モンゴル800、アルバム『Daniel』全曲解説 前編

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──そんなバンドの現在をうまく伝えられたアルバム。ぜひ楽曲解説をしていただきたいんですけど。まず1曲目の「Real Life」から。1曲目らしい勢いのあるサウンドでありながら、米軍基地の話とか沖縄が直面する現実を伝えていますね。

上江洌:これは完成する前から1曲目っぽいと思っていた曲。「リアル・ライフ」という言葉が最初に浮かんで、基地の話とかにつながっていった。でも決して重いテーマじゃないんですよ。自分としては明るい歌詞だと思ってます。

──確かに“いろんな問題あるけど、それは置いといてビールで乾杯!”みたいな感じですよね。

上江洌:結構笑える曲なんですよ。だってこの曲で伝えたいのは“飲もう”を“NO MORE WAR”という言葉でかけているところ(笑)。それくらいあっさりしてる。まぁ別にシリアスにとらえていただいても、構わないんですけど。僕らとしては、それより一曲目というノリを楽しんで欲しいですね。

  


──続く「煩悩のブルース」も1曲目の流れを継ぐ、スピード感のある仕上がりですね。

髙里:今回一番ビートが速い曲じゃないかな。だから演奏してると気持ちが高ぶる。かと言って、無闇に勢いがあるだけじゃなくて、重さというかクールさもある仕上がりなのかなって。

上江洌:これはいきなりサビから始まり、1分半で終わる、不思議な曲ですよね。なのでスタッフの人は、ずっとこの曲には続きがあるもんだと思っていたらしいですよ(笑)。でも僕らとしては、これ以上膨らませる必要はなかった。1分半に全てを込める気持ちで・・・。

  


──3曲目は儀間さんの作った「亀」。

儀間:ライヴでみんなとふざけた歌を一緒に歌えるような曲を作りたいと思って、できたのがこの曲なんです。

──かなり「オイ・パンク」な、拳を振り上げて合唱したい仕上がりですね。

儀間:一応、僕のなかではパンクス風。

──歌詞は、「亀」の言い伝えをベースにしたものですが、どういうきっかけで思い浮かんだんですか?

儀間:歌詞はひらめきで書いているんで。特にきっかけというのは……。

──歌詞にもありますが、当然“亀”は食べてないんですよね?

儀間:もちろんです! まぁ、みんなでライヴでアツくなって“亀は食べちゃダメ”と歌いたいですね。

  


──続いて。「Baby Monster」は?

上江洌:これはもう、ジャストというか。子供のことについて書いた曲ですね。以前「ヨロコビノウタ」では、子供生まれたばかりの時のことを、今回は2歳児くらいの時期というイメージ。ハチャメチャなモンスターな感じを表現してみました。でも子供を育ててみて思うんですけど、育てることによって自分も育っていることを実感するし、また自分が子供だった頃の記憶が蘇ってくるんです。ハチャメチャな感じの曲のなかには、そういう思いも込めている。感じとってもらえたらいいなぁって思います。またこの曲では、途中で悟が歌っているんですよ。

──えっ!それは気づかなかった。

髙里:間奏のところで。別に音に馴染んでいたら、それでいいんですが(笑)。たった4行のフレーズなんですけど、すごく難しかったですね。でも真剣さがあるようで、笑いも感じるヴォーカルになったのでよかったかなって。

上江洌:これは楽しく聴いてもらえたらいいですね。

  


──5曲目の「地球図鑑」は、儀間さんの曲ですね

儀間:(自分の歌詞は)改めて見ると、空想入ってるなと思いますね。今回の歌詞はほとんど妄想から生まれているというか(笑)。どういうきっかけで生まれたんだろう……。

──「亀」と同様、言い伝えがベースになって生まれた曲なのかな?って思ったんですけど。

儀間:そういうの好きなんですかね?(笑)。でもこの曲は昔話ではなく、未来についての話なんですよ、僕にとっては。

  


──続く6曲目が「Hunky-dory」。これはモンパチには珍しいレゲエなナンバーですね。

儀間:確かに今までになかったタイプの曲かもしれないんですけど。僕らにしてみたら、モンパチ・サウンドから全然ズレてないというか。むしろドンピシャな感じかも。歌詞の内容、曲にしても。

──レゲエというか、裏打ちなビートはもともとチャレンジしたかったとか?

上江洌:レゲエをやりたいとか、ジャンルにこだわって曲作りをしたワケじゃなくて。この曲を作るにあたり、たまたま頭のなかに響いていたのが、何かユルい、のんびりした裏打ちのリズムとループするベースのフレーズだけだったんです。あとは遊びや不思議な感じの歌詞を作ることだけでしたね。最近、こういう歌詞を作るのが好きなんですよ。“座布団くれー!(笑点)”的な感じの(笑)。

──(笑)

上江洌:この曲でよかったのが“Hunky-dory 今まで通り”ってフレーズを表現できたこと。自分の感覚をギュッと詰められたというか。何だかんだやっても、結局僕らはいつも通りなんだってことを伝えられていると思う。

  


──7曲目は「Hokus-o-em」。

上江洌:これも座布団系の曲(笑)。タイトルが最後まで決まらなくて。ちなみにこれ、何て読むと思います?

──ホークス応援!???

全員:大爆笑

上江洌:“ほくそ笑む”なんですけど……。

──まさに今、ほくそ笑まれた感じですね。いや、それ以上だったかも(笑)。

上江洌:(笑)。この曲では謎解きとか言葉遊びとかだったり、メッセージ性とか考えずに響きのいい言葉を限りなく探して並べたつもりです。

──本作では、そういう遊びの歌詞が多いですね。

上江洌:ですね。言葉遊びに集中してたところはあります。でも、どうでもいい感じではなく、皮肉っぽさも織り交ぜたりして。

  
  
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