オ・ト・ナな最新作『奇妙な果実』に込められた想いとは?

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NEW ALBUM

『奇妙な果実』
AICL-1625 \ 3,059(税込)
2005年6月29日発売

1 さまよう果実
2 SINGER
3 ラブレストラン
4 土砂降り
5 この世の果てまで
6 オレンジ
7 木漏れ日の風に吹かれ (New version)
8 破滅のバラッド
9 たとえばなし
10 人生だネェ
11 廃虚の模型
12 ひとりぽっちのLOVE SONG
13 星空の片隅で
14 君に会えてよかった
15 ENDROLL


PRESENT

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――ぼくも、フミヤさんの特徴的な声の響きを女性の歌詞で活かすというアプローチは、目からウロコでしたよ。

フミヤ: でしょ。俺もそうだもん。なんというか、新しいドアを1個もらった感じ。ずっと目の前にあったのに、まったく気付かなかった新世界というか。

――衣良さんから女性の歌詞をもらって、女性の側に立つみたいな作業はしたんですか?

フミヤ: 女性アーティストに歌詞を書いたことがあるから、入っていくのはそんな難しい作業じゃなかったよ。それにさ、男性が主人公の歌詞を書いていても、どこかで女性の気持ちを考えて書いてる部分はあるしね。

――この作品は大人じゃなきゃ作れない、お子様お断りみたいな感じがします。

フミヤ: 昔の歌謡曲ってエグい恋愛ばっかり唄ってたじゃない? “恋の奴隷になりました”とかさ(笑)。でも、そういうのって、小学生とかも普通に口ずさんでたじゃん。言葉の意味もわからずさ。昔の流行歌のテーマなんて、ほとんど不倫か夜の女のことでしょ(笑)。だから、本当は子供が唄える曲なんてなかったんだよ。でも、いまなら、逆にそういうのもアリだよねっていうか、R指定でもいいんだよって(笑)。俺、いろんな歌を唄ってきたけど、気が付くと夜の歌が多いんだよね。不良なイメージというか。根本的にはエロさがあって、傷ついてて、切ないっていうイメージ。それに俺自身も暗い小説は意外と好きだったりするもんね。

――純文学みたいな小説は大抵暗いし、出口がないですよね。不条理なまま終わりみたいな。

フミヤ: 昔から映画とかもハッピーエンドとかより、そういうやつの方が“ガツン”とくるし。今回のアルバムも終わり方で言えば、出口ないしね。

――最後に“TO BE CONTINUED”とか唄ってるけど、全然続いていく感じがしない(笑)。

フミヤ: そうなんだよね(笑)。 “私はどうやって生きていこうかな、これから……”みたいな。

――衣良さんの詞だけ読むと暗いですよね~。

フミヤ: メロディが明るいから、そんな感じじゃないけどね。「さまよう果実」もよくよく読むとエログロだからね。“わたし生きたまま、枯れてないかな”とか、すごいよね。でも、もし、これが昔の流行歌だったら、みんなに唄われるんだよ。

――このアルバムが評価されたら、“藤井フミヤやさぐれ部門”を強化していきますか?(笑)

フミヤ: 強化したいね~(笑)。“やっとやさぐれられる、やった!”みたいな(笑)。あまりにもウケが良かったら、“女の詞もアリだな”って感じだしね。

――立ち位置としては男だけど、女性の歌も唄いますよ、的な。

フミヤ: そうそう、イイと思うんだよね。今そういう人いないから、演歌くらいしか。フォークの頃は、松山千春さんとか、南こうせつさんとか、いっぱいいたんだけど。それに今、何かといえば、働いてる系のロンリーな女性がクローズアップされるじゃない。なんで注目されるかっていえば、日本社会が生まれてから初めての現象だからなんだよね。昔は結婚しなきゃいけなかったし。

――働いてオヤジ化する女性なんて、昔の社会構造ではありえなかったわけだし。それに彼女たちは生産活動もしてるから、ティーンエイジャーの娘たちよりも役割としては大事ですよね。

フミヤ: 彼女たちだって、本当はカラオケで唄ったり、沁みたりしたいわけよ。でもそうするのにしっくりくる歌がない。それに恋愛とかも、若い頃みたく誰彼かまわず相談できない、ワケありな感じも多いし(笑)。やっぱり、仕事で頑張ってる孤独とか寂しさとかって、どうしても生まれると思うんだよ。たとえ主婦になったとして、それは仕事と同等、むしろそれ以上に大変だからね。そういう意味では、子供や旦那とかがいたとしても、ある種かなり孤独だと思うんだよね。このアルバムは、そういう人たちが聴いて、沁みてほしいなぁ。1人飲みの帰りとかに口ずさんで欲しいわけよ。“仕事がなんだ! 男がなんだ!”とか言いながら「さまよう果実」あたりをさ(笑)。だから、俺は大人っぽいムードで歌っていきますよ。


取材/文●佐伯明
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