RUN-D.M.C.のジャム・マスター・ジェイに友人が追悼を述べる

Run-D.M.C.に独自のフレーヴァーをもたらしてきたJam Master Jayが10月30日（水）の晩、ニューヨークのクイーンズにあるレコーディング・スタジオで射殺された。享年37歳。あとには妻と３人の子供が残された。

Jam Master Jayは９月にニューヨークでScratch DJ Academyをオープンしたばかりだった。本名をJason Mizellというこのターンテーブリストは、Rob Principeと『Bring In Da Noise, Bring In Da Funk』の作家として知られているReg E. Gainesをパートナーとし、Scratch Media Productionsを設立している。

Jam Master Jayはまた、'90年代初めにJMJ Recordsレーベルを立ち上げており、そこからリリースされたOnyxのデビュー作『Bacdafucup』はプラチナ以上のセールスを上げ、大ヒットを記録した。またハードコアなウエストコーストのラッパー、Jayo Felonyとも契約し、デビュー・アルバム『Take A Ride』をリリースしている。Jam Master Jayは殺された時、Virgin Recordを通じてリリースが予定されている新人、Rusty Watersを手掛けている最中だった。

ニューヨーク警察のCavitolo捜査官は、殺人犯の捜査は進められているが、まだ逮捕者は出ていないとLAUNCHに語っている。Jam Master Jayは頭部を撃たれて殺害されており、また25歳のUreico Rinconもレコーディング・スタジオを襲った男２人に足を撃たれている。スタジオ内にいたほかの人たちにケガはなかった。Mary Immaculate病院に運ばれたRinconの容体は安定しているという。

Run-D.M.Cが最初にリリースした２枚のアルバムのプロデュースを手掛け、マネージメントも務めたRussell Simmonsは、Jam Master Jayの死について次のように述べている。

「20年近く、Run-D.M.C.はコンテンポラリーな音楽の世界におけるゴスペル・アーティスト達に最も近い存在だった。彼らは神と自己を高めることについて語り、ドラッグをやめ、霊感を与えて精神を高揚させることの大切さを説いた。ヒップホップの良いところ、ポジティブなところを全て象徴していたのだ。Jam Master Jayは長い間、家庭人であり、ヒップホップへのすべてのドアを開いたグループの創設者でもある。私は彼を慕い、そして忘れない。彼は私にとってかけがえのない男なのだ」

Simmonsはこう続けている。「メディアはイーストコーストとウエストコーストの紛争によるものだと騒いでいるが、Run-D.M.C.が両サイドに貢献してきた年月とJam Master Jayの性格を考慮すべきだ。この事件をいわゆるイーストコーストとウエストコーストの闘争や、ワシントンで起こった狙撃殺人などと関連づける理由はどこにもない」

'87に発売されたRun-D.M.C.の公式バイオグラフィー『Tougher Than Leather: The Rise Of Run-D.M.C.』を執筆したBill Adler氏は、ポピュラー・ミュージックにおいてJam Master Jayがどれほど大きな影響を及ぼしてきたかをNew York Times紙で次のように発表している。

「ビニールレコードのドラムビートが針の下で前後にスクラッチされるとき、ある種パーカッシヴな、ヒュッというサウンドがそこから生まれる。一般のポップ・ミュージックのファンに初めてスクラッチを聞かせたのがMizell氏だった。ヒップホップの真髄ともいうべきそのサウンドは、Run-D.M.C.のレコードを通してアメリカ全土に普及し、それによりJayはその多大な功績を認められたのだ」

Jam Master Jayの制作チームと一時契約を結んだことがあり、現在50 Centのマネージメントを務めているJam Master Jayのファミリーの一員であるSha Money XLは、良きリーダーの死について次のようにコメントした。「言葉が見つからない。あの日早く、俺は彼と話したんだ。何て言っていいか、本当に分からないんだ。人々は本当に目を冷まさなくちゃいけないよ」

Yves Erwin Salomon, New York　(C)LAUNCH.com