「おかえりなさい、オリビア」25年振りの来日公演は大成功

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「おかえりなさい、オリビア」
25年振りの来日公演は大成功

すでにニュースでもお伝えしている通り、オリビア・ニュートン・ジョン
25年振りの来日公演を4月2日愛知芸術劇場、4日・6日東京国際フォーラム・ホールA、
7日大阪フェスティバルホール、8日福岡市民会館で行なった。
テレビや新聞でも連日報じられるなど、注目度が高かった今回の公演。
その、東京公演の模様をお伝えしよう。

輝きを失わないクリスタル・ヴォイスを披露

 セットリスト

2003/04/04
東京国際フォーラム ホールA


01.そよ風の誘惑
02.ザナドゥ
03.マジック
04.ラヴ・ユー・クレイジー
05.サム
【メドレー 06~10】
06.イフ・ノット・フォー・ユー
07.バンクス・オブ・ザ・オハイオ
08.レット・ミー・ビー・ゼア
09.プリーズ・Mr.プリーズ
10.ジョリーン
11.フィジカル(ボサノヴァ・ヴァージョン)
12.カム・ランニン
13.ノット・ゴナ・ギヴ・イン・トゥ・イット
14.ドント・カット・ミー・ダウン
15.虹の彼方に
16.REASON TO CRY(クロエ・ローズ)
17.イッツ・テイクス・トゥー(クロエ・ローズ&オリビア)
18.カントリー・ロード(故郷へ帰りたい)
19.遥かなる影
20.たそがれの恋
21.恋の予感
22.愛のデュエット
23.愛すれど悲し
24.想い出のサマー・ナイツ

【Encore】
25.一人ぼっちの囁き
26.愛の告白

最新アルバム


『オリビア~ベスト・オブ・オリビア・ニュートン=ジョン』

ユニバーサル インターナショナル
UICY-1164 2,548(tax in)

01.そよ風の誘惑
02.ザナドゥ
03.フィジカル
04.愛の告白
05.ジョリーン
06.マジック
07.愛のデュエット
08.サム
09.カントリー・ロード(故郷へ帰りたい)
10.イフ・ノット・フォー・ユー
11.愛すれど悲し
12.サドゥンリー
13.アイ・ニード・ラヴ
14.想い出のサマー・ナイツ
15.ハート・アタック
16.ランドスライド
17.ア・リトル・モア・ラヴ
18.ホワット・イズ・ライフ(美しき人生)
19.ディーバー・ザン・ザ・ナイト
20.バンクス・オブ・ザ・オハイオ
21.青空の天使
22.グリース・メガ・ミックス:愛のデュエット/想い出のサマー・ナイツ/グリーズド・ライトニン

無断転用禁止
http://www.universal-music.co.jp/

まずオープニングから目を引くものだった。過去のヒット曲のインストゥルメンタルをBGMに、ステージに設置された大型スクリーンにオリビアに関する過去の新聞や雑誌のスクラップ、映画のワンシーンの写真などがスライド上映されていく。観客は改めてオリビアの歴史を振り返り、これからすごいアーティストのコンサートを見ることができるのだと期待と興奮が一層高まる。

スライド・ショウが終わり、光の加減でキラキラ光る赤いドレスに赤いショールをかけて登場したオリビア。ギター、ベース、ドラム、キーボード、管楽器、コーラス2名というフルバンド編成だ。

「おかえりなさい、オリビア」

今回の来日公演のフライヤーと来日記念ベスト・アルバムの帯のキャッチコピーだが、本当にそう声をかけそうになる。

オープニングは「そよ風の誘惑」、2曲目は「ザナドゥ」。先日発売されたベスト盤と同じ出だしだ。ベスト盤では、「フィジカル」「愛の告白」と続くのだが、さすがに3曲目は違う曲だった(もっともこちらも大ヒット曲の「マジック」だった)。しかし、開演から惜しげもなく人気曲を立て続けに歌うところは持ち歌の多いベテランらしい。何人かいた、遅刻で聞き逃した観客に、同情を禁じ得なかった。

オリビア熱唱 “クリスタル・ヴォイス”と形容される、透き通るような歌声は54歳となった今も健在だ

やがて、フォーク/カントリーの「イフ・ノット・フォー・ユー」や「ジョリーン」などをメドレーで披露。決して古さを感じさせないのは、決して最近の'70年代、'80年代ブームの影響だけではあるまい。曲と曲の間には、「これはお茶よ」とわざわざ観客にことわって、「カンパーイ」と行儀よくお茶を飲む。普段、飲み終えたペットボトルをオーディエンスに投げつけるようなバンドのライヴばかり見ているせいか、オリビアの大学教授の娘という育ちのよさを感じずにはいられなかった。

メドレーの後は'81年、歴史的なヒットを記録した「フィジカル」ボサノヴァ・ヴァージョン。ボサノヴァも新鮮でよかったが、やはり、微妙な違和感が否めない。オリジナル・ヴァージョンも聴きたかったところだ。

クロエ
▲娘のクロエ・ローズは母とのデュエットのほか、オリジナル曲も披露した

やがてステージに娘のクロエ・ローズが登場。並んでも母娘には決して見えず、ちょっと年の離れた姉妹といった雰囲気(これはクロエが17歳という年齢の割りに大人っぽいせいもあるだろうが……)。2人で「虹の彼方に」などをデュエットした後、クロエはソロでオリジナル曲(ロック・テイストのなかなかのナンバーだった)を披露し、サイドステージに下がった。


その後、「カントリー・ロード」など、コンサート終盤らしいしっとりした曲を歌っていると、いつの間にかステージに再びスクリーンが用意され、ジョン・トラボルタと共演した映画『グリース』が流れ始める。こういった細かい演出の楽しさもベテランらしい配慮と遊び心を感じさせる。それに合わせて、ステージでも「愛のデュエット」「思い出のサマー・ナイツ」など、『グリース』サウンドトラックからのヒット曲を歌う。アンコールは「愛の告白」で締めくくった。

笑顔のオリビア
歓声に笑顔で応えるオリビア。花束やプレゼントをステージに持ち寄るファンの姿も

記者会見で明言した通り、ファンに人気の、ヒット曲ばかりを歌ったオリビア。当たり前のようだけど、これはやっぱりすごいことではないだろうか? たとえば'94年の復帰作で、自ら作詞作曲も手がけた自主制作盤アルバム『ガイア』は、会社の倒産、父の死、乳がんといった不幸のどん底から立ち直った記念碑的な作品だけに、個人的に思い入れのある曲も多かっただろう。しかし、『ガイア』など、比較的新しいアルバムからの曲は皆無ではないものの、セットリストの大半は'70年代から'80年代前半のヒット・ナンバーだ。どんな歌をどう歌えばファンが喜ぶか、オリビアにはわかっているのだ。また、セットリスト以外の細かい演出やMCにも、観客の視線からコンサートを見ることができる心の余裕、そしてオリビアの人柄を感じるのだった。

“歌姫”“妖精”といった彼女を形容する数々の言葉が、単なる枕詞ではなく、実感として感じられた素敵なステージだった。

取材・文●末吉靖永

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