“怒・哀・喜・楽”という感情のストーリー のアルバム『UTA』

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“怒・哀・喜・楽”という感情のストーリー

エレクトロニック・ミュージック…と聞けば、冷たさや無機質なイメージが強いかもしれない。
しかし、現在はいろんな手法で幅広い音楽性を表現し、
心とエレクトロニクスをサウンドで融合させたアーティストがたくさんいるのも事実。

そんな中、歌詞、作曲、打ち込みはもちろん、マスタリングまで、
制作の全工程をひとりで行ない、アルバムを完成させた驚くべきアーティスト、それがCha pari(チャパリ)。
自然に、でもこだわりを持って作られたアルバム『UTA』の全貌に迫る。

「サンプリングも一切使わず、日常の雑音を重ねて音を作る」

最新アルバム

『UTA』

Sublime Records 2002年11月07日発売
IDCS-1011 2,520(tax in)

1 Koe
2 Daisy
3 Lady emperor
4 Words
5 Feel
6 He is a naughty child
7 Yoakemade
8 Oto
9 Smile
10 Reset
11 Asobi
12 She is a witch
13 Uta


★チャパリからの
コメントもあるよ~♪
左画像をクリック!!!

★ライヴ情報★
12/22(sun) 
<REEL UP>
@新宿LIQUIDROOM
――3歳の時からピアノを始めてずっと音楽をやってこられたそうですが、自分で作品を作ろうと思ったきっかけは?

Cha pari: 3歳の時から始めたピアノは、好きでやり始めたというより親が習い事をさせるような感覚で始めたんです。でもホントに音楽は小ちゃな頃から側にあるものとしてずっとあったんですよ。で、高校でコピーバンドみたいのをやって、卒業して自分がこれから何をやっていこうって考えたときに、やっぱり一番身近にあるもので仕事を始めたほうが早いかな~と思って。で、はじめはスタジオミュージシャンになろうと思って、音楽の専門学校に行って、レコーディングとかキーボード弾いたりとかやってたんです。でも、専門学校はいろんな目的で来てる人がいて、本格的に打ち込みをやってる友達とかもできて情報交換したらどんどん面白くなって、で、スタジオ・ミュージシャンよりもなんか自分で世界観を作れる曲がすごく楽しくなって。それから専門学校卒業後にはデモ・テープなども作り始めて、いろんな所へ送りました。

――音楽的な影響は?

Cha pari: クラシックは絶対あると思うんですけど、高校のときにやってたバンドはコピーで部活みたいな感覚で友達と一緒にただ楽しんでたんで。それで卒業してからMouse on Marsを聴いたときの衝撃がすごい強かったんです。今までクラシックで曲を作って、それまでの曲の作り方が鍵盤一本とか、弾き語りやピアノ・インストとかで。でもMouse on Marsを初めて聴いたら、普通の日常音が音程としてちゃんと成り立ってて、しかも音楽としてすごくいい音楽やな~って思って。音楽の作り方はこういうもんやって自分で勝手に決めてたんですけど、なんか根本から一気に覆されたって感じでしたね。

――なるほど。で、今作を作る上でコンセプトとかはあったんですか? 私的には全体に女性らしいなって思ったんです。なんかやさしい音を感じたんですよね。

Cha pari: 自分が大切にしているものはジャケットの曲名を大文字で書いてるんですけど…。「UTA」「OTO」と「KOE」ですね。アルバムだけじゃないんですけど、この3つは曲を作る上で一番大事にしてます。あと、アルバムのコンセプトでもあり、ライヴでもいつも心がけてることは、“喜怒哀楽”っていう感情で一番尖ったところを出し切れたらいいな~と思って、そういう要素を自分なりに入れてるんでけど…。

――では、曲名がテーマってことですか?

Cha pari: そうですね。曲を作るときはいつもタイトルから入るんですけど、イコール、テーマありきで、"喜怒哀楽"の感情を表わせたらいいな~って思って。"喜怒哀楽"の怒りだったら、怒りから連想して言葉のテーマを自分で作ったりとか。アルバムも1曲から13曲までの順番も自分なりのストーリーがあって、喜怒哀楽っていう感情の順序を"怒哀喜楽"に変えてるんです。哀と喜の間に"悟り"(「Feel」)っていうのを入れたり、"迷い"(「Words」)っていうのを入れたりして、物語にしてるんですけど、そういう感情の波みたいのを曲順に合わせて、曲順を感情の波に合わせて。「KOE」「UTA」に関したらイントロ とアウトロで繰り返して聴けるような音楽を作りたいなって思って。

――制作してる長い間に、感情っていろいろ変化しますよね。

Cha pari: 怒りの曲を作ろうって思ったら、無理やり意識して怒るように、自己暗示をかけるくせがあって、ライヴ前とかもそういう風にしてるんですけど。悲しみの曲を作ってるときに並行して喜びとかあんまりないですし、怒り悲しみっていう曲を作りたいな~っていうときはホント、暗いです。

――生活も?

Cha pari: 勝手にそうなるって感じで、ボロボロですよ(笑)。

――サウンドを作る上でその他に気を使ってるところは?

Cha pari: 音に関したらサンプルリングも一切使ってませんし、音のバスドラ、スネアもだけど、他の音とかも身の回りにある日常の雑音を元にそれを重ねて重ねて作ってるので、シンセの音をただ鳴らしたっていうのは絶対無いんです。

――なぜ日常の音にこだわるのですか?

Cha pari: やっぱりMouse on Marsから受けた影響なんですけど、あるものをそのまま使うのもいいけど、材料の問題じゃないっていう信念をあえてアピールしてるんです。もともとシンセや機材もあんま持ってないし、使えないっていう理由があるんですけどね。

――ビートはすごくアグレッシヴに感じました。

Cha pari:全然意識してないんですけどね(笑)。ドラムのバスドラとスネアに関したら、カ~ンって殴るような音がメチャメチャ好きで、それはかなりこだわってますね。

――それが破壊的ですよ。

Cha pari: そうですかね~。でもそういう音がすごい好きです。

――ひとりでマスタリングまでやるということにこだわったのは?

Cha pari: マスタリングまでが自分の曲作りなんで、自分の表現したいこと、音を100%理解してるのも自分かな~って思って、わがまま言って作らせてもらいました。

――それだけやってしまうということがすごいですね。でも、誰かと一緒にやりたいとかはないんですか?

Cha pari: やってみたいとはメチャメチャ思うんですけど、でもまだ自分を確立しきれてないっていうか、もっと自分でやれるとこまでやって、ちゃんと出すものを出せてないと誰かとやりたいとかは思い浮かばないかもしれないですね。

――“感情”を出した今作を形にして、次にやりたいことは?

Cha pari: そうですね、もうちょっと出したいこと、やりたいこともあって、2枚目のアルバムも既に作ってるんですけど。でもしばらくテーマは“感情を大事に”っていうことは変わんないと思いますが、ちょっと手法は変えてみようと思います。

取材・文●イトウトモコ

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