余り有る音楽への情熱と愛情…「活動再開物語」第三章:存在理由

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CURIO「活動再開物語」

活動再開物語:トップページ


第一章:2000年~それぞれの時間~


第二章:苦しみの果てに


第三章:存在理由

あとがき
余り有る音楽への情熱と愛情…「活動再開物語」
第三章:存在理由

涙が出そうになった。

ひとつのバンドが乗り越えた運命の過酷さと、起こした奇跡の逞しさに……。
CURIOの活動再開第一弾アルバム『raison d'etre』は、何の躊躇も疑問もなくそう感じられる作品である。

取材・文●川上きくえ

第三章:存在理由

New Album(限定版)

raison d'etre

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M1:butterfly
M2:fish
M3:noah
M4:N-edge
M5:R.J.L.J.J.
M6:a living -without you-


New Album(全国版)

raison d'etre」
POCE-2034 ¥2,111(tax in)
M1:butterfly
M2:fish
M3:noah
M4:N-edge
M5:R.J.L.J.J.
M6:a living -with you-


迷っていた気弱な自分も、傷つき疲れ果ててしまった自分も、包み隠さずメロディに乗せたアルバム『レーゾン・デートル』。得体の知れないエネルギーを発している曲たちからは、厳しい現実を味方につけたとでも言おうか、丸裸になった彼らにしか出せない力をひしひしと感じることができる。

こんな言い方も何やけど……負のパワーって、めっちゃ強いねんな」(NOB)

断っておくが、負のパワーと言っても自暴自棄なゆえの勢いでもなければ、無責任に放り出した結果でもない。彼らの得た負のパワーとは、深い悲しみや苦しみと素直に向かい合ったことによる潔さのことだ。それは、多ければ多いほど己の細胞内で激しくぶつかり合い、燃焼し、飛び出した瞬間に正のパワーへと形を変えていく。だからこそその歌と演奏は、汚れのない前向きさを持って聴き手の心を目指し、飛んでいくのだ。

そう、負のパワーやねんな。僕はそれをもう、とにかくドラムに馳せたっていうか。片手でシンバル叩くだけじゃ表わせなくて、両手でズガーン!って感じ。リズムうんぬんの問題じゃなかったくらい」(BRITAIN)

それだけ彼らの胸の奥底で煮えていた情熱は、外に出されるのを今か今かと待っていたことになる。6月に再会してすぐさまスタジオへ入り、7月にレコーディングを開始。9月にはマスタリング(録音した音の微調整などをするレコーディングの最終作業)を完了させるという驚異的なスピードでアルバムを仕上げることができたのは、彼らのそうした希望に燃えた想いと、サポート・メンバーとして加わった、元プロペラのギタリスト/権田たけし、クラムボンや椎名林檎らのツアー・メンバーとしてもお馴染みのキーボーディスト/皆川真人らによる影響も大きい。同世代という年齢的なつながりも含め、音楽に対するマインドとサウンドを照合するにことかかないそのセッションは、すべての曲をほぼ一発録りでクリアさせてしまうほどテンションの高いものとなった。

だからたけしくんとのプレイも、すごくスムーズやったよね。僕らはやりたいことがすごく明確やったから、たけしくんが何をやろうとしてても“大丈夫。いつものようにガーンとやって!”とか言ってたし」(NOB)

で、“ほら大丈夫だったでしょ”みたいな感じで(笑)。それはレコーディングのスタッフにも言えることで、気持ちが揃ってると、普段ならタブーなこともその場ではタブーにならなかったんですよね」(KASSAI)

どこでどう出ても今の自分らでしかない思っとったから、何も焦らんかったし。まっすぐに音楽やったらええもんができるんやって、信じられてたんです。あとは、気持ちよくできるかどうかを大切にしようって、ただそれだけやった」(BRITAIN)

そのスタジオで、彼らがどれだけ爽快な笑顔を交わしていたか、想像してもらいたい。おそらく彼らの目には、デビュー前、大阪の小さな公園でライヴをやっていたときと同じ光が浮かんでいたはずだ。

気分的にはその頃と同じやな。ほんと、デビュー前って感じ(笑)。何と言うか……今って、学生の頃とかに楽器を初めて持ったときみたいな、そこまで気持ちが戻れてるんですよ。活動休止している時間に自分にとっての音楽を考え直して、レコーディングで音楽の良さを確認できたからなんやと思うし。それが本当に嬉しいんです」(KASSAI)

最近なんて新宿の高島屋の前とか通ると、"このへんでライヴしたいなぁ"とか思うし。街を歩いてても、あの頃と同じ感覚でいろんなことを考えてる自分に気づくんですよね」(BRITAIN)

たとえば長くバンドをやる人たちは大勢いるが、長い歴史を刻んでいく日々の中で、新たなスタート地点と言える作品をつくれるバンドがどれだけいるだろうか。続行させることや振り返らないことに力を費やすだけでは絶対に気づけない、ひとつの通過点としての輝かしい目印を、彼らは自らの歴史に刻み込んだのだ。迷ったときに堂々と振り返ることのできる今作がある限り、ニ度とCURIOは行き先を見失うことはないだろう。

楽しいだけが音楽ではないけれど、自分が楽しくなければやる意味がない。歌に、演奏に、息づかいのすべてに込められた彼らの想いは、よってどんな説明書きよりも説得力を持って語りかけてくる。

やっぱり目指すところは、そこやから。実際、僕らは言葉足らずやし、おちゃらけてるところもあるんやけど、やっぱりみんなには作品を通して今のCURIOを知ってほしいんよな。だからミュージシャンとしてその作品を考えるだけじゃなく、リスナーとして聴いたときにちゃんと伝わるものじゃないとあかんと思うし……リスナーがそこから何かを感じようとしてくれること自体が、今の僕らにはとてもありがたいんですよね。そういう人達のためにも、もっと素直に音楽と向かいあっていこう。そう思うんです」(NOB)

人間をもっとも孤独にするもの、それは“喪失感”に他ならない。ましてやそこに自責の念がからんだとしたら、立ち直るのはそう簡単ではないはずだ。

けれどCURIOは、息を吹き返した。傷はまだ、瘡蓋(かさぶた)にすらなっていない。しかし、そのぶんドクドクと脈打つ生命感に溢れた“歌”を隣に連れて。

痛みを伴う再生だからこそ、生半可じゃないリアリティで伝わってくるCURIOの温度。そこから目を逸らせないのは、誰しもの心の奥底にある弱さや傷ついた部分が、CURIOの音楽によって明確にされたからなんじゃないだろうか。

そして、その痛みと体温を受け止めることこそが、彼らの帰りを待ち望んでいた人々にとっての『レーゾン・デートル』(存在理由)になるのだと私は思っている。

取材・文●川上きくえ

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