異空間を支配する“不思議の国のアリス”、ジャカロープ・ライヴレポ

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スキニー・パピーでの活動を経て、その後はナイン・インチ・ネイルズの作品にも携わっているデイヴ・オギルヴィー。トレント・レズナーも認めたインダストリアル・ロックの鬼才が、紅一点のケイティ嬢を交えたジャカロープとして来日を果たした。

10/4、渋谷クラブクアトロのステージに現われたこのバンドは、激しさと妖しさが行き交うサウンドを奏で始めると、今までに体験したことのないような異次元の空間を作り出していった。

ジャカロープのモチーフとして使われているウサギ(角が生えていて、血を流している)の絵がスクリーンに映し出されるなど、映像も取り入れたジャカロープならではの世界観がジワジワと浸透。観客の反応も上々な「HOUSE OF ILL」「FEEL IT」と続くと、不思議な感覚を持つジャカロープ・サウンドは一気に熱を帯びる。不穏なノイズを撒き散らしながら、攻撃的なギターを掻き鳴らすデイヴ。それに寄り添うかのように、ダークで美しいメロディを聴かせるケイティ。

中盤にはエネルギッシュな演奏が吹き荒れ、デイヴがヴォーカルを務めた「BAD DREAM」では、彼の力強いパフォーマンスも際立っていた。デイヴがジャカロープで表現したいと語っていた『不思議の国のアリス』の世界。終盤の「PRETTEY LIFE」「LIGHT AFTER NIGHT」では、現実と空想が入り混じった興奮と陶酔の渦に観客は浸っていた。

そして、何よりも驚きだったのはケイティのヴォーカルだ。キュートかつ迫力のある歌声を聴かせる彼女の存在感。彼女こそが、この異空間を支配する“アリス”だったのだと思う。

文●田代小太郎
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