【音楽ギョーカイ片隅コラム】Vo.17「EODMと音楽が持つパワー『パリの会場が再開したら1番最初にギグをやりたい』」

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パリでの公演中に襲撃され、ファンとクルー、レーベル関係者、元仕事仲間らの尊く、大切なその存在と命を一瞬にして奪われたEagles Of Death Metalが事件後初となるインタビューを受けたことを知り、早速YouTubeで閲覧しました。

当事者インタビューなので当然の事ではありますが、彼らの目に映った事件当時の細部に渡る情景説明からは他の何よりも現実味を持った情報がドドーッと押し寄せてくるため、受ける衝撃が非常に大きくて中々先へ進めず、一旦止めて、深呼吸して、しばらく置いてからまた視聴を再開する、という風にしか見られなくて、たった2回見るのに3日もかかりました。

インタビューはVICE創設者によるもので、長さは30分弱。2部構成になっていて、1部はメンバー全員、2部はJesseとJoshの二人が応対しています。内容は当日の出来事をメンバー、一人一人がどのような状況の中でどう行動したかを尋ねることから始まり、人々は今後何ができるのか、Eagles Of Death Metalはどうしていくつもりなのかという問いで締めくくられていました。


「ステージ上にいた。ガンマンがオーディエンスに向かって乱射し始めた」
「自分のギアを盾にして、ステージ袖に這って逃げた」
「楽屋に逃げ込んだファンも皆殺しにされた。俺のレザージャケットの中にいたキッズ以外は」

見て、聞いて、ここまでしんどさを感じるインタビューは初めてで、誰にも、どうすることもできなかったのだということが痛みと共に伝わってきました。また、そこに映るメンバーの表情からは怒涛に沸き起こる感情の渦の中で葛藤している様子が窺え、それにもかかわらず、すべての質問に対して真摯に受け答えをするその姿勢には胸を打たれます。

時より事件のことを思い出し、顔を真っ赤にして涙声で自分の感情を訴えかけるJesse。当日会場にはいなかったものの、いなかったからこその困惑を持つJosh。どの表情もこれまでのEODM活動、或いは他のプロジェクトでは見せたことのない、悲しくて辛く、鋭い痛みを帯びたもので、ミュージシャンとしてではなく、一人の人間としてインタビューに応えていました。



しかし、インタビューの終盤で、バンドとしての今後を尋ねられたJesseがそれまでのうなだれた表情から一変し、はっきりとした強い口調で語った言葉は「パリの会場が再開したら、1番最初にギグをやりたい」でした。

これは音楽が彼に与える力の大きさ、そして、彼が音楽を信じる強さが表れた一言でしょう。正直なところ、もう音楽をやめちゃうんじゃないかと危惧していましたが、この発言とそのミュージシャンとしての揺るぎない表情から、彼が音楽をやめるという選択肢を持っていないことを知ることができ、失礼で要らぬ心配だったと覚醒しました。

Jesseのこの言葉がいずれ現実となって、その時を必要とする人たちが皆その場に足を運ぶことができ、傷つけられた心を少しでも昇華させられる日が来ることを切に願います。そして時がきたら、EODMには日本のキッズのためにも来日し、大人のセクシーでロックな夜を日本中に運んでほしいです。


出典:VICE https://www.vice.com/read/eagles-of-death-metal-discuss-paris-terror-attacks
http://jp.vice.com/news/eagles-of-death-metal-paris-terror-attacks

◆早乙女“ドラミ”ゆうこの【音楽ギョーカイ片隅コラム】
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