Dir en grey、熱狂の日本武道館ライヴ・レポート

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いまや国内はおろか、ヨーロッパ、そしてアメリカにまで渡り、世界を股にかけて活動を展開しているDir en grey。そんな彼らが7月31日、8月1日の2日間、日本武道館にてライヴを行なった。7月31日公演の<TOUR05~06 IT WITHERS AND WITHERS FINAL>は前ツアーのファイナルとして、そして8月1日公演の<TOUR06 INWARD SCREAM>はこれから幕が開けるツアーの初日として行なわれた。そんな中、これからの始まりを意味する8月1日公演を観ることができた。

2DAYSがたったの45分で完売という驚異的なセールスを見せたこの公演。会場の最後席の後には立見席の観客までもが溢れ、ただならぬ熱気が会場を覆っている。そんな中、会場の明かりが落ち、大歓声のなかライヴがスタートした。

ステージを完全に覆った幕が中央から少し開き、まぶしいほどの光を背に受けて、ヴォーカルの京だけが姿を現す。ツアー初日にふさわしく新曲での幕開けだ。ピアノをフィーチャーし、繊細に音が重ねられた芸術的楽曲に会場中が息を呑んだ。そして、ステージを覆う幕がゆっくりと全て開き、メンバー全員が後光を浴びて姿を現した。その姿は神がかった雰囲気を放ち、完全にモンスター・バンドと化していた。圧倒されたムードが会場中に漂う。

この日のステージには、LEDライトを施した巨大な照明板が何枚も複雑に設置され、ステージ枠外にも無数の照明を設置。ジャケットやPVなどのヴィジュアル面にもこだわりを見せる彼ららしく、曲ごとにステージを演出してみせた。限りなくダークな彼らの世界の中で、儚さや脆さ、狂気や混沌といったものが繊細な照明により、非常に美しく表現された。そのコントラストは、まさにDir en greyの世界観そのものだったと言える。

この日の公演では全15曲が演奏され、新曲は5曲披露された。アンコールは2回行なわれ、2回目のアンコールでは演奏を始める前に京がMC。“これが終わったらまたすぐに日本を離れるけど、いろんなもん吸収して帰ってくるから待っててや。俺らとお前らでまた新しいもん作っていこうや”。この言葉に悲鳴に近い大歓声が巻き起こる。海外での活躍を喜びつつ、離れていくのではないかという裏腹な寂しさや不安を、京のシンプルな言葉と気持ちが完全に拭い去ったようだ。

2回目のアンコールでは、観客の息もつかせない怒涛のナンバーが続いた。2曲目では新曲を披露したが、変則リズムでたたみかけるこの曲では、とても新曲とは思えない盛り上がりを見せた。そして最後は「THE IIID EMPIRE」で幕を閉じた。「THE IIID EMPIRE」のノイズ音が残る中、メンバーそれぞれがその気持ちを表すかのように深く頭を下げてステージを去り、その間も京はステージに座り込み、長い間ただ客席を眺めていた。その時、彼の胸の内にはどんな思いがあったのだろうか。すぐにアメリカへと発つ彼らにとって、ここホームである日本のファンの姿がどう見えていたのか。多くを語らない彼らだけに心の内は分からないが、バンドの姿に何か強い決意のようなものを感じた。

現在彼らは、Kornらと共に<The Family Values Tour>でアメリカ・ツアーの真っ最中だ。果たして彼らがどんな答えを持って帰ってくるのか。その答えは次のアルバム、そしてライヴで知ることができるに違いない。その時を期待して待とう。





<TOUR06 INWARD SCREAM>
8月1日 日本武道館公演

1.新曲
2.凌辱の雨
3.Spilled Milk
4.Mr.NEWSMAN
5.C
6.新曲
7.GARBAGE
8.愛しさは腐敗につき
9.audience KILLER LOOP
10.新曲
11.新曲
12.孤独に死す、故に孤独。
13.OBSCURE
14.Merciless Cult
15.dead tree

-ENCORE-
16.鼓動
17.悲劇は目蓋を下ろした優しき鬱

18.Machiavellism
19.新曲
20.CLEVER SLEAZOID
21.朔-saku-
22.THE IIID EMPIRE

<THE FAMILY VALUES TOUR>アメリカ公演レポートはこちら!
https://www.barks.jp/news/?id=1000026047&m=jpop
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