The BONEZの新作に映る、強靭な人間力

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背伸びもギミックもない、等身大のThe BONEZを刻み付けた渾身のニューアルバム『To a person that may save someone』が完成した。

振り返れば、前作『Beginning』はJESSE、NAKA、T$UYO$HI、ZAXのメンバー4人が膝を突き合わせ、イチから作り上げたという意味を表題に込めていた。その段階を経て、今作はこちらの予想を鮮やかに裏切り、期待を遥かに超えるバンド感を見せつけることに成功している。冒頭を飾る表題曲を聴き、いままでとは決定的に何かが違うと瞬時にわかるほどだった。徐々に視界が開けていく明るい音色、ウォーウォーの合唱コーラスをイントロに、ヴォーカルは声を荒げるわけでもなく、演奏は過剰な熱量で押し切るわけでもない。リスナーと目と目を合わせ、じっくり対峙するような肝の座ったアプローチを採っている。力強く、懐深く、なにより人間味溢れる音に心の芯から熱くなる感覚だ。



もちろん従来のThe BONEZ節が炸裂した「Revolution feat.Hiro Fujita」のような骨太重厚ナンバーもあるので安心してほしい。荒ぶるシャウト、過剰な熱量も兼ね備えながら、今作が従来の作品と一線を画すのはメンバー4人の性格や息遣いがこれ以上なくダイレクトに音楽へ昇華されている点だろう。音楽ありきの人間ではなく、人間ありきの音楽という視座に彼らは立った。

アルバム名は「誰かを救えるであろう君へ」というメッセージを帯び、歌詞にも"I"と"YOU"という言葉を多用している。俺とおまえ、私とあなた、という関係性を色濃く打ち出しているのだ。まさに対・人に向けた作風へと様変わりした。バラエティに富んだ楽曲を揃えつつも、紛うかたなきThe BONEZサウンドに仕上がっている点も素晴しい。JESSEが今作でラップを解禁し、歌心溢れるメロディと共存させる手法を選んだのも自然体=ありのままで勝負するようになった証だろう。内側の感情や衝動と素直に向き合い、着飾ることなく体当たりしてくる音像は温かく、優しく、強靭な人間力から生まれたものであることが伝わってくる。

そして、今作の発売にあたり、各楽曲について同世代で一緒に対バンを繰り広げる仲間たち、先輩や後輩、さらに著名人から多数コメントが寄せられている。ACIDMAN、BUCK-TICK、coldrain、CROSSFAITH、Def Tech、DIR EN GREY、Dragon Ash、HYDE、J、LMC、lynch.、MAN WITH A MISSION、ONE OK ROCK、RADIOTS、ROTTENGRAFFTY、SHADOWS、SUPER BEAVER、SiM、SOWLKVE、TEARS OF THE REVEL、TOTALFAT、UZMK、10-FEET、難波章浩など錚々たるメンツの中に、あの芥川賞を受賞したお笑いタレント・又吉直樹も熱い感想を寄せている。

そう言えば、「今作は聴く人によって好きな曲が違う」とJESSEが零していた。加えて、その日の気分やシチュエーションで好きな曲が変わるような表情豊かな楽曲ばかりだ。洋楽/邦楽、ロック/ポップスの対立軸さえも無効化するスケール感のあるサウンドを是非体感してほしい。

TEXT:荒金良介



『To a person that may save someone』

2016.3.23 On Sale
TENSAIBAKA RECORDS / VAA(Village Again Association)
初回限定盤(CD+DVD)¥2800(no tax)TBRD-2800
通常盤(CD)¥2300(no tax)TBRD-0323

<TOUR 2016「To a person that may save someone」>

5月6日(金)梅田 CLUB QUATTRO
5月7日(土)岡山 IMAGE
5月12日(木)広島 cave-be
5月13日(金)福岡 Drum Be-1
5月15日(日)高松 DIME
5月20日(金)新潟 CLUB RIVERST
6月3日(金)仙台 darwin
6月5日(日)札幌 BESSIE HALL
6月10日(金)名古屋 E.L.L
7月1日(土)台湾・台北 Legacy
7月15日(金)渋谷 TSUTAYA O-EAST
チケット3,500yen(+1D)
*台北公演除く

◆The BONEZ オフィシャルサイト
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