最新作『すみれ』は“日常を一筆書きしたアルバム”

ポスト
~

 北川悠仁と岩沢厚治のアコースティック・ユニット“ゆず”が
 2月に4週連続でシングルを4枚リリース。
 それぞれ「青」「呼吸」「3番線/水平線」「スミレ」のタイトルで、
 チャートを賑わしているのに加え、
 各10万枚の限定盤で500円という価格も話題を呼んでいます。

 そして約1年ぶりの3月19日に、アルバム『すみれ』をリリース。
 今作はゆずの2人とプロデューサー寺岡呼人の3人だけで制作を行なったとか。
 そしてどんな作品が生まれたのか……。
 “ゆず”を取り巻くキーワードとともに紹介していきます。

日常を、歌に、まるで一筆書きされるように描かれている

最新アルバム

『すみれ』

セーニャ・アンド・カンパニー
SNCC-86901(初回盤)
SNCC-86902(通常盤)
2003年3月19日発売 \3,059(tax in)

1. 桜道3
2. スミレ
3. 3番線
4. ふくろ
5. 駅(恵比寿~上大岡)
6. 青
7. 運転技術の向上
8. 君は東京
9. 旅立ちのナンバー
10. フラリ
11. 呼吸
12. 桜道2
13. 言えずの*アイ・ライク・ユー
14. カーテンのせい
15. ブザービーター
16. またあえる日まで

わずか30秒の間に、過去から現在へと一気に旅をするオープニング曲「桜道3」にうながされてアルバムの入り口をくぐると、そこには「スミレ」。シングル四部作の最後に届いた曲であり、前に向かって進み続ける彼らの現在の心境を確かな言葉で歌いきったその曲が、アルバム『すみれ』の序章となっている。

恵比寿、品川、上大岡。吉祥寺、新宿アルタ前。東急ハンズ。環七。彼らの生活圏内にある(あった)たくさんの駅や街が、このアルバムには登場する。かつて暮らしていた街。その街へ向かう途中の駅。人生という長い旅の途中で立ち止まったいくつかのポイントと、そこに咲いた思い出の花をまるでひとつひとつ拾い集めるように。

前作『ユズモア』をひっさげたツアーが終わったあたりから、プロデューサーの寺岡呼人のスタジオで彼らは新曲の作業にとりかかったのだという。外の世界が昼か夜かも分からない、現実の世界と隔絶された地面の下にあるようなレコーディング・スタジオではなく、現実の生活の延長に位置するそのスタジオで、結局このアルバムは完成を見たのだそう。その影響もあるのだろうか、空想の世界や、どこか別の国で起きていることではなく、彼らが過ごす日常や、その日常で感じていることが詞に、歌に、まるで一筆書きされるように描かれている。

不安に押しつぶされそうな時でも、目の前に高い高い壁が見えた時でも、誰かがそれをどけてくれるなんてことはまったくなくて、自分の力で這い上がらなければ、状況は何も変わらない。それは、別に熱いメッセージでもなんでもなくて、ごく当たり前のこと。そうするしか解決の道はないから。<自分を信じて一歩進めば、何かがつかめるさ><夢を叶えよう><信じることが、心をつなぐ>と彼らは歌う。リップサービスでもなく、誰かの背中を押すためでもなく、あえて当たり前のことを言い切っちゃおうとでもいうような、軽やかなスタンスで放つのがゆずらしい。アコギをジャカジャカかき鳴らし、デカい口を開け、大きな声を張り上げて歌う2人の姿を想像すると胸がすくようだ。

すみれの花言葉は「誠実」。小ぶりで奥ゆかしいたたずまいながら、どこか凛としたその花を胸ポケットに挿して、彼らの旅はまた続いていく。

文●梶原有紀子


  【最新シングル紹介】 2003年2月、毎週水曜日に下記シングルがリリースされました 
     
 「青」
2003年2月5日発売
SNCC-88994 \500(tax in)


 「呼吸」
2003年2月12日発売
SNCC-88995 \500(tax in)


 「3番線/水平線」
2003年2月19日発売
SNCC-88996 \500(tax in)


 「スミレ」
2003年2月26日発売
SNCC-88997 \500(tax in)


 
 あふれる涙も、冬の寒さも夜の迷いも、すべてをブッチ切って突っ走る北川悠仁作のエネルギッシュなナンバー。エンディングの絶叫“ララララ~”コーラスは、ぐっと胸に込み上げるものが。ちなみにこの曲のプロモビデオはプロデューサーの寺岡呼人が撮影した。

 アコースティック・ギターとハーモニカ、オルガン、そして二人の歌声。「週間ゆず」の2作目は、岩沢厚治作のブルースなラブソング。<幸せをくれないか><君といたい>そんなストレートな投げ掛けが、果たされぬ願いに変わる瞬間の切なさが、しみる。

 2分に満たない小曲ながら、ピリリと辛味のきいた皮肉を忍ばせることも忘れない「3番線」。アコギをつまびきながら口ずさむような「水平線」のどちらも岩沢厚治作。涙がこぼれる一歩手前でぐっとこらえるような、泣けない(泣かない?)男のやるせなさを感じません?

 最後の作品は、2人が詞を共作。思わず肩を組んで歌いたくなるようなポップな歌。扉を開けて、角を曲がって、出口にたどり着いたと思ったら、実はそこがスタート地点だった。そんなふうに4枚のシングルを通過していざ、アルバム『すみれ』へ!

 
  ちょっと豆知識 “ゆず”を取り巻くキーワードとその効能 
     
 ▲ゆず
※ずばり、ユニット名の元

 ▲すみれ
※アルバムタイトルであり、2/26発売のシングルの同タイトル。

 ▲アコギ
※ゆずといったら2人のアコースティックギター

 ▲ドラえもん
※ゆずとドラちゃんの持つ世界が似てるかも?

 
 クエン酸、リンゴ酸などの有機酸類が多く含まれるため、疲労回復、肩コリ・筋肉痛予防によい。また、ゆず湯はピネン、シトラール、リモネンなどの効能で新陳代謝が活発化するほか、ビタミンCが肌によいとされている。 ニオイスミレ(スイートヴァイオレット)は、ヨーロッパにおいて古くより香水や薬として使われていた。気管支炎、口内炎などの炎症防止や咳止め、利尿などの効能がある。 アナログならではの温かみのある心地よいサウンドにより、聴くとやさしい気持ちになれる。また、演奏に電気が必要ないので、ゆずの原点ともいえる路上ライヴに向いていたのかも。 '02年10月17日リリースのシングル「またあえる日まで」がテレビ朝日系アニメ「ドラえもん」のエンディングテーマとなった。この曲はアドベンチャーキャンプで子供たちと共同で作ったもの。なお、2人は'03年3月8日公開の映画『のび太とふしぎ風使い』では声優に挑戦している 

  ゆず全国ツアー<体育館ツアー2003「すみれ」> 
 3/20(木)
3/21(金)
3/23(日)
3/29(土)
3/30(日)
4/5(土)
4/6(日)
4/12(土)
4/13(日)
4/16(水)
4/17(木)
4/23(水)
4/24(木)
4/29(火)
5/2(金)
5/3(土)
横浜アリーナ
横浜アリーナ
横浜アリーナ
神戸ワールド記念ホール
神戸ワールド記念ホール
さいたまスーパーアリーナ
さいたまスーパーアリーナ
マリンメッセ福岡
マリンメッセ福岡
名古屋レインボーホール
名古屋レインボーホール
大阪城ホール
大阪城ホール
アスティとくしま
広島グリーンアリーナ
広島グリーンアリーナ(※1)
    5/10(土)
5/12(月)
5/13(火)
5/17(土)
5/18(日)
5/21(水)
5/24(土)
5/25(日)
5/31(土)
6/3(月)
6/4(火)
6/7(土)
6/11(水)
6/14(土)
6/15(日)
静岡エコパアリーナ(※1)
大阪城ホール(※1)
大阪城ホール(※1)
仙台グランディ21
仙台グランディ21(※1)
盛岡市アイスアリーナ
横浜アリーナ(※2)
横浜アリーナ(※2)
石川県産業展示館4号館
名古屋レインボーホール(※2)
名古屋レインボーホール(※2)
マリンメッセ福岡(※2)
新潟市産業振興センター
真駒内アリスアリーナ
真駒内アイスアリーナ(※2)
 
 (※1)は4/6(日)チケット発売、(※2)は4/27(日)チケット発売、その他は発売中。 
この記事をポスト

この記事の関連情報