ヒラリー脱退後、初の来日公演は?? JJ72ライヴレポート

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JJ72は、2000年にデビューしたアイルランドはダブリン出身の3人組のギターロックバンド。日本では'00年12月、1stアルバム『JJ72』(EPIC・ソニー)でデビューし、UKロックの救世主としてもてはやされた。そのJJ72が、'02年9月発売の2ndアルバム『アイ・トゥ・スカイ』を携えて'01年8月以来の来日公演を果たした。ただ残念なことに、今年2月ヒラリー・ウッズ(B)が脱退したため、急遽代役を立ててのライヴとなった。

'01年、最初の来日ではSOLD OUTまで出した彼らだが、火曜日という曜日もあってか会場となった渋谷CLUB QUATTROは、ぱっと見で6分程度の入り。ただ、その分“本当のファン”だけが集まっているという、不思議な一体感を感じた。

7時をちょっと過ぎたころにマーク・グリーニー(Vo)が黒い半袖Tシャツ1枚で登場。ファーガル・マシューズ(Dr)も笑顔でステージに登場した。ベースはサポート・ギタリストの男性が担当する。やはり見た目に違和感がある。ヒラリーは紅一点で、男性ファンにも女性ファンにも人気のあったメンバーだけに、“不在”が強調されてしまった。

一曲目は1stアルバムの最初の曲でもある「October Swimmer」。シングルがイギリスでヒットし、日本では来日記念盤のタイトルソングとなった人気ナンバーだ。ファンのボルテージも一気に高まり、その後も2ndアルバムからの軽快なチューンや1stアルバムのヒット曲を演奏。

ときに女性ヴォーカルと聞き間違う人もいるマークの超高音ファルセットはこの日も冴え渡り、澄んだ美しい歌声を披露した。会場も後半にかけてさらに盛り上がり、裏声をふんだんに使ったサビが圧巻の「7th Wave」は、とくに印象的だった。

マークは決して無愛想というわけではないが、MCはほとんどなく、曲と曲の合間に一言、二言単語レベルで歓声に応える程度。「Marry Me」と叫ぶ熱狂的なファンに笑顔で応える一幕もあった。

終盤、1stアルバムからのヒットシングル「Snow」「Oxygen」を続け、最後に「Bumble Bee」をしっとりと演奏すると、スージの照明が落ちメンバーは退場。アンコールは、マークひとりがアコースティック・ギターで「Oiche Mhaith」を静かに優しく歌い、ちょうど1時間ぐらいで終了した。

かつてカトリック系私立高校に通った彼が、宗教的なキーワードを埋め込んだ歌詞をストイックに歌い上げるその姿は、まさに“祈り”。流行り言葉で片付けたくはないが“癒し”を感じたライヴだった。

急遽代役となったベーシストにはサウンド面での不満はないものの、ヒラリーを見慣れた目には、違和感は否めない。また、マークのコンディションもベストに近い状態と思われただけに、演奏時間、曲数ともに「もっと!」というのが正直な感想。新たな正式メンバーを加え、バンドの体勢を整えてのライヴをもう一度見たい。

文●末吉靖永(2003/03/13)


2003/03/11 JJ72 渋谷CLUB QUATTRO

1.October Swimmer
2.Half Three
3.Undercover Angel
4.Serpent Sky
5.Always And Forever
6.Sinking
7.Brother Sleep
8.Improv
9.Algeria
10.7th Wave
11.Formulae
12.Snow
13.Oxygen
14.Bumble Bee

【ENCORE】
15.Oiche Mhaith
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