。

DENKA:
早くライヴで攻めていきたいっていうのと、あとはすぐアイデアが浮かび次第どんどんレコーディングしていきたいですね。

GOCCI:
このアルバムを引っさげてのツアーが始まるんだけど、その間うまく時間をコントロールして新しい曲をどんどん作っていきたい。多分オレの弟含めて4人でのやり方というか、ランチの良さの引き出し方、お互いの生かし方っていうのが分かったから、そのヴァイブは失なわないようにして、行けるところまで行きたいな。

取材・文●古川 耕

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